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藤井聡太七段(17)竜王戦3組1回戦で勝利 デビュー以来ランキング戦17連勝

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 1月24日。大阪・関西将棋会館において竜王戦3組ランキング戦1回戦▲畠山鎮八段(50歳)-△藤井聡太七段(17歳)戦がおこなわれました。10時に始まった対局は20時17分に終了。結果は96手で藤井七段の勝ちとなりました。

 勝った藤井七段は2回戦に進出し、高橋道雄九段との対戦となります。

 竜王ランキング戦の連勝記録は17に伸びました。

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藤井七段、角換わりの最新形で快勝

 戦形は角換わり腰掛銀の最前線。昨日はB級1組11回戦▲谷川浩司九段-△千田翔太七段戦でも現れていました。結果は後手の千田七段勝ち。そのまま進めば、先手がどこかで手を変えるか、というところ。畠山八段も当然昨日の進行を踏まえた上で、指してみたい手があったようです。

「こちらの玉が薄い形できわどい将棋」

 と藤井七段は認識していました。そして1時間以上の長考の後、先に手を変えて、公式戦で初の順を指したのは、藤井七段の方でした。前例の受け続ける手に変えて、飛車先の歩を突き捨てて、じっと歩を垂らす「攻め合い志向」(藤井七段)の手順。部分的にはある形ですが、攻めかかってきている先手に歩を渡すので、成算がなければ指せないところでしょう。

 畠山八段はすぐに歩を使って攻めます。手順に銀を進め、角を打ち込み藤井玉を下段に追い込んで、あともう一押しというところ。しかしそれで藤井七段はしのいでいました。

「本譜は重くなって間違えた」

 と局後に畠山八段。このあたりでは、藤井七段が優位に立ったようです。

 畠山八段は手順を尽くし、金桂交換の駒得に持ち込みます。しかし駒の効率で、藤井七段が優るため、形勢は依然藤井よし。壁になっている銀の姿を直してみると、藤井玉は容易には捕まらない形です。藤井七段はこのあたりで形勢よしと判断しています。

 藤井七段の指し手は終始正確で、最後はいつもながらに安定感のあるフィニッシュ。畠山八段は攻防ともに見込みなしと見て、投了しました。

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 藤井七段は今期竜王戦も好スタート。ランキング戦ではデビュー以来の17連勝を達成しました。

「今期も上を目指して1局1局戦っていければ」

 と、コメントの方もいつもながらに安定感がありました。

 2回戦で対戦するのは、ベテランの高橋道雄九段。両者は2019年9月、C級1組順位戦で1度対戦し、藤井七段が勝っています。

 藤井七段と師匠の杉本昌隆八段は同じ3組。両者ともに勝ち上がっていくと、3組決勝で対戦することになります。終局後、記者にその点について尋ねられていましたが、まだそこまで意識はしていないようでした。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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