元名人・丸山忠久九段(49)独走でB級1組復帰決定 今期順位戦、昇級一番乗り

(記事中の画像作成:筆者)

 1月22日。東西の将棋会館でB級2組順位戦9回戦がおこなわれました。

 ここまでただ一人の無敗でトップを走っているのが丸山忠久九段(7勝0敗)でした。丸山九段は現在49歳で、羽生善治九段、森内俊之九段、郷田真隆九段、藤井猛九段らと同じ1970年度生まれ。「黄金世代」、あるいは「羽生世代」と呼ばれる世代の一角を占めてきました。名人位は2期。A級以上は連続14期という大棋士です。B級1組から陥落した後、B級2組は今期で2期目となります。

 丸山九段は中川大輔八段(3勝5敗)と対戦しました。先手の中川八段が金矢倉に組んだのに対して、丸山九段は左美濃と腰掛銀の布陣です。序盤で中川八段が歩を交換して五段目に角を出たのに対して、丸山九段は継ぎ歩で十字飛車の筋を狙いました。ここでまずは丸山九段がポイントを挙げたようです。

 中盤では丸山九段の中段飛車が、文字通り縦横に活躍。最後は差がついたところで、中川八段が潔く投了しました。

 これで丸山九段は8勝0敗。中川八段は3勝6敗となりました。

 一方で、丸山九段の他の成績上位者は、軒並み黒星を喫していきました。

 鈴木大介九段は飯塚祐紀八段に敗れて6勝2敗。

 橋本崇載八段は中田宏樹八段に敗れて5勝3敗。

 大石直嗣七段は中村修九段に敗れて5勝3敗。

 その結果、遅くまで残った6勝1敗決戦▲近藤誠也六段-△横山泰明七段戦で横山七段が勝つと、丸山九段の2位以内が確定し、昇級決定という状況が生まれました。

これぞ順位戦、近藤六段-横山七段戦

 近藤誠也六段は前期、C級1組で藤井聡太七段を降して、B級2組に昇級。現在は23歳で、B級2組以上では最年少で、B級2組では唯一の二十代です。

 横山泰明七段は、順位戦では何度か挫折を経験しながら、ここまで着実に歩みを進めてきました。実力的にはもっと早く、B級1組以上に昇級していてもおかしくなかったでしょう。

 前期B級2組は、C級1組から昇級した直後の2人が突っ走りました。永瀬拓矢七段は10勝0敗、千田翔太七段は9勝1敗の好成績を挙げ、連続昇級を決めています。

 横山七段は最初に2連敗。そこから盛り返して、最後は昇級を争うところまで追い込んでいます。結果は7勝3敗で及ばなかったものの、次点で今期3位の順位を得ました。近藤六段はB級2組に昇級したばかりなので、順位は下位の21位。こうした差が最終的にどれだけ影響してくるのかも、順位戦の見どころです。

 ▲近藤-△横山戦は互いに飛車先の歩を伸ばして交換し合う、相掛かりとなりました。中盤の押し引きでは、近藤六段が少しずつポイントを稼いだようです。中盤終わりのあたりでは、近藤六段が優位に立っていました。

 しかし、そこから横山六段が盛り返していきます。近藤六段に失着があったか、進んでみると、形勢不明となりました。

 両者時間が切迫した中で戦われる深夜の終盤戦は「これぞまさに順位戦!」と言いたくなるような、ドラマチックな展開となりました。

 横山六段の玉は守りの金銀3枚を全てはがされ、先に迫られる形を作られました。ただし形勢はその時、横山優勢に。横山玉はギリギリ耐えていて、金銀3枚が残る近藤陣は手がつくとあっという間に寄せられそうです。

 近藤六段は一手の余裕を得ようと、玉の早逃げで粘ります。対して横山六段は最後の決め方で手順前後があったか、近藤六段に端歩をつかれて脱出口を開かれてみると、途端に難しくなったようです。

 最後は両者ともに6時間の持ち時間を使い切って、60秒未満で次の手を指さなければならない「指運」の状況に。

 近藤六段は横山玉に詰めろをかけましたが、これが最終的な敗着となったようです。近藤玉には17手の詰みが生じていました。一分将棋の中、横山七段は詰みを読み切って、大熱戦に終止符を打ちました。

画像

 勝った横山七段は7勝1敗。敗れた近藤六段は6勝2敗となりました。その結果、8勝0敗の丸山九段が昇級枠の上位2人以内に入ることが確定し、B級1組復帰を決めています。

 横山七段はこの後の田村康介七段戦、北浜健介八段戦のうち、1勝すれば昇級が決まります。

 近藤六段は、いわゆる「キャンセル待ち」の状態。横山六段が2連敗し、自身が2連勝した場合のみ、逆転で昇級となります。次の鈴木大介九段戦は両者6勝2敗で、生き残りをかけた一戦となります。

 5勝3敗勢では順位最上位の橋本八段のみ、昇級の可能性が残されています。