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デビュー以来竜王ランキング戦で負けなしの藤井聡太七段(17)史上初の4期連続優勝なるか?

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 1月24日。大阪・関西将棋会館において竜王戦3組ランキング戦1回戦・畠山鎮七段(50歳)-藤井聡太七段(17歳)がおこなわれます。

 畠山鎮八段は関西所属のベテラン棋士です。竜王戦では過去に1組に在籍し、何度も決勝トーナメント(本戦)に進出したことがある実力者です。現在棋士となっている弟子は斎藤慎太郎七段と黒田尭之四段。畠山鎮八段と斎藤七段の師弟は、順位戦では両者ともにB級1組に在籍しています。2期連続で師弟は対戦し、いずれも師匠の勝ちとなりました。

 畠山鎮八段と藤井七段は過去に2018年王座戦二次予選、2019年銀河戦本戦で対戦。結果は藤井七段が2局とも勝利を収めています。

 藤井七段は前期竜王戦では本戦で豊島将之名人に敗れて、敗退となりました。

 今期はどこまで勝ち進めるでしょうか。

ランキング戦連続優勝記録

 藤井七段はここまで竜王戦で20勝3敗という恐るべき好成績を残しています。ランキング戦に限れば、デビュー以来負けなしの16連勝中です。

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 藤井七段は2016年12月24日、デビュー戦の第30期竜王戦6組1回戦で加藤一二三九段に勝利。以後負けなしで連勝街道を驀進しました。

 藤井七段は6組ランキング戦でいきなり優勝。決勝トーナメント(本戦)に進出します。1回戦で増田康宏四段(現六段)に勝って、将棋公式戦史上新記録となる29連勝を、なんとデビュー以来負けなしで達成しました。連勝を止められた一局は、次戦の佐々木勇気五段(現七段)戦でした。

 第31期は5組ランキング戦で優勝。決勝の石田直裕五段戦で見せた△7七同飛成は、藤井七段の代表的な絶妙手の一つとして数えられます。

 第32期は4組に参加。3回戦の中田宏樹七段戦で終盤に見せた△6二銀は、藤井七段のおそるべき終盤術を見せた鬼手でした。

 4組ランキング戦決勝では菅井竜也七段を千日手指し直しの末に破っています。

 竜王戦において3期連続ランキング戦優勝という快挙を達成しているのは、過去に3人しかいません。

木村一基現王位(4組、3組、2組)

永瀬拓矢現二冠(6組、5組、4組)

藤井聡太現七段(6組、5組、4組)※デビュー以来

 もし藤井七段が今期3組で優勝すれば、4期連続で新記録となります。

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 優勝までの勝利数は、6組では6勝、4組と5組では5勝が必要でした。3組では所属人数が少なくなるため、4勝で優勝となります。ただし当然ながら、組が上位となるにつれ、レベルは高くなっていきます。

 3組から決勝トーナメントに進出できるのは16人中、優勝の1人のみです。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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