羽生善治九段(49)棋聖戦二次予選で戸辺誠七段(33)に敗れる

(記事中の画像作成:筆者)

 1月15日。東京・将棋会館において第91期ヒューリック杯棋聖戦二次予選8組▲戸辺誠七段(33歳)-△羽生善治九段(49歳)戦がおこなわれました。10時に始まった対局は17時30分に終局。結果は97手で戸辺七段の勝ちとなりました。

 羽生九段はこれで今期棋聖戦は敗退となりました。戸辺七段は二次予選決勝で山崎隆之八段と対戦します。

詰むや詰まざるやの終盤を戸辺七段が制す

 両者は過去に4回対戦しています。初戦は相振り飛車となり、戸辺七段の勝ち。あとの3局はいずれも後手番の戸辺七段の中飛車で、羽生九段が急戦を志向。そして羽生九段が3連勝しています。

 振り駒の結果、先手は戸辺七段。戸辺七段は中飛車で臨みました。後手番の羽生九段は穴熊の作戦を取ります。戸辺七段も穴熊も目指し、本局は相穴熊となりました。

 戸辺七段は飛車を中段に浮いてゆさぶりをかけます。対して羽生九段は積極的に応じ、穴熊が完全に固まりきらない中で、戦いが起こりました。

 戸辺七段は左側の桂を手順にさばいて、羽生陣に成り込みました。振り飛車にとっては理想的な展開で、まずは戸辺七段がリードを奪ったようです。終盤に入ったところでは、戸辺七段が優勢でした。

 しかしそこから羽生九段が猛然と追い込みます。これがさすがの迫力で、形勢はいつしか不明となりました。

 最終盤は盤上隅の両者の玉の周りが薄くなり、詰むや詰まざるやというきわどい展開に。83手目まで進み、両者の残り時間が切迫する中で、羽生九段は決断を迫られました。

 自玉は詰まないと読み切れば、相手玉を受けなしに追い込めば勝ち。自玉に詰みが生じていると読めば、受けるしかありません。

 羽生九段は残り11分のうち9分を割いて、受けに回りました。結果的には、それが敗着となったようです。

 戸辺七段はゆるまずに羽生玉に迫ります。そして最後は三十手近い長手数の詰みを読み切り、勝利を収めました。

 戻って83手目の局面では、羽生玉に詰みはなかったようです。ということは、羽生九段は勝勢の終盤で勝ちを逃したことになりますが、変化は複雑で多岐に渡ります。最後に勝ちきった戸辺七段が見事だった、ということでしょう。

【追記】中継の追記コメントによれば、羽生玉の詰むや詰まざるやの変化中、両対局者はともに金の合駒が最善で、それでも詰みと読んでいたようです。代わりに飛を打って合駒をすれば詰まない。難解な変化でした。

 なお同日おこなわれた二次予選2組で佐藤康光九段(羽生九段と同じく永世棋聖資格者)は八代弥七段に勝ち、二次予選決勝に進出しています。