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折田翔吾アマ(30)棋士編入試験五番勝負は1勝1敗に 第2局で出口若武四段(24)に敗れる

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 12月23日。大阪の関西将棋会館において、棋士編入試験五番勝負第2局▲折田翔吾アマ(30歳)-△出口若武四段(24歳)戦がおこなわれました。10時に始まった対局は16時37分に終局。結果は142手で出口四段の勝ちとなりました。

【追記】折田アマ自身が対局を振り返っています。

 折田アマはこれで五番勝負は1勝1敗に。第3局は1月27日、山本博志四段との対戦となります。

折田アマ、厳しい敗戦

 朝10時。立会人の南芳一九段の合図で、両者一礼。対局が始まりました。

 第1局と先後が替わって、第2局は折田アマの先手。戦形は互いに飛車先の歩を伸ばして交換し合う、相掛かりになりました。

 過去に三段リーグで5回対戦している両者ですが、当時は振り飛車対居飛車の対抗形だったと、局後に出口四段が語っています。本局の相掛かりはそれとは違う系統の相居飛車で、両者にとっても新鮮な思いがあったようです。

 序盤で折田アマは先手番の得をいかし、いち早く銀を中段に進めて動いていきます。角交換の後に角を自陣に据えて、積極的に局面のリードをはかりました。

 出口四段はじっと自陣三段目に歩を打って、折田アマの飛角の大駒の利きを止めます。

「序盤はちょっと自信のない展開」

 という出口四段。このあたりはほぼ互角のわかれだったようです。

 午後の戦いに入って、折田アマは飛車を3筋から2筋に戻しました。出口四段は三段目に打った歩を、じっと一つ前に伸ばします。この歩を突くことができると、出口四段の陣形が次第に整備されていきます。

「少し持ち直したかな、とは思いました」

 と出口四段。このあたりが流れが変わっていく端緒となったようで、局後に両者の見解は一致していました。

 折田アマは自陣に打った角がはたらかず、苦しい展開となりました。時間もまた、折田アマの方が削られていく展開です。

 対して出口四段は自然な手を重ねていきます。中盤で大きな戦いが始まる前に、形勢は大きく出口四段に傾きました。

 出口四段の玉が堅陣に収まっているのに対して、折田アマは駒が分散していて、手がつくと粘りがきかない形。ほどなく出口四段が、勝勢と言ってもいいほどに差がつきました。

 そう簡単には負けられない折田アマは、手段を尽くして頑張ります。しかし本局では形勢差が大きく、終盤では折田アマ本来の力が発揮できない進行となってしまったようです。

 最後、折田アマは自陣のと金を、龍(成り飛車)で払って捨てるという、血を吐くような一手を見せました。対して出口四段は冷静に指し進めます。最後は二枚飛車の形で折田玉を追い詰め、きれいに寄せきりました。

「第1局は折田さんが快勝と言ってもいい内容。勝ちたいなという思いはあった」

 局後に出口四段はそう語っていました。

「内容も非常にかんばしくなかった。立て直していかないと」

 折田アマはそう反省していました。

画像

 折田アマは第3局で山本博志四段(23歳)と対戦します。山本四段は最近では珍しい三間飛車のエキスパートとして有名です。今年度の成績は15勝11敗(0.5769)。アマプロ戦では、今年7月におこなわれた叡王戦四段予選において、鈴木肇アマ名人を相手に勝っています。

 折田アマは奨励会退会前、三段リーグ最後の一戦で山本現四段に勝っています。

【参考記事】

あきれるほど将棋の強いYouTuberのアゲアゲさんがプロ編入試験を受けるまで

 折田アマは第2局に敗れたことによって、第4局を戦うことも決まりました。その相手は棋王戦挑戦者決定戦二番勝負に進出し、棋王挑戦まであと1勝と迫っている本田奎四段(22歳)です。

【参考記事】

デビュー1年2か月の本田奎四段(22)トップ棋士・広瀬章人竜王(32)を降して棋王戦挑戦者決定戦進出

 折田アマももちろん、五番勝負は簡単ではないと最初から覚悟の上で臨んでいることでしょう。それでも、もしかしたら棋王挑戦者と対戦することになるかもしれないとは・・・。改めて、棋士への道はそう簡単ではありません。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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