王将挑戦者は棋界トップの広瀬章人竜王か? それとも神童・藤井聡太七段か? 11月19日に最終決戦

(記事中の画像作成:筆者)

 11月19日。東京・将棋会館において王将戦リーグ最終局の一斉対局がおこなわれます。対戦カードは以下の通りです。

▲藤井聡太七段(4勝1敗)-△広瀬章人竜王(4勝1敗)

▲羽生善治九段(3勝2敗)-△糸谷哲郎八段(1勝4敗)

▲三浦弘行九段(1勝4敗)-△久保利明九段(1勝4敗)

※豊島将之名人(4勝2敗)は全対局終了

 リーグから陥落するのは成績下位の3人。最終戦を前にして、1勝4敗で並ぶ久保九段、糸谷八段、三浦九段の陥落が決まっています。そして成績上位の豊島名人と羽生九段は残留となりました。

 渡辺明王将(35歳)への挑戦権獲得の可能性を残すのは、広瀬竜王と藤井七段の2人のみ。そして両者は最終戦で直接対決し、勝った方が挑戦権を得るという、わかりやすい形となりました。

【前記事】

藤井聡太七段(17)タイトル挑戦までついにあと1勝! 19日に広瀬章人竜王(32)と王将挑戦者決定戦

過去唯一の対戦も大一番

 広瀬竜王、藤井七段は2018年2月17日、朝日杯決勝という大きな舞台で対戦しています。その時の両者の肩書は、広瀬八段、藤井五段でした。

 藤井五段は当時、中学3年で15歳。準々決勝で佐藤天彦名人、準決勝で羽生善治竜王(肩書はいずれも当時)を破っての決勝進出でした。

 ▲藤井五段-△広瀬八段の決勝戦は角換わりに。中盤の早い段階で藤井五段がポイントを挙げ、リードを広げていきました。

 最終盤。藤井五段よしとはいえ、広瀬八段の3枚の大駒が盤上でよく働いていて、一手でも間違えれば途端に難しくなりそうな局面を迎えました。そこで藤井五段は飛車の利きに桂を打ちます。一見ただのようですが「大駒は近づけて受けよ」の格言通りの一手で、もしその桂を取ってくれば、先手を取って飛車の利きを止めることができます。

 この桂打ちは、現在でも藤井五段の代表的な妙手の一つに数えられています。

 最後の一手も、一見ただのところに金を出る爽快な決め手。正確な終盤力で知られる広瀬八段を相手に、117手で完勝を収めました。

トーナメント開始時には藤井四段、優勝時には藤井六段に
トーナメント開始時には藤井四段、優勝時には藤井六段に

 藤井五段はこの時、15歳6か月。史上最年少での全棋士参加棋戦優勝を達成しました。また規定により、同時に六段に昇段。これもまた、史上最年少の記録です。

 それから1年9か月の時を経て、肩書は広瀬竜王、藤井七段となり、両者は再び大舞台で対戦することになりました。

将棋ファン必見の大一番

 広瀬竜王の今期成績は15勝7敗(勝率0.681)。竜王という立場上、対戦する棋士のほとんどはトップクラスです。

 竜王戦七番勝負では現在、豊島名人の挑戦を受けて、3連敗を喫しています。また先日17日におこなわれた日本シリーズ決勝では渡辺王将(三冠)に敗れています。

 一方で14日のA級順位戦では羽生善治九段に勝ち、4勝1敗。5戦全勝の渡辺王将を追っています。棋王戦ではベスト4に勝ち進み、こちらでも渡辺明棋王に挑戦する勢いです。

 藤井七段は今期30勝9敗(勝率0.769)。全棋士中のランキングでは、勝数で豊島名人に並んで1位タイ。対局数では豊島名人に次いで2位となっています。10月7日に豊島名人に王将戦リーグで敗れてはいますが、以後は7連勝中です。

 格としては、広瀬竜王の方がはるかに格上です。しかしながら藤井七段のこれまでの実績を考えれば、藤井七段が勝つ可能性も相当にあるでしょう。

 なんといっても、藤井七段のタイトル初挑戦を望む声は大きい。広瀬竜王も、アウェイの雰囲気を感じていることでしょう。自身のブログには、以下のようにつづっています。

 藤井七段とは2回目の対戦になりますが、前回同様に世間の注目を集める舞台での対局ということになりました。(中略)私自身としては雰囲気にのまれないように精一杯頑張ろうと思います。

出典:「広瀬章人の一喜一憂ブログ」2019年11月18日

 熱い王将戦リーグも、いよいよフィナーレの時が近づいてきました。果たしてどのような結末を迎えるのか。将棋ファン必見の大一番。様子が気になって、対局中は仕事や学業が手につかない、という人も多いことでしょう。