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あきれるほど将棋の強いYouTuberのアゲアゲさんがプロ編入試験を受けるまで

松本博文将棋ライター
将棋のアマ大会に参加する折田翔吾さん(記事中の写真撮影・画像作成:筆者)

将棋大会の片隅で

 それはいつもと変わらない、将棋大会の光景のように見えた。

 8月31日。筆者は令和最強戦という、アマチュアトップクラスの強豪が集う将棋大会の観戦に訪れた。

 筆者にとっては、知らない顔の若者が増えつつあった。とはいえ、人は変われど、やっていることは変わらない。人の雰囲気も、さほど変わらない。それは何十年と変わらない、将棋大会の光景のようにも見えた。

「どうしたの? あっ、『時の人』を見に来たんだな」

 久々にアマ大会に顔を出した筆者を見て、大学将棋部の先輩から声をかけられた。

 そうなんです。まさに、「時の人」に会いに来たのだった。

 筆者は「アゲアゲさん」こと、折田翔吾にインタビューを申し込んでいた。

 折田はいま、将棋界という枠を超えて、時の人になりつつある。

 8月30日、折田はプロ公式戦で勝ち星をあげ、10勝2敗の成績を収めて、プロ編入試験の条件をクリアした。

 遠い昔の1944年。戦時中に将棋大成会(後に日本将棋連盟)の編入試験を受け、合格し、付け出し五段でデビューした花村元司九段という古い例はある。

 それをのぞけば、近年、プロ編入試験を受けて合格したのは瀬川晶司(現六段)、今泉健司(現四段)の2人だけである。

 筆者は瀬川、今泉の両者がアマ大会で指しているところを何度も見てきた。

 もちろん、両者ともに、当時のアマ棋界のトップクラスだった。

 しかし、だからといって、大会ではその両者だけが特別に目立っていたわけではない。瀬川、今泉の実力を考えれば、両者は世間の注目とは遠く離れた場所で、ひっそりと戦っているようにも見えた。

 令和最強戦、かつては「平成最強戦」という名称だったこの大会は、全国のトップアマが集う大会として知られている。

 折田は2敗失格の予選で、あるベテランアマに1敗を喫していた。だからといって、そんなに驚かれることもない。アマ大会の層の厚さとは、それほどのものだ。

 令和最強戦で折田は、何人もの選手に声をかけられていた。折田の対局をのぞくギャラリーの数も、少し多いような気はする。しかし、それをのぞけば、いつもの将棋大会と、それほど変わりがないような気がした。

 折田は予選を2勝1敗で通過。そして本戦1回戦、やはり全国クラスの強豪と対戦していた。

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 会場を見渡してみたところ、折田を取材に訪れているメディア関係者は、どこにも見当たらない。ニュースのヘッドラインが華々しく踊るネット上と、この会場とでは、ずいぶん遠い距離があるような気がした。

 折田は「コアラのマーチ」がデザインされたTシャツを着ている。

 折田は「アゲアゲさん」と呼ばれる、有名な将棋YouTuberでもある。この大会の模様など、もしYouTubeで中継されていたら、観戦者数も多いはずだ。もっとも、対局者自身がしゃべりながらの実況はできないだろうが。

 筆者は折田の将棋を近くで観戦していた。その最終盤。棋譜も取らなければ、ネット中継もされない対局で、折田は目をみはるような、鮮やかな決め手を放っていた。

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奨励会

 折田翔吾は1989年10月28日生まれで、大阪出身。今でも大阪で暮らしている。

 将棋を覚えたのは幼稚園の頃と早かった。本格的に始めたのは小6の頃。「JAVA将棋」という老舗の対戦サイトで指し始めた。「将棋倶楽部24」では10級からのスタートだった。

 ほどなく、関西の研修会に入った。そこで昇級を重ね、中3の10月、6級で奨励会に入会した。

 5級に上がるのに1年ぐらいかかった。少しずつ昇級、昇段を重ね、難関で知られる三段リーグに初めて参加したのは、2011年度後期、21歳の時だった。

 昇段のペースが早いか遅いかと言われれば、早いとは言い難い。奨励会では「年齢制限」という鉄の掟があり、わずかな例外規定はあるものの、26歳までに四段になることができなければ、退会を余儀なくされる。

 しかし、折田は希望を持っていた。

「ワクワクしてました」

 三段リーグに上がった頃のことを、折田はそう振り返る。子供の時に10級で始めた「将棋倶楽部24」のレーティングは3000点(八段)を超えていた。

 折田の三段リーグ1期目の成績は8勝10敗だった。

 四段に昇段した上位2人の成績は高見泰地(17歳)の13勝5敗と藤森哲也(24歳)の12勝6敗。最下位は5勝13敗。誰もがプロになる可能性を秘めた実力の持ち主である。三段リーグでは実力が伯仲する中で、星ひとつをめぐり、熾烈な争いがおこなわれる。

 折田の2期目は7勝11敗。スタートで3連勝したが、そこから星が伸びなかった。

 折田が最終戦で勝った相手は、天野貴元だった。26歳で年齢制限を迎えた天野にとっては、これが奨励会最後の一戦となった。

 折田が目標としていたのは、四段になってプロに上がることだけではない。そのさらに先、タイトルを取りたいと志高く考えていた。

「でも、もっと四段に上がることだけを考えていた方がよかったかもしれませんね」(折田)

 奨励会では練習相手にも恵まれ、強くなるための環境は整っていた。しかし、その環境をフルに活用できていたかと言われれば、そうではなかったかもしれない。折田は当時をそう振り返る。

 志半ばで奨励会を去っていった多くの元奨励会員は、折田と同じような後悔をする。

 天野もまた、そんなことを言っていた。筆者は天野が十代の頃から知っている。見るからに才能きらめく若者だった。その天野の才能をもってしても、四段になることはかなわなかった。

 天野は奨励会退会後、改めて将棋を強くなろうと志した。そしてガンとも戦いながら、30歳で若くして亡くなった。天野の半生は自著『オール・イン』に描かれている。

天才少年との邂逅

1期目:8勝10敗

2期目:7勝11敗

3期目:9勝9敗

4期目:6勝12敗

 折田の三段リーグの成績は、なかなか伸びなかった。折田はこの頃から次第に、勝ち抜くことの厳しさを感じ始めていた。

 4期目の三段リーグが終わった後の2013年3月。23歳になっていた折田は、詰将棋解答選手権に出場した。

 折田は詰将棋を解くのが早かった。詰将棋は奨励会二段の頃から本格的に取り組みはじめ、専門誌『詰将棋パラダイス』や多くの作品集の問題を次々と解いていった。

 解答選手権では、3位タイの成績を収めた。1位の宮田敦史六段には及ばなかった。しかしそれでも、多くのプロ棋士より上位で、大阪会場では1位の好成績だった。

 当時の成績表を見てみよう。

 3位タイ折田の名前のすぐ下、5位の欄には「藤井聡太」の名がある。この点については後年、折田自身もツイートしている。

 藤井少年は当時10歳。それでこの成績である。

 関係者は早い段階で、藤井少年が将来、指し将棋でも著名な存在になることを予感していた。以後の信じられないようなサクセスストーリーは、周知の通りだ。

 折田は奨励会時代、はるか後輩の藤井と3局対戦している。最初の2局は研究会で、いずれも折田青年の勝ち。3局目は奨励会のトーナメント大会で、そこでは藤井少年の勝ち。あっという間に、藤井は強くなっていった。

奨励会退会

 折田の努力は、三段リーグの成績には、なかなか反映されなかった。

5期目:7勝11敗

6期目:7勝11敗

7期目:7勝11敗

8期目:5勝13敗

9期目:8勝10敗

 そしてついに10期目を迎えた。25歳になっていた折田は、昇級するか、あるいは10勝8敗以上をあげて勝ち越さないと、奨励会退会となる。

 しかし、白星は伸びなかった。折田の未来を閉ざしていくかのように、黒星が重なっていく。そしてついに1勝9敗。勝ち越しの可能性がなくなり、奨励会退会が決まった。

 三段リーグでは、四段に昇段する望みがなくなった後も、その期が終わるまでは指し続けなければならない。そこで折田は、投げやりにならなかった。12回戦では初の女性四段の期待がかかる里見香奈三段(現女流五冠)と対局し、里見に勝っている。

 最終日。17回戦で、折田は昇級がかかっていた佐々木大地三段(現五段)を相手に勝った。佐々木はその敗戦が響いて、次点となり、上位2人には入れなかった。佐々木は次点2回でフリークラス入りという権利を使って、棋士となった。

 さらに折田は最終18回戦の山本博志三段(現四段)にも勝った。未来につながる終わり方だった、と言っていいのかもしれない。

 折田の最後10期目の成績は、5勝13敗だった。

 26歳の折田と入れ替わりに、2016年4月、13歳の藤井聡太が三段リーグに参加する。藤井三段は1期目で13勝5敗という成績をあげ、すぐに四段に昇段した。

将棋YouTuberに

 2016年3月、折田は奨励会を退会した。

 奨励会退会後の、元奨励会員の人生は様々である。

 これまでの経験をいかし、将棋業界に残る人もいる。

 将棋ときっぱり縁を切って、全然違う人生を歩み始める人もいる。

 また将棋とは関係のない仕事をしながら、アマ大会に出場する、という人もいる。

 折田は将棋を続けることにした。その活動場所の一つが、YouTubeである。

 折田はもともとゲーム実況を観るのが好きだった。それを将棋でやってみようというわけだ。将棋系のYouTuberは、今はずいぶんと増えたが、当時は少なかった。

 折田は「アゲアゲ将棋実況」というチャンネルを開設した。「アゲアゲ」という名に特に深い理由はない。筆者から見て、折田は誠実で面白い青年だが「アゲアゲ」という感じは特にしない。「どこがアゲアゲやねん」と折田自身が思いながらのネーミングでもあった。

 4月26日、折田は初めて映像をアップした。

 これは「将棋ウォーズ」というスマホ対戦アプリを使っての、3分切れ負けの対局である。将棋ウォーズでは戦形や囲いの形などで、様々なエフェクトが出るのが実況的に面白い。

 将棋のオフラインの対局は、基本的に無言のうちに進んでいく。一方で、目の前に相手がいないオンラインでは、思ったことをしゃべることができる。3分切れ負け、あるいは1手10秒といったスピーディーな展開の実況で、観戦者は飽きることがない。折田クラスの強豪であれば、十分魅力的なコンテンツになる。

 折田は最初、元奨励会員とは名乗らなかった。それでも指し手を見ていれば、ただならぬ実力の持ち主であることは一目瞭然だ。折田の実況動画は、たちまちのうちに好評を博した。

 折田は気取りがない。現在では、ネット対局の実況だけでなく、気ままにいろいろな話をする。歌も上手い。オフラインの対局の帰り道、正直な報告をする。

「実力やなあ、普通に実力で負かされた」

 時にはそんな風にぼやきながら。

 折田のチャンネルの登録者数は、現在では、3万3千人以上となっている。これらの人たちの多くは、折田が将棋で活動をする上での、強力なサポーターと言ってもいい。

 また折田は「アゲアゲ将棋教室」もおこなっている。ネットを利用した1対1のマンツーマン指導だ。

 Twitterも始めた。自分の名を検索(エゴサーチ)して、いい評判があれば、リツイートもしている。

アマの立場で強くなる

 折田は奨励会退会後、自身がはっきり強くなったことを自覚している。なぜ強くなれたのか?

「モチベーションが上がりました」

 折田はそう語っている。YouTuberとして対局を観られることで、もっと強くなろうと思ったということだ。

 折田は現在では、将棋ソフトを用いた研究に比重をおいている。

 一方で、実力のベースとなる詰将棋の解答力も健在だ。2019年の詰将棋解答選手権では5位に入っている。優勝は藤井聡太七段(5連覇)。2位は斎藤慎太郎王座。3位は宮田敦史六段。そうそうたるメンバーに次ぐ成績である。

 折田はアマチュア大会にも積極的に出場するようになった。アマ大会で活躍して名が売れれば、それだけYouTubeの観戦者や、レッスンの受講者も増えることになる。

 元奨励会三段といえば、当然ながらアマトップクラスである。しかしそれでも、そう簡単にアマ大会は勝ち抜けられるわけではない。昔からトップクラスのアマは強かったが、近年はその層がさらに厚くなりつつある。

「小山怜央さん、森村賢平さん、それから私は指したことがないですが、横山大樹さん。みんな強いです。私はなかなか安定しないんです」(折田)

 そうした中で、折田も次第に全国大会で実績をあげるようになった。

 2017年、アマ王将戦で準優勝。

 2018年、朝日アマ名人戦で準優勝。

 今年2019年には西支部名人となった。

プロ編入試験への道

 アマ大会で活躍するうちに、折田も自然とプロ編入試験を意識するようになった。

 プロ編入試験についてのお知らせ(2014年、将棋連盟)

 https://www.shogi.or.jp/news/2014/04/post_982.html

 アマ大会で上位に入れば、プロの公式戦に出場できるという特典がある。そこで10勝以上して勝率6割5分以上の好成績をあげれば、プロ編入試験の資格を得られる。

 2018年。折田はアマの代表として朝日杯に出場し、都成竜馬五段と対戦した。結果は折田の負けだった。

 続いてテレビ棋戦の銀河戦にも出場できることになった。

 2018年8月30日。本戦Aブロック1回戦で、ベテランの神崎健二八段と対戦。そこで勝利をあげたところから、折田の快進撃が始まった。

 続けて同日。2回戦の収録で対戦したのは、瀬川晶司五段(現六段)だった。

 映画にもなった異色棋士・瀬川晶司さんが六段に昇段(筆者記事)

 https://news.yahoo.co.jp/byline/matsumotohirofumi/20181108-00103477/

 2005年、瀬川は異例のプロ編入試験を受け、合格した。その道を切り開いたのは、たやすいことではなかった。瀬川の存在なくしては、今もプロ編入の制度はなかったかもしれない。

 折田は瀬川を深く尊敬している。そして瀬川が切り開いた道に沿う形で、編入試験を目指すようになった。奇しき因縁というよりない。

 瀬川-折田戦。途中の形勢は折田の方がわるかった。それでも折田は勝負を捨てずに粘り強く指し続けた。そしてついに逆転。最後は折田が瀬川玉をきれいに詰ませて終局となった。

アマに負けるプロの気持ちも実感しました。自分がアマ時代に活躍した銀河戦でと言うのも皮肉ではあります。

出典:「瀬川晶司のシャララ日記」2018年10月30日

 まさに皮肉な形となったが、これで折田には勢いがついたようだ。

 3回戦では若手強豪の三枚堂達也六段に勝利。

 4回戦では、今泉健司四段と対戦した。

 藤井聡太七段と1勝1敗 オールドルーキー今泉健司四段(45)の魅力(筆者記事)

 https://news.yahoo.co.jp/byline/matsumotohirofumi/20181102-00102730/

 瀬川はプロ編入試験の道を切り開いた人。そして今泉は唯一、その道をたどることができた人である。

 2014年、プロ公式戦で好成績をあげた今泉は、プロ編入試験を受験。若手棋士5人との五番勝負で3勝1敗の成績をあげ、見事にプロ入りを果たした。

 その今泉を相手に、折田は苦戦に陥る。しかし苦しい時間を耐えて逆転。最後は今泉の玉を寄せきった。

 そこから堀口一史座七段、豊川孝弘七段、窪田義行七段にも勝利。

 折田は並み居るプロ棋士を相手に、7連勝を果たした。

 8回戦では野月浩貴八段に敗れた。しかし銀河戦のシステム上、本戦7連勝という成績をもって、決勝トーナメントに進むことができた。

 決勝トーナメントでは、1回戦で佐藤天彦九段と対戦することになった。佐藤は今年5月までは名人位に3期就いていた。その前名人と対戦することができるとは。折田はやはり、相手を意識した。結果は折田の完敗に終わった。

 トーナメントの山の隣は、久保利明九段-藤井聡太七段戦だった。藤井七段と対戦できるかもしれない、ということはもちろん考えた。しかしそれは実現しなかった。

プロ編入試験の資格を得る

 最初の都成五段戦をカウントせず、いいところを取って、折田のプロ公式戦での成績は、7勝2敗となった。

 そして次期銀河戦では予選から参加。脇謙二八段、福崎文吾八段を連破して、本戦出場を決めるとともに、通算で9勝2敗の成績となった。

 そして8月30日。折田はちょうど1年をかけて、プロを相手に公式戦10勝目をあげた。

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 折田は2014年の今泉に次いで、5年ぶりの編入試験資格取得者となった。

 折田はすぐに、試験を受けることを表明した。

将棋、折田アマがプロ受験資格 公式戦で10勝2敗(共同通信)

https://this.kiji.is/540008765936649313?c=39546741839462401

将棋ユーチューバーの折田さん、プロ棋士編入試験受験へ(朝日新聞)

https://www.asahi.com/articles/ASM8Y56VCM8YUCVL015.html

将棋アマの折田さんがプロ編入試験の資格獲得(毎日新聞)

https://mainichi.jp/articles/20190830/k00/00m/040/103000c

折田翔吾アマ プロ編入試験の受験資格満たす「受けさせていただきたい」(スポニチ)

https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2019/08/30/kiji/20190830s000413F2197000c.html

ユーチューバー折田アマ、棋士編入試験受験を宣言「受けさせていただきたいと思います」(スポーツ報知)

https://hochi.news/articles/20190830-OHT1T50111.html

 マスコミは一斉に、折田の快挙を報じた。

「サラリーマンから将棋のプロへ」

「介護士からプロ棋士へ」

 それぞれ、瀬川と今泉の著書のタイトルである。折田の場合はやはり「YouTuber」という属性が注目されるようだ。

 折田はこれから受験に関する書類を提出することになる。

 若手棋士との五番勝負について、折田はどう考えているのか。

「自信は・・・。なくはないです」

 筆者からの電話に対して、折田は控えめに、そう笑った。

編入試験はこれから始まる

 令和最強戦。将棋大会の会場のさざめきの中、折田の名角は、そっと放たれた。

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 勝ち方は他にもあるのかもしれない。しかしこれが最短かつ簡明だ。

 ▲6三角以下は△8二金▲5二角成△9三金▲5一龍△7一桂▲6二馬△同馬▲8二金と進んで終局。

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 相手玉は詰んでいる。このクラスの選手ならば、互いに一目の進行なのかもしれない。しかし筆者は、その鮮やかさにうならされた。筆者はたまたまその場に居合わせた。だから折田の名手を観ることができた。

 折田の将棋はこれから、プロ編入試験という最高の舞台で指され、多くの人の注目を浴びる。

 折田によれば、大阪のアマ強豪はみな、折田のプロ入りを積極的に応援しているという。折田がいなくなれば、それだけ大阪代表になりやすくなる。そんな理由からだそうだ。それは冗談でもあろうが、折田にとってはうれしいエールだ。

 折田に声援を送っているのはもちろん、将棋を指すアマチュアだけではない。編入試験が始まれば、いろいろな人たちが、いろいろな思いを抱いて、「将棋YouTuberのアゲアゲさん」を応援するだろう。

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将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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