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7月18日、王将戦リーグ入りを目指して佐藤康光九段(49)と藤井聡太七段(16)が対戦

松本博文将棋ライター
2006年、王将戦七番勝負で対局中の佐藤康光現九段

 第69期大阪王将杯王将戦は、王将戦挑戦者決定リーグ入りを目指す二次予選が始まります。注目のカードの一つは、7月18日(木)、東京・将棋会館でおこなわれる佐藤康光九段(49)と藤井聡太七段(16)の対戦でしょう。

(記事中の写真撮影、画像作成:筆者)
(記事中の写真撮影、画像作成:筆者)

 黄金世代の一人として平成の将棋界で活躍し続けてきた佐藤康光九段は、王将戦では七番勝負に8回登場しています。そのうち、2001年度は羽生善治王将、2011年度は久保利明王将(肩書はいずれも当時)に勝って、王将位を2期獲得しています。

2006年、王将戦七番勝負で対局する佐藤康光現九段
2006年、王将戦七番勝負で対局する佐藤康光現九段

 佐藤九段は現在は将棋連盟会長を務めています。重責を担い、激務をこなす一方で、対局の方でも変わらず、各棋戦で活躍を続けています。棋界のトップ10の地位を占めるA級順位戦では最年長の在籍者となり、初戦で久保利明九段を降しています。

【関連記事】佐藤康光九段(49)、羽生善治九段(48)は五十歳名人となれるか?

https://news.yahoo.co.jp/byline/matsumotohirofumi/20190614-00130078/

 一方の藤井聡太七段は、一次予選を勝ち上がっての二次予選参加。大豪・佐藤康光九段とは、これが公式戦初の対戦となります。

将棋界のエリートリーグ

 王将リーグの定員は、かつては8人で、1981年度からは7人。厳しい将棋界の中にあって、入るだけでも難関とされるエリートリーグです。

 現在、王将位に就いているのは渡辺明王将(棋王、棋聖と併せて三冠)。

 今期王将リーグは7人の定員のうち、前王将の久保利明九段と、前期残留の糸谷哲郎八段、広瀬章人竜王、豊島将之名人(王位と併せて二冠)の4人の参加までが決まっています。

 残る3枠は、二次予選によって争われます。

王将戦の年少記録

 将棋界の数々の最年少記録を更新しつつある藤井七段。誕生日は7月19日で、18日の佐藤九段戦が、16歳最後の対局となります。

 ここで王将戦の各種最年少記録を見てみましょう。

 リーグ入り 16歳 加藤一二三六段(現九段)1956年度

 挑戦権獲得 20歳 豊島将之六段(現名人)2010年度

 王将位獲得 23歳 中村 修六段(現九段)1985年度

 王将位防衛 24歳 中村 修王将(現九段)1986年度

 加藤一二三現九段の16歳でのリーグ入りという驚異の記録を抜くことは既に不可能ですが、タイトル挑戦、獲得などの記録更新の可能性が残されています。

 まずはタイトル初挑戦の期待がかかる藤井七段。王将戦では、どのような足跡を残すことができるでしょうか。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『あなたに指さる将棋の言葉』(セブン&アイ出版)など。

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