実は、性についてもっと知りたい

 先日、博報堂キャリジョ研として、産婦人科医の宋美玄先生にインタビューをする機会がありました。メンバー内で生理や女性のヘルスケアについて事前に打合せをし、想像以上に盛り上がりました。

 ここ数年で「生理の話題を隠すものではなく、当たり前にしよう」という記事や活動が増えていますが、打合せの時は他人の様子も気になるし、一度話し合ってみたいという気持ちが表出していたように思います。一方で、生理以外で引き続きタブー視されたままの性に関する情報も多いのではないでしょうか。

 キャリジョ研では教育プログラムの開発もチャレンジをしているところですが、今後子どもたちも含め私たちは、どんな風に性を学んでいったらよいのか、性教育について今回は取り上げてみたいと思います。

そもそも“性教育”とは?

 “性教育”と聞くと、どんなことを思い浮かべるでしょうか。生理の仕組み、男女の体の違い、第二次性徴、セックスや妊娠の仕組み…などがイメージされるかもしれませんが、実際はもっと多岐にわたります。包括的性教育と呼ばれますが、セックスや避妊法に限らず、心のケアやパートナーとの関係性、体のコンプレックス、ジェンダー、病気や痴漢や性暴力などの犯罪に関しても含んでいるのです。

 日本では80年代にエイズが社会問題として挙がり、90年代から学校では性教育に注力するようになりました。一方で、過激な性教育に対するバッシングも巻き起こり、一進一退の20年に…。しかし、性をめぐる課題は解決しておらず、インターネットによる性の情報の氾濫とSNSを通じた性被害の増加、性同一性障害等に関する正しい知識と理解など、時代とともに学ぶ必要性は増しています。

性教育はいつから始めるものか

 UNESCO刊行の『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』によると性教育は5歳から始めることが推奨されています。思ったよりも早いと感じる方が多いかもしれません。子どもの性教育へ不安を感じる親御さんも多いため、子育て情報の中にも家庭での性教育の時期や方法についてはたびたび取り上げられています。

 子どもへの性教育としては、まず身体には特に他人に触らせないようにしたい大事な部分が4つ(口、胸、性器、おしり)あるというプライべートパーツの考え方が入り口にあるようです。本人も自覚がない間に性被害にあっていることがないよう、きちんと正しい知識を身につけることは重要なのです。

 そして、現在は性教育の絵本も続々と出ています。年齢に合わせてどこまで伝えるのか、どういう表現にするのかなどの判断がかなり難しいテーマでもありますので、こういったツールは非常に有用で心強いと感じます。

大人が求める性教育とは

 では、学校を卒業した大人の場合はどうでしょうか。

性教育に関連する意識について、博報堂キャリジョ研で独自に調査をしています。まずは自分の性教育への知識不足について。“包括的性教育”として聴取していますが、20~30代の男性で6割強、女性で8割が知識不足であると感じています。どんな方法で学びたいかも聞いたところ、正しい知識が学べるコンテンツや学べる場が求められていることが分かりました。

博報堂キャリジョ研「性教育に関する調査」(2021)
博報堂キャリジョ研「性教育に関する調査」(2021)

博報堂キャリジョ研「性教育に関する調査」(2021)
博報堂キャリジョ研「性教育に関する調査」(2021)

 また、興味深かったのは、女性は気軽に相談できるような環境や人が欲しく、同性の意見が聞いてみたいのに対して、男性は異性の意見が聞いてみたいという点です。このような違いは、知りたい内容にも絡んできているようで、男性は上位に「パートナーとの関係」が入ってくるのに対して、女性は「体のケアについて」という自身のことが最も高く挙がっています。

博報堂キャリジョ研「性教育に関する調査」(2021)
博報堂キャリジョ研「性教育に関する調査」(2021)

いつでも始められる性の学び方

 大人の性教育の不十分さと学びを求める意識が浮彫りになったところで、学校以外で性教育を学びたいと思った時に、どのような場や方法があるのでしょうか。

 一つは、本・マンガなどのコンテンツです。幼児向けの絵本以外にも、小中学生向けの本、体験談をまとめたルポマンガや、体の中を擬人化して分かりやすく表現したマンガなど、読みやすいものが多くあります。別の読み物の形式としてwebサイトもあります。ただし、ネット上には正しくない情報もあふれているので、専門家がアドバイザーに入っているようなサイトで信頼性があるものかどうかを見極めなければならないという注意が必要です。

 最近は、SHELLYさんやシオリーヌさんのように、性教育について発信する動画チャンネルを持つ有名人やインフルエンサーもいらっしゃいます。動画配信SNSでは、コメントで気軽に感想や疑問を投げかけて、発信者や視聴者同士のやり取りできる場となっています。そして、実は先ほどの女性が求めている「気軽に相談できる場」にも、男性が求めている「異性の意見を聞ける場」にもなっているのです。

 かかりつけの産婦人科医やカウンセラーを持ち、気軽に質問や相談をできるようにすることも一つの方法です。自分のやりやすい方法で構わないですが、正しい情報の見極めが難しい性教育については、情報源を一つにせずに複数の人や手段から取得した情報で学びを深めていくことが大切ではないかと思います。

(参考)

【宋美玄先生×博報堂キャリジョ研】

先生に本音で聞いてみた、働く女性のココロとカラダ。誰もが働きやすい社会を目指して

https://www.hakuhodo.co.jp/magazine/93637/

東京都教育委員会『性教育の手引』(平成31年3月)

https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/content/files/about/text_kiso.pdf

セイシル(TENGAヘルスケア)

https://seicil.com/

HAPPY LOVE GUIDE(NPO法人ピルコン)

https://pilcon.org/help-line

命育(R)(Siblings)

https://meiiku.com/