令和の占いブーム

 昨年からテレビで占い番組がスタートするなど、現在占いブームと言われています。元々占いが好きな女性は多く、ファッション誌やWEBサイトでも占いコンテンツがよく設けられていますし、年末年始の節目になると1冊丸々占い特集の雑誌が発売されるのも恒例ですね。

 占いブームの背景には、新型コロナウイルスで生じた不安の影響もあるでしょうが、私たち博報堂キャリジョ研では毎年トレンド分析をしていて、占いに関しては少し前の2019年から注目していました。ちょうど占い専門誌が創刊された時期もその頃のようです。なぜ、いま占いブームと言われるほど占いが注目されているのでしょうか。

占い業界の変化

 占い師になるのに免許や資格は不要で、実力で勝負する世界と言われていますが、勉強と経験を積んで企業に勤めていた方や、元モデル・芸人など芸能関係の方が占い師になったりと、様々な経歴の方が増えてきました。また、占いの種類も統計や人間科学、心理学などの学問と融合した新たなものが生まれ、人も方法もバラエティが豊かになってきたことは、これまで以上に興味を持つ人が広がっている一因と言えるでしょう。

 さらに、最近はSNSやブログなどインターネットを通じた占い師の発信も増えています。気軽にいつでもアクセスできるようになったことに加え、従来の対面や電話による1対1形式から「1対多」へと開かれたことで、ネガティブ過ぎる発信は控えられるようになり、前向き・肯定的な内容ややさしい語り口に変わってきているように見えます。それが受け取る側の安心や信頼にもつながっているのではないでしょうか。

20代の女性と占い

 データで見ると、「占い・おみくじを信じる」人はここ6年くらいでずっと増加傾向です。中でも20代女性は常にスコアが高く、2018年から2020年での高まりが他の性別・年代の方よりも顕著です。ここには何か理由があるのではないかと感じます。

出典:博報堂生活総合研究所「生活定点」調査
出典:博報堂生活総合研究所「生活定点」調査

 女性の20代は、ライフコースや働き方が分岐しやすいという特徴があります。以前から付き合いのある友達でも環境や状況が変わることで相談しづらくなってくることも多いので、あらたな相談相手を求める気持ちが高まりやすい時期でもあります。

 加えて先ほど占い業界の変化で挙げたように、近年増えてきた「前向きに寄り添い、自分を肯定してくれる占い師」は、相談相手が身近にいない彼女たちにとって、心強い存在でしょう。

超俯瞰思考から自己を知りたい欲へ

 SNSによって、20代女性の目を身近なコミュニティから世界へと向けさせました。比較や参考の対象が友達だけでなく、インフルエンサーや芸能人、海外セレブまで広がっています。見ている世界の広がりとともに、ふと冷静に「みんなと同じようにしていても同じにならない」という個性や多様性に気づく“超俯瞰思考”が2010年代後半から若者中心に起こっていると考えています。ありのままの自分でいてよい・いたいと思う反面、そもそも「ありのままの自分とは何か?」ということに疑問も持つことも。そこから、自分をより知りたいという“自己分析欲求”が出てきているように思います。

 少し前に、女性たちがパーソナルカラーや骨格メイクなどを学びに行き、きちんとお金をかけても専門家の意見を聞いて自分の特徴を客観的に把握し、うまく活かす方法を知ろうとする事象見られました。占いも実はそうした自己分析欲求にも合致しているところを感じます。

 占いにはその人の特徴を分類した“基本性格”というものがあり、最近人気のとある占いは、この基本性格をベースとしてタイプごとの運勢を示してくれます。自分のことを分かってくれた上で語りかけてくれていると感じやすく、こうした“他者から示された自分”に触れることは自分を顧みる機会になり、きちんと向き合えば新たな自分を知るきかっけとなります。実際に、定期的に占いに通っている方の中にはそういった目的で使っている方もいらっしゃいます。

自分の原点に立ち返る深い視点も

 前述の占い番組を見ていると、「今と未来」だけでなく、子どものころのターニングポイントまで戻って振り返る長いスパンの人生占いをしていました。運勢の周期を生まれた時から未来まで設定できるものや、生まれた時の星の位置の影響を見る占いは以前からもありました。しかし、最近私たちにとってなじみのある占いは、“今日の占い”のように日にち、週、月、年と比較的短いスパンのものが多いように思います。

 これまで占いに深く触れていなかった人たちにとっては、自分の原点まで戻ってくれて、自己の振り返りや把握に納得感を高めてくれる点で、占いが魅力的に見えるのかもしれません。