夫婦の役割格差の現状

 久しぶりの更新となりました。私事ですが、昨年末に出産し、育休を取得していました。これまでも子育て家族やキャリママたちの日々の家事・育児における夫婦間の苦労や工夫を研究してきましたが、実際に自分がやってみることで、育児や家事における夫婦の不均衡を感じることがありました。

 我が家はパートナーと協同で育児・家事を行おうとする意識が高いと思っていましたが、それでもパートナー間で差が出てきてしまうことを感じ、なぜなのかを考察していました。そこで、今回は差の生まれるタイミングと差を縮める工夫を紹介していきたいと思います。

 なお、夫婦の役割分担についてはこんなデータがあります。男性の理想は「夫婦平等の分担」と「その時できる方がやる」が3割ずつですが、女性の理想は「できる方がやる」が5割近くです。対して現実は、「妻が家庭、夫が外」というのが男女ともに半数以上で、特に女性の方が多いです。男女の意識差や女性に負担が偏ってしまう現実は、数字でも見て取れます。

 出典:博報堂生活総合研究所「生活定点」調査(2020)
 出典:博報堂生活総合研究所「生活定点」調査(2020)

タイミング①産前休暇の情報格差

 一般的に”産休”と言われますが、特に出産前の産前休暇。自営業やフリーランスなどで出産ギリギリまで働く女性もいますが、どこかに勤めている女性の場合、予定日の6週間前から産前休暇が取得可能です。お腹も大きくなって座っているだけでも苦しいですし、あまり無理をして出産に悪影響になってもいけないので休暇に入るわけですが、男性の場合は休めたとしても産後で、このタイミングは男女で時間の格差が生まれます。

 そして、この時間を利用して女性主導でベビーグッズの準備や情報収集が進む中、男性が立ち合い出産や育休取得を予定している場合は、休むために引き継ぎ準備をしたり、休み前にできる仕事を終わらせようとより一層忙しくなっていたりします。物理的な時間の格差は埋められないのですが、そこで生じる“情報格差”がそのまま子育ての行動の差となって表れてきてしまうので、できるだけ“情報格差”を埋めるようにしたいところです。

 たとえば、揃えるベビーグッズ。選ぶ楽しみ半分、必要なグッズの種類×メーカー×デザインやカラーバリエーションが多くて、情報を集めて比較するのも大変です。男性はパートナー任せにせず自分も自分も使うものとしてどんなものがあるのか知ろうとすることが大事ですし、女性も積極的に情報共有をして、パートナーに「知らないからできない」と思わせないようにできるとよいと思います。

タイミング②産後の入院時のスキル格差

 そして、無事に生まれた後すぐに始まる子どものお世話ですが、特に今は新型コロナウイルスの影響で面会ができない場合もあり、ママだけがお世話スキルがアップしてしまうことも。しかし、ママはすぐに子どもの世話ができるわけではなく、病院でちょっと教えてもらったら実践しながらできるようになっていきます。

 面会ができて、パパも一緒のタイミングでお世話の仕方を覚えられるとベストですが、家で暮らすようになるまで会えなくても、その後パパが積極的におむつ替えや授乳などに取り組めば母乳の授乳以外は全部できるようになります。最近は沐浴の仕方、抱っこ紐のつけ方など動画で手順を教えてくれているものも多いので、産後の疲れているママが説明しなくても、見て学習してもらうのがよいのではないでしょうか。

タイミング③育休中の分担意識

 そして、もし男性も育休が取れたとしても、やはり女性の育休の方が長くなりがちです。そうすると、“男性は仕事、女性は家事・育児”という固定的性役割分担になっていくことに。仕事は、常に人目にさらされており、気遣いやプレッシャーも多いかと思います。それに対して誰も見ていない家事や育児のプレッシャーは少なく感じるかもしれません。

 しかし、女性は家事・育児が“仕事”というのであれば、家事と育児という異なる種類の作業を同時進行でこなし、(子どもという)対人応接を含むのでルーティンやパターン化しづらく、数時間の仮眠を何回か取りながら24時間体制で作業をし、週7で休みがない仕事ということになります。24時間体制で週7働いている時点でいわゆる“ブラック企業”であり、サポートの必要性が理解できるのではないでしょうか。

 産後うつは、産後すぐでない場合も多いようですが、こうした役割分担の中で女性が抱え込みすぎて徐々に蓄積していくものがあるのではないかと感じました。楽しく育児ができているようでも、“ブラック企業”並みにハードな面も多いことを認識し、両親や兄弟姉妹などの家族、一時保育やシッターのサービスなど、何でもよいのでいつでも休める環境を作れるようにしておかなければならないと思います。

復職後も続くジェンダーギャップ

 晴れて(?)育休から女性も復帰し、対等に働きだしたらギャップがなくなるか?というとそうでもなく、保育園からの呼び出し、病院通い、自宅療養などの非常時の対応は、結局女性になりがちです。働き方に関する部分なので夫婦間だけで解決できないことも多々ありますが、こまめな進捗報告、チーム体制、リモート活用など柔軟な働き方で何回かに1回は男性も対応できるかもしれませんし、家にいる朝夜の時間や土日でしっかり穴埋めをすることもできます。

 放っておくとすぐ女性の負担が当たり前になってしまうため、夫婦間でどうやったらお互いできるのかよく話し合っていく必要があり、“子育てのジェンダーギャップはつづくよ、どこまでも”だな、と痛感します。