次々に生まれる“ハラスメント時代”

 「最近“〇〇ハラスメント”という言葉が増えたな」と感じていたところ、新たに“ロジハラ”が話題になっている記事を目にしました。この多様化時代、感じ方も人それぞれであるという認識が広まり、これまで我慢したり、見過ごされてきたことが“ハラスメント”として可視化されるようになったことが背景なのでしょう。

 では、世の中には一体どれだけのハラスメントがあるのでしょうか。

関係性のハラスメント 【職場・学校】

 メジャーなハラスメントに、社会的に地位のある者(政治家、社長や上司、教授など)が、権力や立場を利用して嫌がらせをするパワーハラスメント(パワハラ)があり、精神的な嫌がらせはモラルハラスメント(モラハラ)と呼ばれます。両者を含みながら、特に職場に関係するものは、マタニティ/パタニティハラスメント(マタハラ/パタハラ:妊娠・出産、育児をきっかけに働く女性/男性へ)、リストラハラスメント(リスハラ:リストラ対象者へ)、就活終われハラスメント(オワハラ:内定の代わりに他の企業を断るよう就活中の学生へ)、カスタマーハラスメント(カスハラ:顧客から店員・従業員へ)などが挙げられます。

 これが学校になると、アカデミックハラスメント(アカハラ:教授・教職員から他の教職員や学生へ)、キャンパスハラスメント(キャンハラ:先輩、同級生、後輩関係の中で)、スクールハラスメント(スクハラ:教師から生徒へ)などと言われます。

関係性のハラスメント 【男女間・その他】

 続いて、職場や学校でも起こりますが、セクシャルハラスメント(セクハラ)のような男女の関係性で生まれるハラスメントについて。性差のハラスメントとは別に、家事ハラスメント(カジハラ:家事、育児、介護など妻の家庭内労働への過小評価)があります。

 その他、詳しい・出来る人からそうでない・苦手な人へのハラスメントにドクターハラスメント(ドクハラ)、テクノロジーハラスメント(テクハラ)、カラオケハラスメント(カラハラ)や、シルバーハラスメント(シルハラ:介護を受ける高齢者へ)などもあります。さらに、ソーシャルハラスメント(ソシャハラ:SNSを通じた嫌がらせやフォロー・いいねなどの強要)は、SNSの付き合いだけでも生じる可能性があり、バーチャルな関係にもハラスメントは潜んでいます。

押し付けハラスメント【価値観】

 また、“何かを押し付けてくる”タイプのハラスメントもあります。冒頭にも触れた“ロジハラ(ロジカルハラスメント)”も含まれると思われる価値観やバイアスの押し付けがその一つです。

たとえば、ジェンハラ(ジェンダーハラスメント)、エイハラ(エイジ〈年齢〉ハラスメント)、マリハラ(マリッジハラスメント)、レイハラ(レイシャル〈人種〉ハラスメント)、パーハラ(パーソナルハラスメント:容姿や個人の趣向に対して)など。「すべき/すべきでない」「なぜしないのか?」といった自分の考え方を他人にも当てはめようとすることで生まれます。

押し付けハラスメント【物理刺激】

 もう一つは、物理的な刺激を伴うものです。スモハラ(スモーク〈タバコ〉ハラスメント)、スメハラ(スメル〈におい〉ハラスメント)、エアハラ(エアコン〈温度〉ハラスメント)などがこれに当たります。

 

思わぬハラスメントも登場

 そして、ハラスメントは複雑化し、第三者のセカハラ(セカンドハラスメント:ハラスメントの相談をしたことで相談相手から受ける嫌がらせ)や、さらにはハラハラ(ハラスメントハラスメント:受け手が「ハラスメントだ」と過剰に主張する嫌がらせ)まで登場しています。

 ちなみに、先に紹介した “カジハラ”は、当初は女性軽視の意味だったのですが、そのうち家事参加をした夫が妻から過剰なダメ出しをされることを指す意味合いも出てきました。どちらが正しいとは言い難いですが、ハラスメントを訴えていた側が訴えられている構造がハラハラと同じです。

ハラスメントを行わないために

 ハラスメントは受けた側が不快と感じると発生するため、意図しなくても誰でも加害側になり得ます。これだけ多様なハラスメントがある中、私たちはどんなことに気を付けたらよいのでしょうか。

 まず、相手の立場に立って考えて、自分がされて嫌なことはしないこと。自分がされたくないことをつい先にして過剰防衛をする人もいるかもしれませんが、社会的な振る舞いの大原則です。

 そして、自分はよかれと思っていても相手が不快に思うこともあるので、他人は自分とは違う考え方・立場であることを前提に言動することも必要です。同じ職場でも、幼少期からの親友でも、家族でも、似ているところはあれど自分でない人は「違う」ということを意識・理解をすることが重要です。

 また、同じ言動でも関係性の深さによって許容の判断が変わることがあるので、関係性をよく見極めて振る舞うこと。相手が積極的でなさそうなのは言葉や態度に出ていることも多いので、無理強いをしないように心がけたいところです。

ハラスメントを受けた場合に

 自分がハラスメントをしないように気をつけていても、受けることもあります。その場合、関係性によっては、はっきり意思表示をするのも手です。流したりごまかしたりでは再度起きてしまうので、不快なことを伝えることが今後の関係を保つ上によい時もあります。

 それが難しい場合は、一人で抱え込まずに信頼できて影響を与えられそうな人に相談したり、その関係性を断つ・離れることも考えないといけないかもしれません。被害側が、なぜ対応しなければならないのか?という憤りはありながらも、自分を守るためには逃げ道を探すことも大切だと思います。

 何でも”ハラスメント”となると、以前より生活しづらいと感じる方もいるでしょうが、これまでがあまり考えずに言動できていた特殊な状況だったのかもしれないとも感じます。いろいろな人の立場を思いやり、考えることは深い関係性を築くことや、関係性を使い分けることにつながり、よいことだと考えますし、お互いに思いやり、少しでもハラスメントだと感じる人が減るようにできればと思います。