男女の分担格差が縮まらない中、夫婦で考えたい心地よい家事・育児のポイントとは?

(写真:アフロ)

20年で夫の家庭分担は20分増加

 内閣府の『男女共同参画白書 令和2年度版』で、仕事、家事・育児・介護の従事時間の推移が発表されました。まとめられていたものは2016年で少し前ですが、1996年に女性の家事・育児・介護時間が214分だったものが、2016年は208分に。対して男性は24分(1996年)から44分(2016年)へと変化し、男性が20分増加したとはいえ、4倍以上の差がそこにはあります。仕事時間は両者とも減少しつつ、男性の方が2.5時間ほど長い結果となりました。この20年でも、「仕事は男性、家のことはは女性」という性役割分担がなかなか変わらないのが現状なのだと改めて感じます。

内閣府『男女共同参画白書 令和2年度版』のデータを基に作成
内閣府『男女共同参画白書 令和2年度版』のデータを基に作成

 この分担格差の大きな要因の一つは、データにもあるように男性の労働時間の長さです。夫本人だけでなく、夫の職場でも「家事・育児が女性の仕事」と思っている人はまだ少なくなく、そんな環境で仕事を早めに切り上げて家庭のために時間や労力を割くことが難しいこともあるでしょう。

夫側の家事・育児バイアスに気づく

 ただ、環境の影響も大きいながら、夫のマインドチェンジによって変えられることもあると考えます。

よくある「自分はそれだけ稼いでいるから、家事はやらなくてもいい」という意見について。一人暮らしの場合、仕事も家のことも自分でやっていたはずなのに、結婚したらやらなくてもいいのは、家事代行の人でも雇ったという認識なのでしょうか。自分の生活のことでもあるので、やれるときはやるのが基本です。家事には感謝の言葉をかけられることが少ない問題もよく挙がりますが、「本来自分もやるべきことを多くやってもらっている」という意識であれば、妻にやってもらっていることに感謝の気持ちも出てくるのではないでしょうか。

 また、「家事が苦手」という男性もよく見かけます。では、女性は家事が得意なのか?というとそういう訳ではありません。家事は慣れの問題です。何回もやっているから、どこを気にして、どうやってやればよいかがある程度分かっているということ。子育ても「母性があるから」「母は強い」など女性が初めから向いているかのように語られることもありますが、実際は初めて経験する子育てに向き合ううちにできるようになるというところが大きいのです。

妻側は視点を変えてみる

 反対に、妻側はどんな心持ちでいられるとよいでしょうか。

一つは、夫の「家事が苦手」に関連して、慣れない夫が家事をするのを、新人アルバイトが入ってきた気持ちで導いていけるといいのではと思います。夫婦は対等であり、いい年の大人なのにと考えると、つい「なんでこんなこともできないのか」と感じるかもしれませんが、後輩に教えるときは、最初からうまくできなくてもよいと寛大でいられるし、言い方も厳しくなりすぎないのではないかと思います。

 また、後輩育成に似ていますが、時には「任せてみる」ことも。気が付いたらすぐやってしまうと、いつも自分ばかりやっている不満を抱えてしまいがちです。急いでいないものは少し放置する、少し時間がかかってもやってもらうという行為の積み重ねも大事だと感じます。

 あとは、溜まっている不満を話し合うことも重要です。収入差や、仕事で疲れていることで遠慮する気持ちも分かりますが、先にも書いた通り、本来「自分の生活のことは自分でやる」と考えると「2人(と子供も含めた家族)の生活は2人でやる」のが基本です。仕事においても自分の分担で無理を感じたら、倒れてしまう前に周囲に相談をすべきですし、家庭でも同じ“チーム”として支え合っていく気持ちを、お互いに持てる(そんなパートナーを選ぶ)ようにしたいところです。

ミレニアル家族から学ぶ『家事・育児の3つのヒント』

 2016年、私は博報堂買物研究所で“ミレニアル家族”を研究していました。その際、小さなお子さんを持つご夫婦にインタビューや調査をした結果を、『家事・育児を円滑に進める3つのヒント』としてまとめていましたので、最後にご紹介します。4年前とは言え、10年先の未来洞察として作りましたので、今でも活用できるのではないかと思います。

博報堂買物研究所「買物フォーキャスト#2」より抜粋
博報堂買物研究所「買物フォーキャスト#2」より抜粋

【1.偏らない】

 「できる方ができる時にやる」と明確に分担を決めない、タイミングに応じて柔軟に、なんとか家事を進めるやり方です。料理は妻一人の分担ではなく、可能な時は「一緒にやる」でもよいでしょう。

【2.がんばりすぎない】

 “無理しない”概念はだいぶ広がってきたと思います。お惣菜、通販、家電などできるものに頼りながら、「平日は汚れていても気にしない」など完璧を求め過ぎない気持ちでいることがポイントです。

【3.敢えて楽しむ】

 ホテルビュッフェのように自分で詰めてお惣菜を買うのを楽しんだり、キッチンカウンターで立ち飲みのように料理しながら、家族と話しながら食べる男性のエピソードをうかがいました。どうせやるものを少しでも楽しめる工夫をシチュエーションやグッズで盛り上げられるとよいのだと思います。