「テラハ」「バチェラー」「おっさんずラブ」など 人気コンテンツに潜む消費・選択インサイトとは?

(写真:アフロ)

人気のコンテンツのヒミツとは?

 もともと私自身は、“ドラマ好き”というタイプではないのですが、生活や仕事をする上で、何度も話題になるタイトルや内容は覚えていきます。何かのきっかけで実際に見ると、ハマり症なのでしっかりハマってしまうこともしばしば。こんなに多くの人が話題にし、熱狂する背景には、何か共通の条件があるのかもしれない。今回はこうしたドラマコンテンツに、生活者のどのようなインサイトやニーズが反映されているのか?を考察してみようと思います。

キレイだけでなくリアルが見たい!

 以前から話題になってきた『テラスハウス(通称テラハ)』。男女3人ずつの6名によるシェアハウスでの共同生活が、台本のないドキュメント形式の“リアリティ番組”というスタイルで配信されています。同じくリアリティ番組として、いよいよシーズン3も配信され始めた『バチェラー』。こちらは、元はアメリカの番組でしたが、一人の男性に選ばれるために20人の女性たちが奮闘する番組で、公募でキャスティングが行われています。

 まず、両番組に共通しているのは出演者たち。美男美女ではありますが、有名芸能人よりは身近な人が出演しているので、親近感があります。主人公たちへの投影が非常にしやすく、共感するスピードも速いのでしょう。また、本人たちの語りや振り返りで見られる「裏側やホンネ」が結構辛辣で、通常のドラマでは描かれないリアルさが面白いと評判です。

 博報堂キャリジョ研では、YouTuberやインフルエンサーから発信される少し粗くても、作り込まれていない動画や情報の方がリアリティがあって信頼でき、そこから行動や消費が生まれているという生活者の行動を「ロー解像度消費」と呼んでいます。こうした、身近であることですぐに得られる高い共感性や、良い面・表の面だけでなく、裏側もきちんと見える公平性は、情報量が多く、情報の質も玉石混交なネット時代に求められている“情報の条件”であり、自然とそうしたコンテンツを好む傾向に表れているのではないかと感じます。

複数視点でフラットに俯瞰して見たい!

 先ほど紹介した『テラハ』と『バチェラー』には、もう一つ共通点があるように思います。複数の登場人物の誰が主役・ヒロインなのかが明確でないということです。私も小さな頃から少女漫画に親しんできましたが、主人公と恋人となる相手はだいたい見えているので、途中のすれ違いや試練があったとしても、最終的にはくっついてハッピーエンドになることが多いです。最近はそれを崩して意外な結末で終わることもありますが、“誰の視点が中心か”ははっきりしています。

 それに対して、複数の視点が対等にある『テラスハウス』、有力ヒロインかと思いきや、途中で脱落して視点がどんどん変わる『バチェラー』は、飽きない面白さもありますし、誰かの偏った視点だけでない客観性も生まれて、より広い視点で見ることができます。

 SNSでいろいろな人の生活や成功・失敗を俯瞰してみることができるようになって、“俯瞰志向”が進んでいると考えていますが、ドラマも一人ひとりには共感しつつ、ストーリー全体としては俯瞰する、生活者の志向性とリンクするところがあるのではないでしょうか。

表現を違っても純粋に共感できる!

 一方で、“OL(おっさんずラブ)民”という言葉がつくられるほど、ファンが生まれ、動いた人気ドラマ『おっさんずラブ』は、3人の三角関係を描いているので、非常にわかりやすく、オーソドックスなストーリーではあります。しかし、3人全員男性というこれまでにないシチュエーションで、リアリティとは正反対の漫画的なポップさがあり、予想がつかない面白さを持っています。

 ただし、そこには共感がちゃんとあり、男性から男性に送られたセリフに世の女性たちがキュンキュンしました。ここには、性別を超えて普遍的な“恋する気持ち”に共感が生まれていたのではないかと想像します。“おっさんたちの恋”という形式は、最初は珍しさで興味を惹いたのかもしれませんが、“恋愛の純化”という本質に迫ることに成功しているのだと思います。

“面白い”の先にある必要なもの

 情報もモノも多く、何でも手に入りやすい時代になり、それを「選ぶ理由」が重要になってきています。その中で、「本当にいいモノなのか」を見極めるために、すばやく感じられる高い共感性、良し悪し両面を発信してくれる公平性、客観的に見ることができる俯瞰性は、無意識的にでも現在求められていることであり、選択や消費のポイントになってくるでしょう。

 また、本質がしっかりとしていれば、表現を超越して人々から強い共感を得られるものであることも、ドラマから見えてきました。目新しさの追求で本質的なことから外れないよう、「伝えたいことは何か?」を考えることは、企業・個人に限らず発信者は常に意識をしていきたいことだと改めて感じます。