Yahoo!ニュース

ウクライナ、ロシア軍侵攻により港湾閉鎖、穀物輸出停止か

松平尚也農業ジャーナリスト、龍谷大学兼任講師、AMネット代表理事。
ウクライナの小麦収穫(写真:ロイター/アフロ)

 2月24日のロイター(モスクワ/キエフ)によると、ウクライナは、ロシア軍からの侵攻を受け、港湾での商業輸送を停止し、穀物と油糧種子輸出に支障をきたす恐れがあるとした。その一方で、ロシアは先にアゾフ海での商業船舶の移動を停止したが、黒海の港湾は、運航指示のため活動を維持していると報じた(世界最大の小麦輸出国であるロシアは、主に黒海の港から穀物を出荷する)。

 同記事では、ウクライナはトルコに対し、トルコ領のボスポラス海峡とダーダネルス海峡をロシア船に対して閉鎖するよう要請したとされるが、トルコのエルドアン大統領は同日、ウクライナの領土保全を支持すると述べたが、キエフの要求に対して回答しなかったことが取り上げられている。

 さらに欧州のトレーダーは、船が近い将来出港できなくなった場合、両国から食料を輸入する国々は代替の供給先を探す必要性も指摘した。売上高世界一の海運企業・マースクは11日、紛争の影響で2月末までウクライナでの寄港をすべて中止し、黒海沿岸のオデッサの主要事務所を閉鎖したと発表したという(※1)。

 同日の国際的海運業メディアHellenic Shipping News(※2)では、海運リスク管理会社のDryad Globalが全ての商業船舶に対し、黒海のウクライナとロシアの排他的経済水域での通過や運航を避けるよう勧告したニュースを流している。

 各メディアや上記のロイター記事も報じているが、ロシアとウクライナは世界の小麦輸出量の約3割、トウモロコシ輸出量の2割、ヒマワリ油(種子)輸出量の8割を担う主要輸出国で、その多くは中国や欧州・中東に供給されている。ウクライナはこれまでエジプトやトルコなどの主要な買い手に小麦を供給するため、ロシアと競争してきた。

  食料輸入国側の反応

この記事は有料です。
農業ジャーナリストが耕す「持続可能な食と農」の未来のバックナンバーをお申し込みください。

農業ジャーナリストが耕す「持続可能な食と農」の未来のバックナンバー 2022年2月

税込550(記事2本)

※すでに購入済みの方はログインしてください。

購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。
農業ジャーナリスト、龍谷大学兼任講師、AMネット代表理事。

農・食・地域の未来を視点に情報発信する農業ジャーナリスト。龍谷大学兼任講師。京都大学農学研究科に在籍し国内外の農業や食料について研究。農場「耕し歌ふぁーむ」では地域の風土に育まれてきた伝統野菜の宅配を行ってきた。ヤフーニュースでは、農業経験から農や食について語る。NPO法人AMネットではグローバルな農業問題や市民社会論について分析する。有料記事「農家ジャーナリストが耕す「持続可能な食と農」の未来」配信中。メディア出演歴「正義のミカタ」「めざましテレビ」等。記事等に関する連絡先:kurodaira1974@gmail.com(お急ぎの方は連絡先をご教示くだされば返信します)。

松平尚也の最近の記事