野菜とつながる暮らしかた ~野菜の生産のしくみ~

(写真:ロイター/アフロ)

 

 野菜って何?

 ふだん何気なく食べている食卓を潤してくれる野菜。しかし野菜の言葉の意味について聞かれると、多くの人は答えるのに困るのではないでしょうか?関係団体によると野菜とは「一般に、野菜とは、食用に供し得る草本性の植物で、加工の程度の低いまま副食物として利用されるもの」と定義されています。ただしその定義に共通で統一されたものはなく、生産に近い分野では植物としての特性と栽培の観点から、流通や消費の分野では食べ方や消費形態の観点から定義され分類されています。野菜の分類で一番話題になるのが、メロンやイチゴです。生産に近い統計においてメロンやイチゴ、スイカは、その栽培方法が苗を植えて1年で収穫されるため一般的な野菜と同じということで野菜として扱われますが、家計調査では野菜ではなく果物・生鮮果実に分類されるという違いがあるのです。

 では野菜の名前についてもし聞かれたらあなたは何と答えるでしょうか?多くの人はキャベツやダイコン、ハクサイ、ナスと名前を挙げられるかもしれません。こうした一般に知られる野菜は実は国の指定野菜であることが多いのが現状です。指定野菜というのは、キュウリ、キャベツ、サトイモ、ダイコン、タマネギ、トマト、ナス、ニンジン、ネギ、ハクサイ、ピーマン、ジャガイモ、ホウレンソウ、レタスの14品目です。日本では農林水産省が、消費量の多いものを指定野菜として定め、作る大きな産地を国が指定産地という制度で安定生産する仕組みがあるのです。

 野菜生産のしくみ

 この仕組みにより年中、安定して野菜が供給されることになりました。そもそもこうした仕組みができたきっかけには、野菜の安定生産はもちろんのこと戦後の食料不足や野菜価格高騰がありました。そこで考えられたのが1966年に制定された野菜生産出荷安定法でした。この法律の下で野菜指定産地においては、価格が安くなった場合に農家にその一部を補填して支払い農家が安定して野菜を出荷できるように制度が設けられました。

 また指定野菜に関しては年中出荷できるように、北海道から沖縄まで産地リレーという形で生産されるようになっています。冬でもナスやトマトなどの夏野菜がスーパーの並ぶ背景にはこうした仕組みや制度があるのです。ただ安定生産を達成した一方で食べ物の旬がわからなくなる原因を生み出した側面もあります。冬でも夏野菜を当たり前にスーパーに並ぶ風景に食べ手が慣れてしまい、作物がどういった時期に成長するのかも含めて食卓から食べ物の向こう側が想像できなくなる現状があります。

こうした仕組みは地域農業の安定的な成長を促し全国で約900の産地が指定されて野菜が生産されています。しかし野菜指定産地の現場では農業従事者の減少や高齢化が進み、65歳以上の従事者が半数を占める状況があるのもまた事実です。今後の野菜と食卓の持続可能な関係を始める状況があると言えるのです。

○参照資料

農林水産省「野菜をめぐる情勢(2019年4月)」

農林水産省生産局野菜課産地指導班「野菜指定産地制度をめぐる現状と課題」

http://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/nousui-kara/0701/nourinsho2.html