欧州遠征中のなでしこジャパンは24日、セルビア女子代表と対戦。5-0の大勝を飾った。

 ゴールを決めたのはFW植木理子、MF猶本光、MF宮澤ひなた、FW千葉玲海菜、MF成宮唯と、いずれも池田太監督新体制で定着した選手や新戦力たち。

 来夏のW杯に向けて、期待が高まる一戦だった。

 会場となったセルビアのスタラパゾバは、キックオフの20時でも気温は31度。「日本とは比べ物にならないぐらい暑い」とDF熊谷紗希がこぼしていたように、コンディション調整も苦労したようだ。だが、若い選手が多いセルビアに対し、技術と走力で圧倒した。

 セルビアはFIFAランク36位で、W杯や五輪の出場経験はないが、W杯予選でもドイツを破った勢いがある。そのセルビアに対し、日本は組織的な守備でボールを持たせず、厚みのある攻撃でゴールに迫った。

 前半9分までにFW田中美南が3本のシュートを放つなど、立ち上がりから流れを引き寄せた。セルビアのゴールをこじ開けるのに時間はかかったが、28分、植木が停滞した空気を切り裂く。

 180cmのDFスロヴィッチとの駆け引きを制し、DF清水梨紗のクロスを頭で完璧に捉えてガッツポーズ。植木は新体制8試合目で6ゴール目と、ゴールハンターの本領を発揮している。

 このゴールで勢いに乗った日本は、後半、さらにギアを上げていく。

 流動的に動いてスペースを作り、交代で入った宮澤がスピードを生かしてチャンスを創出。62分にはその宮澤のクロスから、途中出場のMF猶本光が頭で決めてリードを広げた。「前半は相手のDFの選手が(中央に)固まっていたので、ワイドに広げようと話しました」(池田監督)という狙いをピッチ上でしっかりと表現し、采配も的中した。

 76分には、MF長野風花のスルーパスに抜け出した宮澤が、並走する相手をドリブルで振り切り、冷静にGKの脇を抜いて3-0。

 81分には、途中で入ったFW千葉玲海菜が長谷川のクロスを押し込み、代表初ゴールを記録した。交代でピッチに立ってからわずか2分の電光石火。代表デビュー戦ゴールとしては、過去最速かもしれない。

 4点をリードした終盤には、MF成宮唯とDF高橋はなを投入して、熊谷をボランチに上げる戦術的なチャレンジも見せた池田監督。その期待に応えるように、88分には千葉が競ったこぼれ球を成宮が押し込み、5-0でゴールラッシュを締めくくった。

出場わずか2分でゴールを決めた千葉玲海菜(写真提供:JFA)
出場わずか2分でゴールを決めた千葉玲海菜(写真提供:JFA)

 W杯で対戦する強豪国に比べれば力が落ちる相手とはいえ、「奪う」というコンセプトをしっかりと表現し、セルビアのダイナミックな攻撃を完封したことは自信になるだろう。

 守備は、前回の欧州遠征から球際の強度を上げることにチャレンジした。

「(これまでより)もう一段階ボールに(強く)いくことを監督から提示されていました。ピッチの中で、(その守備を)自分達のものにするには、失敗しながらもやっていかなければできない。エラーもありましたが、積極的なチャレンジができたと思います」と熊谷。

 攻撃では、5ゴールのうち、4ゴールがクロスから生まれた。それは、「(攻撃面で)いくつかある武器の一つにしていきたい」(池田監督)というように、取り組んできたことの一つでもある。ピッチを広く使ってサイドのスペースを使い、ゴール前にタイミングよく人数をかけて入っていく場面の多さに、その成果が見てとれた。今後、なでしこジャパンの得点力を支える新たな武器になるかもしれない。

 連係面では、アジアカップから主軸が変わらず、選手同士のコミュニケーションが着実に積み上がっている部分が大きいように思う。ベレーザのホットラインから生まれた先制点、仙台のホットラインから生まれた三点目など、所属チームの連係も武器だ。

「ボールを持ったタイミングで、今までは1枚、2枚しか動いていなかったのが、3枚目まで動いたり、周りの選手が近くでサポートしてくれるので、パスなのかドリブルなのかの選択肢も作りやすいです。短い活動期間の中で、しっかりすり合わせることができています」

 途中出場で1ゴール1アシストと結果を残した宮澤は、そのように手応えを口にした。

 一方、次のような課題も上がった。

「もう一歩ボールに寄せて、離されないような守備をしなければいけないと思います」(熊谷)

「狙いを持って守備をしていたのですが、はまらないところがありました」(長谷川)

「(W杯)本番はよりシビアな戦いになると思うので、もっと精度や勝利にこだわりたいです」(宮澤)

 強豪国に対しては、一つのミスが失点に直結する。W杯や東京五輪で、その苦い経験も味わってきたからこそ、地に足をつけて課題と向き合う。

  なでしこジャパンは中2日で、現地時間27日にフィンランド戦に臨む。同国は来月に欧州女子選手権を控えており、セルビアよりコンディション、モチベーションともに高いと思われる。セルビア戦で見えた課題を修正し、再び快勝に期待したい。

 試合は、日本時間 6月28日(火)0:15キックオフ。BSフジで同日2:32から録画放送される。

フィンランド女子代表
フィンランド女子代表写真:ロイター/アフロ