Yahoo!ニュース

2017女子ユーロ開催国、オランダ女子代表との一戦に臨むなでしこジャパン。(2)

松原渓スポーツジャーナリスト
ラト・フェルレーフ・スタディオンで前日公式練習を行った(C)松原渓

オランダに遠征中のなでしこジャパンは日本時間6月10日(土)午前1時30分(現地時間9日(金) 18時30分)から、オランダ女子代表と親善試合を行う。

2017女子ユーロ開催国、オランダ女子代表との一戦に臨むなでしこジャパン。(1)

以下、オランダ戦前の監督・選手コメント。

【監督・選手コメント(オランダ戦前)】

高倉監督
高倉監督

高倉麻子監督(6日練習後、8日公式練習後)

ーーアルガルベカップでの最終戦がオランダ戦でした。今回はそれを踏まえて、どのように臨みますか?

守備はどの試合でも大崩れしないので、最終的なボールの奪いどころを決める上で調整は必要です。攻撃では横山(久美)がアルガルベで結果を出してくれましたが、新しく入ってきた選手も、ゴールという形でもっと絡んでほしいと思っています。試すことと、もう一回積み上げることを両方やっていくことは難しいですが、もう少しチャレンジして、新しいことを試しながら固定していきたいと考えています。

ーーオランダ戦はどのようにメンバーを決めようと考えていますか?

自分が今まで監督になってからいろいろなことに挑戦して、足りないと思うことがあっても、選手には経験を積ませたいと考えてきました。ただ、ある程度はチームを固めていきたいので、核はあります。その中で、2枚、3枚ぐらいは、試したいと思っています。

ーーアルガルベカップでは序盤から攻め込まれましたが、試合の立ち上がりについてはどのようなプランを考えていますか?

自分たちがアグレッシブに(前線から)ボールを獲りにいけば、裏(のスペース)を空けることになりますから、やみくもに奪いにいけば良いというものでもありません。前回の試合では、蹴られる瞬間に奪いにいったり、準備が遅かったです。前に体重が乗っているか後ろに体重が乗っているかでまったく違いますし、その辺は、選手が体感しているので、前回よりは対応できると思います。

ーーそういう意味では、守備面が鍵になるのでしょうか。

今回は、守備については口頭で確認するぐらいで、トレーニングではほとんどやっていません。コンパクトに守ることや、チャレンジ&カバー、ポジショニングについては、積み上げてきたことをしっかりやろう、と話しました。一生懸命やると、前に行ってしまうので、前から行くことは意識しながらも、賢く対応しなければいけないと思っています。ゲームの中では裏(のスペース)に蹴らせないようにしたいです。想像しているよりも相手のキックの飛距離が出ることも(前回の対戦で)体感しているので、対応力を見せたいですね。(今回の遠征では)攻撃面では、もっと効果的にボールを動かすことに取り組んでいます。試合ではいろいろな形から点を取ることでチームの色を出していきたいですし、得点シーンを多く作りたいと思っています。

中里優(写真右)
中里優(写真右)

MF 中里優(なでしこリーグカップ第2節 ノジマvsベレーザ戦後)

ーー(なでしこリーグの序盤戦でプレーしていたサイドバックから)ボランチのポジションに戻って、いかがですか?

正直なところ、中盤でプレーすることはやっぱり楽しいな、と感じています(笑)。でも、中盤の楽しさや、やりがいに改めて気づけたことは、サイドバックをやって良かったことだと思います。

ーーボランチを組む阪口選手とのコンビネーションは、昨年と比べていかがですか?

特に、昨年とは違わずに、やりやすくプレーできています。

ーーオランダ・ベルギー遠征の代表メンバーに選出されましたが、これまで海外遠征に3度、帯同した中で、国内でプレーしている感覚と、海外でプレーするときの感覚をどのように使い分けていますか?

そこまで意識することはないのですが、スピード感とか、パワーの強さは、全く違いますね。逆に、国内でやっている細かいパス回しだったり、技術的な部分(のアドバンテージ)は、体の大きい外国人選手も嫌なんだなと感じますし、対戦する上ではそこが活きていると実感したので、その質を上げていきたいと思います。

ーー体の使い方は、海外勢と対戦する中で変わってきた部分はありますか?

小さい時からずっと、どこに行っても(相手より)自分の方が小さかったので、自分で考えてというよりは、自然と身についたものが大きいですね。外国人相手にも、もう少し体をうまく使えるようになるのではないかと感じています。

ーーベレーザではトップの田中美南選手が降りてゲームメイクをする場面も多いですが、連携はいかがですか?

(田中)美南とも、モミ(籾木結花)ちゃんとも、昨年同様にやりやすいですね。今、ここで(近くに)来て欲しいというタイミングで来てくれます。普段から同じチームでプレーしている強みもあると思いますが、代表では他のチームの選手とも良い連携を作れるようにしたいです。

ーー今回のオランダ・ベルギー遠征を通じて達成したい目標はありますか?

これまで、(代表の試合で)練習試合で得点したことはあるのですが、親善試合で結果を出せていないので、アシストやゴールなど、目に見える結果を出せたら嬉しいです。

田中美南
田中美南

FW 田中美南(なでしこリーグカップ 第2節 ノジマvsベレーザ戦後)

ーー試合の中で中盤でゲームを作ったり、キープする場面が多くなったように感じますが、成長の手応えを感じていますか?

キープするところは自信を持ってやれています。今日の相手(ノジマ)だったら、マンツーマンで(ディフェンスに)ついてくる形だったので、1対1に成るシーンが多かったのですが、1人だったら普通に(相手選手を)背負える自信がありました。

ーー(味方のシュートのこぼれ球を小さなモーションでゴール右隅に決めた)2点目を振り返ってもらえますか?

今年に入って、ああいうゴールが増えています。自分でもびっくりはしているのですが、練習後の個人練習のシュートの仕方を変えたことがきっかけかな、と思います。

ーーどのように変えたのでしょうか?

ボールの受け方も含めて、試合の中でありそうなシチュエーションを具体的にイメージしながら打つようにしました。そうしたら、試合でもイメージ通りに決まるようになってきたんです。今までは(シュートに)強さを求めてしまうことが多かったのですが、落ち着いてコースを狙えるようになりました。ボールをもらって落として、一回開いてから打つとか、ワンタッチで良いところに置いて、狙って(ボールを)置くとか、自分の中で多い形をイメージしながら練習し始めました。

ーーアルガルベカップでは横山選手と2トップを組みましたが、今回の代表活動ではどのようなイメージがありますか?

(横山)久美さんの得点能力の高さは、自分にないところだと思います。前線のキープや裏への抜け出し方は、(私が)自信を持っているところです。フォワードは、結果(ゴール)を取れる選手がエースだと思います。自分のベースは、ベレーザも代表も変わらないです。しっかりキープすることと、チャンスがあれば背後を狙うこと。あとは、得点を、チャンスで一発で決めきれる力を代表で見せていきたいです。

ーーオランダ戦ではどのようなプレーを見せたいですか。

1試合1ゴールを目標にしています。代表でも試合に出させてもらって、信頼してもらえるようになった手応えもあります。今回、やっぱりダメだったと思わせないように良いプレーを継続していかなければいけないですし、代表もベレーザでも自信を持ってやれているので、消極的にならずに、前向きにプレーしたいです。

高木ひかり
高木ひかり

MF 高木ひかり(なでしこリーグカップ戦 第2節 ノジマvsベレーザ戦後)

ーーセンターバックから持ち上がる場面もありましたが、どのようなプレーを意識していますか?

センターバックのポジションではパスを出すだけじゃなくて、前が空く時は自分でボールを持ち上がることを意識しています。パスを出すだけでは相手を欺(あざむ)けないですし、ボディフェイントとか体の向きで、前が空いたら自分が前に運ぶことによって他の選手も空いてきます。そういうプレーで起点になれるように意識しています。

ーー代表ではサイドバックでもプレーしていますが、同じように考えていますか?

そうですね。自分のところでボールを失わないようにするためにも、パスに逃げる後ろ向きなプレーではなく、ドリブルもできた方が選択肢が増えて、ボールが獲られにくくなると思います。

ーーオランダとは、アルガルベカップ以来の対戦ですが、実際に対戦した印象を踏まえて、今回どのようなイメージでプレーしたいか教えてください。

自分の(右)サイドより、左サイドに足の速い選手がいました。足の速い選手に対してどうやって対応していくかということは今後の課題だと思います。サイドバックでプレーする場合は攻撃面も求められていると思うので、縦に仕掛けたり、クロスを上げたりと、できるだけゴールに絡めるようなプレーをしたいと思っています。まずは出場機会を得て試合に出ることが一番大事ですし、センターバックでもサイドバックでも、チャンスを与えられたらゼロ(失点)に抑えることを目標にしています。

阪口夢穂
阪口夢穂

MF 阪口夢穂(7日練習後)

ーーオランダ入りして、ピッチ状態など、感触はいかがですか?

オランダは風が強いイメージがありますね。以前のオランダ遠征(2015年11月)も寒かったですし、あの時は試合内容よりも、風が強かったことが記憶にあります。

ーーアルガルベカップで対戦した試合を、振り返ってみていかがですか?

右サイドの選手がすごく速かったイメージがあります。前回の対戦では、序盤から(裏のスペースに)走られていました。うちは(左サイドバックで、)スピードのある鮫ちゃん(鮫島彩)が追いつけなかったら誰も追いつかないので、まずは裏に蹴らせないような守備ができたらいいですね。ただ、風がどのように影響するのかが気になります。いつもなら届くパスが向かい風で届かなかったり、パスが緩くなったりする影響もあるので、風下でも風上でも日本にとってはやりづらいですが、逆に、オランダは、風が吹いたら、より前に走れる。そんな流れになったら嫌やなぁと。雨はどれだけ降ってもいいんですが、風は嫌ですね。

ーーチームの成長をどのようなところに感じていますか?

これまでは同じことで怒られていた気がするのですが、今回は、言われてから改善するテンポは早くなっている気がします。それぞれの選手が(所属)チームのサッカーをやってきた中で、久しぶりに集まった時に、最初は(自分のチームのサッカースタイルから)抜けきれない部分があるのですが、修正するのが早くなったところは、成長したところだと思います。

ーー限られた活動時間の中で、今回の遠征はどのようなことが大切だと思いますか?

時間が短い中で、結果も内容も求められると思うんですが、それが代表です。内容ももちろん大切ですが、まずは結果を出さなくちゃいけないと思うし、その中で、内容も良いものになればいいと思います。

ーー今回のオランダ戦で、阪口選手の中で達成したいことはありますか?

いつもそういうことを具体的に決めているわけではないのですが、前の(オランダとの)試合で変な負け方をしてしまったので、まず勝つことにこだわりたいですね。

相手は蹴って走るサッカーができますけれど、日本が同じように前線に(長いボールを)蹴ったところで、相手にパスをプレゼントしている、としか思えないです。かと言って、自陣から繋いでいくだけではリスクがあるので、そのさじ加減は難しいところですけれど、丁寧にパスを繋いでいくことは日本のストロングポイントだと思うので、一人ひとりが自信を持って、良い立ち位置でつないでいけるかどうかが楽しみですね。(私は)1人で何かができるタイプではなく、使われて、みんなを使うことで活きるタイプなので、そこは(メンバー間で)密に話をしてやっていきたいと思います。

鮫島彩
鮫島彩

DF 鮫島彩(8日練習後)

ーーオランダ戦で、個人的なテーマは決めていますか?

相手の7番(FWシャニセ・ファン・デ・サンデン)にやらせないことですね。前回は、そこでやられてしまったので。

ーー今回、マッチアップした際はどのように対応しようと考えていますか?

前回のアルガルベカップで対戦した試合の映像を見ましたが、オランダは試合の序盤の勢いがあり、一本のパスで日本は全員が裏返されてしまいました。ただ、あのパスを抑えれば、怖い場面は多くなかったと思うんです。ボールの出所になる相手のセンターバックの選手が、ボールを持ったら見ないでも出す、という決まりごとがあると思うので、勢いに乗らせないためにも、そのパスを出させないように、前から(FWの選手に)プレッシャーに行ってもらうのが一つ(の方法)です。もう一つは、なるべく逆サイドに持って行かせたいなと考えています。

ーーオランダには直近の2試合で負けていますが、攻撃面はいかがですか?

この間、戦った感覚では、後ろDFラインが重かったな、と、映像を見て感じました。相手のFWが3枚で前からプレッシャーをかけてくるのですが、前回は自分の位置が低かったので、もう少し前目のポジションを取りたいですね。そうしないと、前の選手がボールを受けるのがきつくなると思いますし、相手はサイドバックのところでボールを奪おうとしてきているので、相手がやろうとしていることに、はまらないように、裏を取りたいです。

ーー昨日、初めて紅白戦をやりましたが、選手間の距離感はいかがですか?

初めて組むパートナーもいるし、初めてのポジションの選手もいるので(時間が足りず)厳しい部分もありますが、それは言い訳にならないです。結果はもちろん求めていますけれど、前回できなかったことにポジティブにトライをして、その結果、勝ちたいですね。

ーーオランダ戦は強風の試合が多いですが、明日も同じようなコンディションになりそうですね。

明日は雷の予報もありますし、風は嫌ですね。ただ、それがどっちに転ぶかは分からないな、と。今日の練習では芝が重く感じましたが、芝もこれから(試合までに)刈る(短くする)そうですし、水も撒くようなので、その場合はボールは滑ると思います。アルガルベカップの時よりも、もうちょっとパスを回したいですね。嫌なところはたくさんある相手ですが、自分たちがパスを回せない相手ではないとは思います。

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

松原渓の最近の記事