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混戦のなでしこリーグ。上位を目指すジェフレディースとアルビレックスレディースの行方は?(2)

松原渓スポーツジャーナリスト
成熟した連携で上位進出を狙う新潟(C)松原渓

なでしこリーグは、5/7(日)に、第7節が行われた。

ジェフユナイテッド市原・千葉レディースとアルビレックス新潟レディースの一戦は、1-0で千葉が勝利した。

混戦のなでしこリーグ。上位を目指すジェフレディースとアルビレックスレディースの行方は?(1)

以下、試合後の監督・選手コメント。

【監督・選手コメント】

三上尚子監督(千葉)

ーー試合を振り返って、どのような感想をお持ちですか?

新潟が今季3バック気味に来ることはわかっていた中で相手の3バックの両脇や、裏のスペースを狙っていたのですが、上手くいかず苦しい展開になってしまいました。慌てないで繋げるシーンはたくさんありましたが、その状況判断が甘かったです。 前半は嫌なセットプレーが多く、これまで新潟にはそういう形で負けている試合が多かったのですが、セットプレーにも粘り強く対応できたと思います。

ーー相手によって、中盤で繋ぐ戦い方と裏を狙う戦い方を使い分けていらっしゃいますが、手応えはいかがですか?

どこのスペースが空いているかとか、相手にとってどこが嫌か、ということを考えることが大切です。狙いとしては、ボールを持ちながら(ゴールを狙う)ということが共通認識としてありますし、その中で特徴のある選手をうまく活かしていきたいと考えています。

ーー今シーズンは7試合で8人の選手がゴールを決めていますが、得点力についての手応えはいかがですか?

一人に頼らずに、人数をかけることで点を獲って行くスタイルで勝負したいと思っています。そういう意味では、中盤の選手が点を獲ったり、セットプレーでディフェンスの選手が獲ることもありますし、全員で守って全員で攻めることは比較的できるようになってきましたね。

ーー若い選手が多い中で、勝負どころを見極める力がついてきた手応えはありますか?

いえいえ(笑)、今日の試合の最後のバタつきを見ても、まだまだだな、と感じることがあります。ただ、そういう経験をしていくことで、今日の完封も自信にして成長していってほしいと思っています。

MF 深澤里沙(千葉)

ーー今日の試合では、どのようなことを意識してプレーしていたのでしょうか?

ここ2試合で連敗していたので、何としても勝ちたいと思っていました。ゴールを獲ることもしっかり意識して試合に臨みました。

ーー守備と攻撃、どちらの面で特に手応えを感じましたか?

守備で、ゼロ(失点)で抑えられたことに手応えを感じています。カップ戦では1試合、無失点で抑えた試合がありました(4/8 vs日テレ・ベレーザ戦○2-0)けれど、リーグ戦ではまだゼロで抑えられていなかったので、それはジェフにとって大きいです。

ーー守備のタイミングを合わせていくことについては、いかがですか?

そうですね。(成宮)唯や、安齋(結花)だったり、速い選手がいる中で、できる選手とできない選手がいますが、チームとしても前からのプレスは大事にしたいと思っています。後半はよくできていたかなと思います。

ーー今後の、チームの課題はどのようなことでしょうか?

ゼロ(失点)で抑えるためにも、前からのプレッシャーがすごく大事になるのですが、私たちはボールを蹴ってくる相手に対して裏のスペースを狙われることに苦手意識もあるので、まずは前から相手を追って、パスのコントロールを失わせて、前からボールを奪えるようにしていきたいです。

MF 成宮唯(千葉)

ーー試合を振り返って、いかがですか?

(今シーズン、)今まではFWの位置でプレーしていて、今日は久しぶりに右サイドでプレーしたのですが、あまり積極的にボールに関われなかったですね。結果的に勝てたから、(PKを外したことは)笑える話になりましたけど、得点のチャンスはPKの場面以外にもたくさんあったので、モノにできなかったことは悔しいです。

ーーチームとして裏のスペースを狙う中で、ボールが頭上を越えていく展開も多かったと思いますが、どのようなことを意識してプレーしていましたか?

FWに(長身の小林)菜々子が入っていたので、競ってくれた後のセカンドボールを拾うことを意識して、2トップというよりは、1.5列目でボールを獲ろうと意識していました。

ーー今シーズン、千葉に新加入して自分のプレーにどのような変化を感じますか?

去年、高槻でプレーしていた時は、年下でしたけれど、自分がやらなければいけないという意識も強く持っていましたし、ミスをしたら一気に失点に繋がってしまうところも気をつけていました。ジェフは経験のある選手が多いので、積極的に自信を持っていろいろなことにチャレンジできています。

ーージェフのサッカーの中で、どのようなアクセントをつけていきたいですか?

得点の形を見せたいですし、運動量とテクニックを活かして、決定的なパスを出せるような選手になりたいです。相手と(球際で)接触するのは好きではないのですが、試合の中で勝敗を分けるのは、球際やそういう気持ちの部分が大きいと感じています。そこは自分にとって足りない部分でもあるので、もっとやらなければいけないと思っています。泥臭さや、走ること、球際で戦うことがジェフの良さだと感じています。

ーープレーしていて楽しい時は、どのようなプレーをした時ですか?

長野戦(4月23日、第4節○2-1)のゴールでやったみたいに、ギリギリの状態での駆け引きは武器かなと思います。局面では技術を発揮しつつ、周りをもっと活かせるようにしたいです。

MF 鴨川実歩(千葉)

ーー決勝ゴールを振り返っていかがですか?

上野(紗稀)さんが中に(ボールを)入れるのが見えました。紗稀さんは(磯金)みどりさんを狙っていたそうなのですが(笑)、自分のところにボールがこぼれてくるかなと思って入ったら、うまくこぼれてきたので良かったです。足下にボールが入ってしまってミートはできなかったのですが、キーパーの股の間に決めることができました。

ーー後半から入って、どのようなことを意識してプレーしましたか?

前半(ベンチから)見ていた中でも、中盤の15番の(阪口萌乃)選手にミドルシュートを打たれていたので、そこは自分がボランチに入ったらケアできるようにしていました。監督からはこぼれ球をしっかり拾うことも言われていました。

ーー2連敗した後、連戦の最終戦で勝利できたことはいかがですか?

勝ち点で中位のチームが並んでいる中で、今日は勝たなければいけない大事な試合だったので、その試合で勝てて本当に良かったです。

ーー次節はアウェーで日テレ(・ベレーザ)と対戦しますが、いかがですか?

去年も勝ったことがないですし、1位のチームにチームとしても個人としてもどれだけ通用するのか楽しみです。ここで勝てればもっともっと上に行けると思うので、勝ちに行きたいです。

辛島啓珠監督(新潟)

ーー今日の試合のフォーメーションは、どのような意図があったのでしょうか?

今日は5-3-2という形で、臨みました。 (右サイドバックの小原)由梨愛がケガから復帰して、パフォーマンスも悪くなかったですし、3バックにすれば彼女をより高い位置でワイドで使えます。インサイドハーフのところに今までは小須田(璃菜)を使っていたのですが、佐伯彩は攻撃的な選手なので、攻撃に絡んでいってほしいという意図で起用しました。

ーー前半、中盤のバランスも良く、良い攻撃の形も見られましたが、ゴールに結びつかなかった要因についてはいかがですか?

最後の(シュートまでに至る)クオリティーが足りませんでした。たとえば、サイドでえぐってもクロスが合わなかったり、グラウンドも少しボコボコしていました。

後半はシステムを4-4-2に変えて、サイドから良いボールも入ったのですが、そこで決めきれなかったことも原因です。あとは、ハーフタイムに「こういう(拮抗した)ゲームではセットプレーで決まるよ」と話していたのですが、結果的にセットプレーからの失点になってしまいました。PKを与えたのも、セットプレーからでした。そういう点では、流れの中から崩されてはいなかったのですが、もったいない失点だったと思います。

ーーここ数試合、負けない試合が続いていた中で、チームの完成度が高まってきている手応えは感じていらっしゃいますか?

ケガ人が出てしまい、限られたメンバーの中でどういうサッカーが表現できるかということを試行錯誤していますが、3バックでうまくいくときもあれば、(失点して)ビハインドを負って、攻撃的に4バックで行くこともあります。まだまだ試行錯誤の中ですが、選手たちも競争の中で力を発揮できるように伸びていってほしいですし、(完成度は)まだまだですね。

ーー3バックと4バックの使い分けについては、難しさもあるのでしょうか?

3バックにしても4バックにしても、プレー自体はそんなに変わらないと思うんです。3バックなら多少ワイドにして、4バックなら良い距離感でコンビネーションも出てくるので違和感はないのですが、「点を獲る」「失点しない」ということに関して、もっとシビアにいかないといけないなと。3点獲られても4点獲る力があれば良いのですが、今はまだ得点力が高いとはいえない中で、まずは簡単に失点しないように、粘り強く戦うということが求められていると思います。

DF 中村楓(新潟/キャプテン)

ーー前半は3バックが機能していたように見えましたが、いかがでしたか?

やれているようには見えたと思うのですが、内容的には、もうひと押しが足りませんでした。自分たちのペースでサッカーができている前半のうちに1点が取れていたら違った結果になっていたと思います。

ーーラインコントロールは、3バックから4バックにした時の難しさもありますか?

(試合が始まって)最初の方はうまくコントロールできていたのですが、時間が経過するにつれて(ラインが)低くなってしまったので、ラインを高く保つところは徹底したいです。FWにボールが入った時点でもう少し(ラインを)上げられましたし、相手がボールを持っている場面でもラインを上げられるタイミングはありました。

ーー3バックで、中村選手の役割にも変化がありますか?

3バックでもそこまで変わらないのですが、4バックの時よりは前に強くいく場面が多くなりました。まだまだ課題が多いと感じていますが、前に強く行ってインターセプトを狙うところは、以前よりも強く意識しています。

ーーチームの流れが良い時は、守備が良い時ですか?

そうですね。一人ひとりの守備が良かったり、攻撃でパスを回している時に高い位置でボールを回せている時です。今日は低い位置でボールを回すことが多かったですし、選手同士の距離感も良くなかったです。ファーストディフェンダーを決めるのが遅れてたり、アプローチが遅れたところを相手につかれて回されていた場面もあったので、次の試合に向けて修正したいと思います。

MF 阪口萌乃(新潟)

ーー今日のご自身のプレーを振り返っていかがですか?

前半はこぼれ球を拾ってシュートを打てていたので、それが入っていれば良かったです。

ーー守備面では、どのようなところが課題でしたか?

グラウンドも結構ボールがバウンドしていたので、前半はセカンドボールを拾えていたのですが、後半はセカンドボールが獲れなくなってしまいました。

ーー今日も抑えたミドルシュートで惜しい場面を作りましたね。

INAC戦(でミドルシュートを決めて)から自信がついて、こぼれ球に対して思い切って拾いにいく意識とシュートにいく意識が強くなりました。

ーー昨年はダブルボランチでプレーしていましたが、今シーズンは1ボランチでもプレーしています。どのようなことを意識していますか?

中盤でバランスを取ることですとか、サイドチェンジなどを入れてボールを動かすことを意識しています。相手より出足を速くすることや、ボールにいっぱい関わることで、セカンドボールを拾ったり、攻撃で良い作りをしていきたいです。

ーー中盤は対戦相手に代表クラスの選手も多いですが、どのような点で勝負していきたいですか?

そういう選手たちにも負けないように、むしろ先手を取れるようにしていきたいですね。中盤の選手ではなくても、いろんな選手の良いところを取り入れるようにしています。

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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