U-20女子ワールドカップで3位となったヤングなでしこが4日、銅メダルを胸に、帰国の途についた。

あらためて今大会を振り返ると、目標であった「世界一」は成し遂げられなかったが、育成年代の最高峰の世界大会で3位という結果は、そう簡単に得られるものではなく、素晴らしい成績である。それに加えて、日本は準決勝に進出したことで、最大試合数(6試合)を経験できた(グループリーグで敗退した場合は3試合、準々決勝で敗れた場合は4試合で終わる可能性もあった)。

アフリカ(ナイジェリア)、ヨーロッパ(スペイン、フランス)、南米(ブラジル)、北米(アメリカ、カナダ)と、違うスタイルを持つ各国と6試合を戦えた経験は大きい。個人の身体能力を前面に押し出してくる国や、日本のように組織の総合力で対峙してくる国もあった。様々なタイプの選手と対峙し、ピッチの中で感じたことは選手たちの財産となった。

どの相手に対しても、ヤングなでしこは日本のスタイルを貫くことを目指した。そして、チームは1試合ごとに成長の階段を上がっていった。

【1試合ごとに成長を見せた日本】

初戦のナイジェリア戦を6−0の快勝で最高のスタートを切った日本だったが、グループリーグ第2戦のスペイン戦で、最初のターニングポイントを迎えた。内容的には互角に近い試合ではあったが、スペインの絶え間ない球際でのプレッシャーに対し、日本の強みである連動したパスワークを発揮できず、終盤に与えたPKによる1点で敗れた。

日本の強みをうまく出せなかったという点では、ショックな敗戦でもあった。だが、この敗戦を機にあらためて自分たちの良さとは何かを見つめ直し、次の試合までに立て直せたのは大きい。

2014年のU-17女子ワールドカップ優勝メンバーを中心に「世界大会で一度も負けたことのない」年代にとってはショックな敗戦でもあったが、悔しい思いをしてきた上の世代(乗松、隅田、籾木、平尾、長谷川、杉田)が経験を伝え、チームは気持ちを切り替えることができた。

この試合を教訓として、その後の4試合は、日本のスタイルを貫き、すべての試合を優勢に進めることができた。 

グループリーグ最終戦のカナダ戦を5-0で快勝すると、スペインがナイジェリアに敗れたことにより、得失点差で日本のグループ1位通過が決定。準々決勝のブラジル戦では、テクニックと連携を存分に活かして3-1で勝利した。

しかし、準々決勝で前回大会優勝のドイツを下したフランスと準決勝でぶつかった日本は、延長戦の末、1−2で敗れ、3位決定戦に回ることとなった。このフランス戦は、日本にとって2つ目のターニングポイントとなった。

日本は今大会に向け、体が強い相手にフィジカルの差を埋めるべく、組織的な対応だけでなく、1対1での対応やテクニックも入念に強化してきた。しかし、フランス戦では試合のほとんどの時間帯を支配しながら、それでも、超えられない壁が立ちはだかった。 

フランスがスペインのようなプレッシャーをかけてきたとしたら、また違った試合になっていたかもしれない。だが、フランスは自陣に引いて中央を固めてブロックを作り、日本のパスサッカーに対する徹底したカウンター対策を取ってきた。そして、日本は試合を支配しながらも、最後の局面で的確なポジショニングと体の強さを兼ね備える相手センターバックに苦戦。そのフィジカルを上回るテクニックやアイデアを見せることができず、ゴールは生まれなかった。そして延長戦で、サイドを割られ、「魔の2分間」で2失点を浴びた。

「体が一つ分、入らないとか、いい体勢でシュートが打てない中で、結局、クロスでやられてしまいました。(フィジカルの差は)いかんともしがたい壁ですが、そこは絶対に打ち破らなければいけないものですし、きれい事でやれるものではありません。日本の選手は小さいですし、やはりパワーアップは絶対に必要だと感じました。」(高倉監督)

フランスのファウルは24にも上った(日本のファウル数は4)が、それだけギリギリのところで日本の攻撃に耐えながらも、わずかなチャンスを活かした、そのしたたかさと勝負強さは、今後なでしこジャパン入りを目指す上で、選手たちが身につけていかなければならない部分だ。

チームが立ち上がって以来、世界一を目指してきた選手たちにとって、この敗戦はスペイン戦よりも重くのしかかった。だが、ここでも選手たちはすぐに気持ちを切り替える強さを見せた。それは、U-20ワールドカップの世界一という目標のさらに先にある、「なでしこジャパンで国を背負って活躍する」という未来に、目を向けることができたからだ。

3位決定戦のアメリカも、フランス同様、日本に対してカウンター攻撃の狙いを見せた。日本はそれに対し、29本ものシュートを放ちながら、最後の最後までゴールが決められずに苦しんだ。87分の上野のゴールでついに勝利を引き寄せたが、「引いた相手を崩す」という課題は、この試合でも浮き彫りになった。

技術や個の力を磨くことと同様に、拮抗した試合で勝利を引き寄せる戦術面の成長も、日本が19年のフランスワールドカップと20年の東京オリンピックで世界一を目指す上で向き合わなければならないテーマになる。決勝戦でフランスを破った北朝鮮は、先制されてもすぐに取り返し、さらに2点目、3点目を取りに行く強さを見せた。アジアのライバルと切磋琢磨する中で、今後、ヤングなでしこのメンバーは、なでしこジャパンでの世界一を目指すことになる。

今後、選手たちがさらに上のカテゴリーで世界一になるために、いくつかの課題がはっきりみえた大会でもあった。一方で、今大会を通じてヤングなでしこが魅せたサッカーのスタイルは揺るぎなく、日本らしいテクニックや、アイデアに溢れたコンビネーションも多くの試合で見ることができた。そのサッカーは、スタジアムに訪れた多くのファンを魅了して沸かせ、同時に他国にとっての脅威となっていた。

今後、そのスタイルがさらに洗練されると期待したい。

(2)【笑顔を絶やさなかったヤングなでしこ/監督コメント(帰国後)】

(3)【選手コメント(帰国後)】に続く