Yahoo!ニュース

主な新興国/米国経済ニュース(8日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

米テスラ、2015年1-3月期赤字幅予想下回る―株価上昇

テスラの主力の「Sモデル」=同社サイトより
テスラの主力の「Sモデル」=同社サイトより

米電気自動車専業のテスラ・モーターズ<TSLA>が6日に発表した2015年1-3月期(第1四半期)決算は、急激なドル高が響いて純損失が1年前の4980万ドル(約60億円)から約3倍の1億5400万ドル(約180億円)に拡大した。1株当たり損失(希薄化後)も1.22ドルとなった。しかし、一時的項目(従業員へのストックオプションの交付費用など)を除いた調整後では4500万ドル(約54億円)と、1株当たり損益でも前年同期の12セントの黒字から36セントの赤字となり、アナリスト予想の50セントの赤字を大幅に下回った。純損失の中には、ドル高による為替評価損2200万ドル(約27億円)、1株当たり17セントが含まれる。

一方、売上高は前年比51%増の9億3900万ドル(約1120億円)となった。これは主力の「モデルS」が前年比55%増の1万0045台と過去最高を記録したため。また、調整後の売上高も同54%増の11億ドル(約1310億円)となり、アナリスト予想の10億4000万ドル(約1240億円)を上回った。

この四半期決算の結果を受けて、同社の株価は6日、1.08%安の230.43ドルで引けたあと、時間外取引では一時、2.6%高にまで急伸したが、米東部時間午後7時59分時点で1.38%高の233.6ドルなっている。

-----

米ウェンディーズ、直営640店舗をフランチャイズ店オーナーに売却へ

米ファストフード大手ウェンディーズ<WEN>は6日に発表した2015年1-3月期(第1四半期)決算で、今後2年間で米国とカナダの直営640店舗を売却する方針を明らかにした。これによって直営店の比率が5%引き下げられる。今年は380店舗(カナダの100店舗を含む)、来年は米国内260店舗を売却するとしている。

同社の店舗数は2014年12月末時点で、全世界で6515店舗となっている。直営店の売却はプライベートエクイティ(PE)ファンドの協力を得て、既存のファランチャイズ店のオーナーへの売却進める計画で、同社のエミル・ブロリックCEO(最高経営責任者)は、「ファランチャイズ店のオーナーに売却することによって、オーナーの事業が強化され成長拡大が期待される」としている。同社では直営640店舗の売却で4億‐4億7500万ドル(約480億-570億円)の収益を見込んでいる。

-----

ロシア4月CPI、前月比0.5%上昇―9カ月ぶりに伸び減速

ロシア国家統計局(FSS)が6日に発表した4月の国内消費者物価指数(CPI)は前月比0.5%上昇(1-4月で7.9%上昇)と、前月(3月)の同1.2%上昇を下回った。前年同月比でも16.4%上昇と、前月の16.9%上昇から伸びが減速した。これは昨年7月以来9カ月ぶり。ロシアのプライム通信(電子版)などが伝えた。

伸びが鈍化したのは、食品が前月比0.3%上昇と、3月の同1.6%上昇から伸びが鈍化したため。年率でも3月の23%上昇から4月は21.9%上昇へ伸びが減速した。経済発展省では今年のインフレ率は12.2%上昇になると予想している。ちなみに、2014年は7.3%上昇だった。

-----

マレーシア中銀、政策金利を4会合連続で据え置き

バンク・ネガラ・・マレーシア(中銀)は7日の金融政策決定会合で、市場の予想通り、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を3.25%のまま据え置くことを決めた。据え置きは4会合連続となる。

中銀は会合後に発表した声明文で、国内景気の現状認識と今後の見通しについて、「マレーシア経済は、今後も内需が引き続き成長をけん引する。家計支出は物品・サービス税の増税の影響で緩やかな伸びとなるものの、所得と雇用の着実な増加に支えられ、マレーシア経済は着実な成長軌道を維持する」と景気の先行きに楽観的な見方を示している。

一方、インフレの見通しについては、「国内の燃料価格の低下で今年1-3月期のインフレ率は0.7%上昇にとどまった。今後は年末にかけてインフレ率は物品・サービス税の増税の実施を受けて上昇傾向となるが、国際商品相場や原油価格の低下によって上昇ペースは一部緩和されるほか、内需も落ち着いた動きになることから、インフレは引き続き抑制される」とし、インフレの先行きについても楽観的に見ている。

その上で、中銀は、「現在の政策金利の水準は依然として金融緩和の状態にあり、経済活動を支えている。今後は、国内外の経済の動向とそれらがマレーシア経済とインフレに及ぼすリスクを注意深く見守っていく」と述べ、前回と同様の文言を使っている。

次回会合は7月9日に開かれる予定。

-----

チェコ中銀、政策金利を事実上のゼロ金利に据え置き―為替介入も継続

チェコ国立銀行(中央銀行)は7日の金融政策決定会合で、政策金利の2週間物レポ金利を過去最低の0.05%のまま据え置くことを全員一致で決めた。中銀は2012年11月の会合で政策金利を0.25%から0.2%ポイント引き下げて0.05%と、事実上のゼロ金利にしており、これで据え置きは20会合連続。

また、中銀は金融政策決定会合後に発表した声明文で、事実上のゼロ金利の状況下ではこれ以上の追加利下げが困難なことから、前回会合に続いて、金融緩和のもう一つの方法として、為替介入を通じて自国通貨コルナの価値を下落させるという非伝統的な手段の継続も決めた。その上で、中銀は、為替介入は前回同様、コルナ売り・ユーロ買いによって1ユーロ=27コルナを引き続き達成目標とするとしている。

その上で、中銀は、前回と同様に、「今回の据え置き決定は、市場金利は現在の超低水準で続き、為替介入の手法を2016年末まで続けることを前提とした現在の経済予測や最新の経済データに基づいたものだ」と述べている。

中銀は今回の声明文でも、「(今回、中銀が示した)新しい経済予測に対して、ディスインフレ(物価上昇率の低下)となるリスクがある。また、ECB(欧州中央銀行)による量的金融緩和措置がユーロ圏とチェコ経済に良い影響が及ぶとの楽観的な見方が膨らんできている。こうした状況下では、中銀は金融政策の手段としての為替介入を2016年下期(7-12月)より前に打ち切ることはない」としている。

次回会合は6月25日に開催される予定。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

増谷栄一の最近の記事