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主な新興国/米国経済ニュース(1日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

米コカ・コーラ、英SABミラーとアフリカのボトリング事業統合で合意

米清涼飲料大手コカ・コーラ<KO>と英国の世界最大級のビール醸造大手SABミラーは先週、両社のアフリカの南部と東部の清涼飲料水のボトリング部門を統合するため、合弁会社「コカ・コーラ・ビバレッジズ・アフリカ」を設立することで合意したことを明らかにした。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)などが27日に伝えた。

新会社はSABミラーが57%、コカ・コーラが11.3%、残りの31.7%はコカ・コーラのアフリカでのボトリング事業を行っているグッチェ・ファミリー・インベストメンツが出資し、アフリカ12カ国向けのボトリングをカバーし、コカ・コーラのアフリカ全体の販売数量の40%を占めることになる。年間売上高は29億ドル(約3400億円)の予定で、アフリカ最大のコークのボトラーとなる。

また、コカ・コーラはSABミラーのリンゴ果汁飲料「アップルタイザー」の全世界での販売権と、それ以外のノン・アルコール飲料19品目のアフリカと中南米での販売権を2億6000万ドル(約310億円)で取得する。これによって、コカ・コーラは従来の「コーク」や「スプライト」、「ファンタ」などのソーダ飲料から消費者の嗜好が移ってきている果汁飲料へ商品構成を充実させることが可能になる。

一方、SABミラーにとっても、両社のボトリング部門の統合によって、従来のビール醸造中心の生産体制から清涼飲料水への生産シフトを一段と強めることが可能になる。SABミラーの清涼飲料水部門は現在、売り上げ全体の20.6%で、2009年の17.2%から徐々にそのウェートが高まってきている。

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11月24-28日のロシアRTS指数、大反落―原油・通貨安で

前週(11月24-28日)のロシア株式市場は、RTS指数(ドル建て)の11月28日終値が前週比10.7%安の974.27と、大反落し、2009年7月以来5年4カ月ぶりの安値となった。

これは27日のOPEC(石油輸出国機構)会合で、原油生産量の削減が見送られ、生産水準の据え置きが決定されたため、ロシア経済を支える原油価格が急落し、その結果、ルーブルも対ドルで急落したことで、RTS指数は大幅下落となったもの。

週明けの24日は、同日から27日まで開かれたEU(欧州連合)の欧州議会の本会議で、対ロ追加経済制裁が採択されるとの懸念が広がったが、ルーブルが対ドルで2%上昇に転じたことから、RTS指数は1.64%高と、急騰した。しかし、翌25日は材料難に加え、市場参加者の多くが27日のOPEC会合の結果を見たいとして様子見気分が強まり、ルーブルも反落したことから、RTS指数は2.02%安と、反落。26日もルーブルの続落や、OPECは原油生産の削減を見送るとの見通しが強まったため、RTS指数は2.54%安となった。

27日もOPECが原油生産の水準を維持する決定を下したことで、代表的油種であるブレント原油先物が急落し、近い将来、1バレル当たり70ドル割れもありうるとの見方が広がる一方で、ルーブルも一段安となり、RTS指数は2.06%安と、3日連続の大幅下落となった。週末の28日も原油安とルーブル安で、RTS指数は3.2%安と、4日続落となった。

今週(12月1-5日)のロシア市場は引き続き、原油とルーブルの相場動向などが焦点となる見通しだが、アナリストは、OPECが原油生産の水準を据え置いたものの、原油価格は依然として安値水準にあることや、今後、冬の厳寒期を迎えて原油需要が高まるため、将来的には、ブレント原油は1バレル当たり77ドルを最初の目標値として買いが入り、それとともにルーブルも反発し、RTS指数は底値を打つ可能性が高いと見ている。

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前週のインド株は6週続伸―利下げ観測と原油安で=BRICs市況

前週(11月24-28日)のインド株式市場で、代表的株価指数SENSEX指数の11月28日終値は、前日比0.9%高の2万8693.99となり、終値ベースでも過去最高値を更新した。週間ベースでも21日終値比359ポイント(1.3%)高と、6週続伸となり、月初来でも3%高となった。

これは、原油価格が2011年以来の大幅安となったことに加え、インド中央銀行が景気刺激のため、12月2日の金融政策決定会合で利下げを実施するとの観測が広がったもので、週末の28日は一時、1.3%高の2万8822にまで急騰した。

週明けの24日は、中国の利下げやECB(欧州中央銀行)の追加緩和観測が相場を押し上げた。特に中国の利下げで鉄鋼需要が高まるとの思惑で鉄鋼大手タタ・スチールやヒンダルコ・インダストリーズがそれぞれ3%高、3.37%高となり、SENSEXは0.58%高となった。翌25日はこれまでの相場上昇は行き過ぎとの見方で利食い売りに押され、SENSEXは0.6%安と、4営業日ぶりに反落。26日は、SENSEX指数の先物・オプション取引のSQ(特別清算指数)算出を27日に控えて、売り持ち解消の買いが広がったほか、都市開発省がデリーの建物容積率を拡大すると発表したことで不動産セクターが急伸し、SENSEXは反発した。

27日は、7-9月期GDP(国内総生産)の発表を翌日に控えていることから様子見気分が広がったものの、原油価格が4年ぶり安値にまで下落したことでインフレ懸念が緩和し中銀の利下げ観測が強まったことから発電機大手バーラト重電機が急騰したほか、日用品最大手ヒンドゥスタン・ユニリーバとソフトウエア大手インフォシスも上場来高値を付け、SENSEXは0.2%高となった。週末の28日は、7-9月期GDP伸び率が前期比5.3%増と、4-6月期の同5.7%増を下回ったものの、アナリスト予想の5%増を上回ったことや、原油相場の下落で、インドステイト銀行 が4年ぶり高値、ジェット・エアウェイズも航空燃料の低下観測で5年ぶり高値となった。

今週(12月1-5日)のインド市場は、2日の中銀の金融政策決定会合に市場の関心が集まるが、多くのアナリストは利下げを予想している。また、原油価格の低下が長期化するとの見方も強まっており、中には、今後2年間は、原油相場は低水準が続くほか、他の国際商品相場も急落する可能性があり、国内企業の業績改善につながるとの楽観的な見方もある。主な統計発表は、1日の11月HSBC製造業PMI(購買担当者景気指数)など。

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前週のブラジル株は反落―景気回復懸念で=BRICs市況

前週(11月24-28日)のブラジル株式市場は、11月最後の取引となった28日のボベスパ指数が前日比0.1%安の5万4664.36となり、週間ベースでも21日終値から2.5%安と、反落した。ただ、月初来では0.06%高と、かろうじてプラス圏を維持している。

27日のOPEC(石油輸出国機構)会合で、原油生産量の削減が見送られたため、代表的油種であるブレント原油先物が急落したことを受けて、国営石油大手ペトロブラスの株価が急落したことや、新財務相にジョアキン・レビ元財務局長が就任しても早期の景気回復は困難との見方が広がり地合いが悪化した。

週明けの24日は、ブラジルの経済成長に対する懸念などでボベスパ指数は1.2%安と、4営業日ぶりに反落した。ただ、個別銘柄では鉄鋼大手コンパニア・シデルルジカ・ナシオナル(CSN)は同社が保有するカザ・ジ・ペドラ鉱山と、伊藤忠商事やJFEスチール、韓国ポストなどが出資しているナミザ鉱山を統合することで合意したのを受けて、CSNが1.2%高となった。翌25日のボベスパ指数は0.3%高と反発したが、26日には軟調が続いている鉄鉱石相場が2009年以来5年ぶり安値に下落したことからブラジル鉱山大手ヴァーレが4%安となり、CSNも7.9%安となったことが響いてボベスパ指数は0.8%安となった。

27日はレビ氏が新財務相に任命されたものの、ブラジル経済が回復するには時間がかかるとの悲観的な見方が広がる一方で、原油価格が4年ぶり安値に下げたことを受けてペトロブラスが4.7%安となり、ボベスパ指数は0.7%安と、続落した。週末の28日は中銀による為替介入の縮小観測で自国通貨レアルが下落する中、輸出銘柄が買われ、また、原油安で航空会社のゴル・リニャス・アエリアス・インテリジェンテスも3.2%高となったものの、ペトロブラスがこの日も4.8%安と、大幅に値を下げたため、ボベスパ指数は3日続落となった。

今週(12月1-5日)の株式市場は、3日の中銀の金融政策決定会合に市場の関心が集まる見通し。また、市場に影響を与えそうな主な経済指標や行事は、11月貿易収支(1日)や鉱工業生産指数(2日)、11月HSBC製造業・非製造業PMI(購買担当者景気指数、3日)、IPCA(拡大消費者物価指数、5日)など。

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インドネシア国営プルタミナ新CEOにセメンのドゥイ元CEOが就任

インドネシアのリニ・スマルノ国営企業相は先週末、国営石油大手プルタミナの次期CEO(最高経営責任者)に、国営セメント大手セメン・バトゥラジャのドゥイ・ソエトジプト元CEOが就任したことを明らかにした。アンタラ通信(電子版)が伝えた。

新CEOの任期は2019年までの6年間。ドゥイ氏は1955年11月10日生まれの59歳で、セメンのCEO当時、ベトナムに新工場を建設するなど事業拡大に手腕を発揮した。同氏は、会見で、「プルタミナの新CEOとして、上流から中流、下流のすべての事業分野での業績を向上させるため、改革を進める」と述べている。

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米小売り大手ウォルマート、今年の感謝祭商戦は過去2番目の売り上げに

米小売り最大手ウォルマート・ストアーズ<WMT>は年末商戦の口火を切った“ブラック・グループフライデー(感謝祭翌日の金曜日)”と呼ばれる先週末の感謝祭商戦で、オンライン販売の売り上げが昨年のサイバー・マンデー(感謝祭後の最初の月曜日)に次いで過去2番目の大きさとなった。

同社のローラ・フィリップス上級副社長によると、この日だけで、2500万人超の顧客が同社のショッピングサイトのブラック・フライデー関連広告にアクセスがあったとしている。売り上げ上位5傑はタブレット(多機能携帯端末)型PCとテレビ、シーツ、子供服、ビデオゲームだった。また、感謝祭当日(11月27日)の午後6‐10時の特別セールでは全米の店舗に2200万人超が来店したが、これは前年並みだった。

全米小売業協会(NRF)によると、今年の感謝祭商戦では前年並みの約1億4000万人が買い物を楽しむと予想している。昨年のブラック・フライデーの売り上げは574億ドル(約6.8兆円)だったが、2009年以来4年ぶりに前年水準を下回っている。

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マレーシア航空、2014年7-9月期最終赤字が200億円に拡大

今年2度も起きた航空機事故で経営危機に陥っているマレーシア航空の親会社、マレーシア航空システムが先週末に発表した2014年7-9月期(第3四半期)決算は、純損失が5億7560万リンギット(約200億円)となり、前年同期の3億7320万リンギット(約130億円)の赤字を大幅に上回った。赤字はこれで7四半期連続となる。1株当たり損失(希薄化後)も前年同期の2.25リンギットから3.45リンギットに拡大した。

また、売上高も前年比12.1%減の33億3000万リンギット(約1170億円)となった。同社は今年3月8日に起きたクアラルンプールから北京に向かっていた370便(乗員・乗客239人)が突然、インド洋上で行方不明となったほか、7月18日には17便(同298人)がウクライナ上空で撃墜される事件が起きたが、これらの航空機事故以前から慢性的な経営赤字が続いている。

このため、同航空の株式70%を保有している政府系投資ファンドのカザナ・ナショナルは8月に同社の救済策を発表し、残りの株式30%を買い取って上場廃止した上で、経営再建を図る計画。再建では従業員全体(2万人)の30%に相当する6000人を解雇するほか、運航路線の縮小やサプライチェーンの約5000社との契約見直しで経費を節減する。また、同社に60億リンギット(約2100億円)の金融支援を実施し、経営の黒字化を目指したいとしている。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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