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主な新興国/米国経済ニュース(17日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

米ネットフリックス、2014年7-9月期は売り上げや契約者数低迷で株価急落

米オンラインDVDレンタル・映像ストリーミング大手ネットフリックス<NFLX>が15日に発表した2014年7-9月期(第3四半期)決算は、純利益が前年比84%増の5900万ドル(約60億円)、1株当たり利益(希薄化後)も同85%増の96セントとなり、アナリスト予想の92セントを上回った。売り上げも同38%増の12億2000万ドル(約1300億円)となったが、アナリスト予想の14億1000万ドル(1500億円)を下回った。

また、同四半期中の新規の動画視聴契約者数が302万人となったものの、会社予想の369万人を大幅に下回った。全体の新規契約者数のうち、米国での契約者数は5月の視聴料の1ドルの値上げが響いて前年割れとなった。

こうした四半期決算結果を受けて、同社の株価は15日、0.12%安の448.59ドルで引けたあとの時間外取引では米東部時間午後7時59分時点で、26.44%安の330ドルと、急落している。

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米クアルコム、英同業大手CSRを2650億円で買収へ―IoE分野強化で

米携帯電話向け半導体大手クアルコム<QCOM>は15日、現在、急成長をしているモノと人をインターネットでつなぐ、いわゆる「Internet of Everything(モノとのインターネット)」分野を強化するため、英半導体大手CSR(旧社名はケンブリッジ・シリコン・ラヂオ)を15億6000万ポンド(約2650億円)で買収することで合意したことを明らかにした。CSRの買収は2015年夏ごろに完了する予定。

買収額は1株当たり900ペンス(約1530円)で、これはCSRの8月27日の株価に対し、約57%のプレミアム(上乗せ額)となる。8月当時、CSRは米半導体大手マイクロチップ・テクノロジーからも買収提案を受けていたがこれを拒否していた。

今後、クアルコムはCSRのブルートゥースや音声処理の技術も利用して、スマートフォンなどのモニター装置を使って室内の照明器具や健康監視用センサーなどを遠隔操作するインターネット接続関連機器の開発に必要なソリューション技術の提供が可能になる。また、スマホを使って自動車を遠隔操作するハイテクカーの分野にも進出するチャンスとなると見られている。

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ロシア、連日の市場介入と外貨預金入札実施で通貨防衛強める

ロシアの財務省と中銀は15日、自国通貨ルーブルが連日、ドルとユーロに対し過去最安値を更新していることから、ルーブルの下落に歯止めをかけるための対策を一段と強化している。モスクワ・タイムズ(電子版)などが伝えた。

ウクライナ危機に絡んだ欧米の対露経済制裁や原油安などの悪影響でロシアへの投資リスクを回避する動きが強まっており、ルーブルはこの日もドルに対し、一時、1ドル=41.04ルーブル、ユーロに対しても1ユーロ=52ルーブル超となり、過去最安値を記録した。このため、中銀ではドル/ユーロ売り・ルーブル買いの市場介入を連日実施して、ルーブル安を阻止する動きを強めている。中銀によると、10-13日に4日間だけで市場介入額は1096億2000万ルーブル(約2850億円)に達した。中銀の市場介入額は2日遅れで公表されている。

また、財務省は15日、ルーブル安を阻止するため、同省が保有している外貨預金を市中銀行に売却するための入札を近く実施することを明らかにした。同相は入札によって市場に必要な外貨を供給することで、対露制裁による市中銀行の外貨不足を緩和し、ルーブル安を阻止したい考えだ。アントン・シルアノフ財務相によると、財務省は現在、数十億ドル(数千億円)相当の外貨を保有している。入札は1カ月以内に実施される見込み。

蘭金融サービス大手INGのチーフエコノミスト、ドミトリー・ポレボイ氏は、財務省の入札は過去の例から57億ドル(約6000億円)になると見ているが、ルーブル安の下落ペースを緩和させるのが精一杯で、下落を阻止できる可能性はないと悲観的だ。

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ムーディーズ、インドネシアのソブリン債格付け見通しを「安定的」に

米信用格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスは15日、インドネシアのソブリン債格付けに対する今後、数四半期の見通し(アウトルック)を「安定的」とすることを決めた。ジャカルタ・グローブ(電子版)が伝えた。

その理由について、ムーディーズは、健全な金融ファンダメンタルズ(基礎的条件)の状況が続いているほか、マクロ経済も改善していること、さらには政治の不安定要因も減ってきていることを挙げている。

ムーディーズと米英大手信用格付け会社フィッチ・レーティングスは2011年後半にいずれもインドネシアのソブリン債格付けを投資適格級に引き上げたが、米信用格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)だけが依然としてジャンク級としている。

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インド鉄鋼大手タタ・スチール、欧州の長尺鉄鋼事業部門を売却へ

欧州の鉄鋼生産で2位にランクされるインド鉄鋼大手タタ・スチールは15日、鉄鋼需要の減少と生産・流通コスト増で採算性が悪化している欧州の長尺鉄鋼事業部門をスイス特殊鋼・長尺鉄鋼生産大手クレッシュ・グループに売却することで合意し、了解覚書(MOU)に調印したことを明らかにした。

長尺鉄鋼は鋼材や丸棒、鋼線、構造用形鋼、レール、鋼管などで、売却されるのは主にイングランド北東部のスカンソープとティーズサイド、スコットランドのダルゼルとクライドブリッジ、このほか、ドイツとフランスにある長尺鉄鋼を生産している製鉄所。これらの製鉄所の従業員数は6500人となっている。ちなみに、タタの欧州全体の製鉄所の従業員数は3万0500人で、そのうち、英国は1万7500人を占める。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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