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主な新興国/米国経済ニュース(24日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

米ハーレーダビッドソン、同社初の電動大型バイクの試乗開始へ

米オートバイ大手ハーレーダビッドソン<HOG>は先週、同社で初めての試みとして、電動大型バイクの試作車を発表した。

ハーレーダビッドソンの初の電動大型バイク=同社サイトより
ハーレーダビッドソンの初の電動大型バイク=同社サイトより

この電気自動2輪車は家庭用電源からプラグを使ってバッテリーに充電するプラグイン式で、名前は「プロジェクト・ライブワイヤー」。まだ市場には投入されていないが、同社では週明けの23日から33台のライブワイヤーを用意し、ニューヨークのマンハッタン店を皮切りに年末までに国内30店で顧客に試乗してもらう全国キャンペーンを開始する。2015年にはカナダや欧州でも実施する計画で、同社では試乗の感想を聞いて改善点を洗い出し完成車にまでこぎつけたい考えだ。

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米シティグループ、傘下の投資銀行のケリー会長の退任を発表

米金融大手シティグループ<C>は先週末、傘下のシティグループ・インベストメント・バンクのネッド・ケリー会長の退任を発表した。後任にはシティグループのスティーブン・ボルク副会長の起用が決まった。米経済専門テレビ局フォックス・ビジネス(電子版)などが伝えた。

ケリー氏は2008年の世界的な金融危機当時、ビクラム・パンディット元CEO(最高経営責任者)が2012年に退任するまで、CFO(最高財務責任者)を務めていた。ボルク氏は引き続き、シティグループの副会長職も兼務する。また、シティグループ・インベストメント・バンクのジェネラル・カウンセルのジェフリー・スモール氏も退任し、その後任にアダム・メシェル氏が昇格する。

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米コーチ、売り上げ低迷で北米70店舗を閉鎖へ

米高級革製品大手コーチ<COH>は先週の19日、売り上げが低迷しているため、経営合理化の一環として、来年にかけて、北米地域にある70店舗(全体の約13%)を閉鎖する計画を明らかにした。米経済専門オンラインメディア、CNNマネーなどが伝えた。

同社の売り上げは4月29日に発表された最新の1-3月期(第3四半期)決算でも前年比7%減と、低迷している。このため、同社の株価も年初来で37%も下落しており、同業他社のマイケル・コースの19%高やケイト・スペードの20%高とは対照的な結果となっている。

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米グーグル、日米結ぶ新太平洋横断海底ケーブルに投資へ―通信枠確狙い

米インターネット検索大手グーグル<GOOG>は、日本と米国を結ぶ新しいデータ通信用の太平洋横断海底ケーブルの敷設プロジェクトに投資する方向で検討しているもようだ。米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が先週末に関係筋の話として伝えた。

この背景には米国のインターネット会社や銀行、調査機関など大手ハイテク企業が独自の通信ネットワークを使って、データ通信量を飛躍的に拡大する傾向がある。インターネット事業で成功したグーグルとしても、新しい太平洋横断ケーブルの敷設工事に投資することによって、グーグル専用のデータ送信枠を確保し通信品質を向上させたい狙いがある。グーグルでは新海底ケーブルを使って、オレゴン州などにある複数のデータセンターと日本を結ぶ計画だ。

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ブルガリア中銀、KTB銀行を管理下に―破たん回避で

ブルガリア中央銀行は先週末、経営難に陥っているコーポレートコマーシャルバンク(KTB)の経営破たんを回避するため、管理下に置いた。ソフィア通信社(電子版)が伝えた。

中銀によると、KTB銀行から中銀に対し、手元流動性が枯渇し、すべての支払いと銀行業務を停止したとして、管理下に置くよう要請があったとしている。これを受けて、中銀は直ちに、KTBの株主の権利を破棄し、KTB内に監督委員会を設置した。KTBは3カ月間中銀の管理下に置かれ、その期間中、同行の顧客はすべての銀行サービスが受けられなくなる。

一方、中銀のイヴァン・イスクロフ総裁は同日の記者会見で、「KTBを管理下に置いたことで、同行の破たんは回避できた」と述べている。KTB銀行は以前、国内でも流動性資金が高水準であることで知られていたが、中銀の副総裁がKTBと癒着しているとの憶測が流れたあと、大量の預金流出が続いていた。この時期、中銀のツヴェタン・グーネフ副総裁が裁判所の予審を受けることもKTBに関する憶測を深める結果となっていた。

KTBの大株主にはロシア2位の国営金融大手VTB(対外貿易銀行)が含まれており、VTBはKTBの株式の9.9%を保有している。

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ベトナム航空、IPOの株式売り出しで50億円調達か

国営ベトナム航空は7-9月期に新規株式公開(IPO)を実施すると見られているが、その際に、発行済み株式の3.5%に相当する4900万株を1株当たり2万2300ドン(約107円)で売り出し、5100万ドル(約50億円)の資金を調達するもようだ。地元オンラインメディアのインテルアジアなどが23日に伝えた。

また、同航空会社の企業価値は先月、金融アドバイザーの調査では推定27億ドル(約2750億円)とされていたが、それを下回る15億ドル(約1530億円)になる見通し。政府は当面、同航空会社の持ち株比率を75%としたい考えだが、将来的には65%に引き下げる可能性がある。また、全体の20%は他の航空会社や投資会社など戦略パートナーに売却し、一部は従業員にも売却する計画。

ベトナムではIPOと株式市場への上場は別々に行われる慣習があり、ベトナム航空も上場はIPOから1年後になる可能性がある。同航空会社はホーチミン証券取引所(HOSE)に上場する予定。

同航空会社は現在、国内21路線、アジアや欧州、豪州の26カ国・地域の拠点都市を結ぶ国際28路線で運航しており、昨年だけでも国内外の路線で1470万人の乗客を輸送している。

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ブラジル中銀週報:2014年GDP伸び率見通し、4週連続で下方修正

ブラジル中央銀行が23日に発表した先週の経済週報「フォーカス・ブルティン」によると、同中銀の委託を受けた民間アナリストが予想した2014年実質GDP(国内総生産)伸び率見通しは、前週予想の前年比1.24%増から1.16%増へ下方修正された。下方修正は4週連続。1カ月前の予想は1.63%増だった。一方、2015年のGDP伸び率見通しも前週予想の同1.73%増から1.6%増へ下方修正された。下方修正は5週連続。1カ月前の予想は1.96%増だった。

また、7月15-16日に開かれる中銀の金融政策決定会合時の政策金利の見通しは11%のまま据え置かれた。据え置きは6週連続。2014年末時点の政策金利見通しも、前週予想の11%のまま据え置かれた。据え置きは3週連続。1カ月前の予想は11.25%だった。2015年末時点の見通しも前週予想の12%のまま据え置かれた。据え置きは4週連続。1カ月前の予想は12%だった。

IPCA(拡大消費者物価指数)で見たインフレ見通しは、2014年は前週予想の前年比6.46%上昇のまま据え置かれた。1カ月前の予想は6.47%上昇だった。2015年の見通しは前週予想の6.08%上昇から6.1%上昇へ下方修正(悪化方向)された。下方修正は4週連続。1カ月前の予想は6%上昇だった。

為替レートの見通しは、2014年末時点のレアルの対ドルレート(中央値)は、前週予想の1ドル=2.4レアルのまま据え置かれた。据え置きは3週連続。2015年末時点の対ドルレートも前週予想の2.5レアルのまま据え置かれた。据え置きは3週連続。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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