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主な新興国/米国経済ニュース(3月14日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

ウクライナ、来週EU連合協定の政治部分に署名―EUは対ロシア制裁へ

ロシアの軍事介入の危機に直面している旧ソ連・ウクライナのアルセニー・ヤツェニュク暫定首相は12日、米国のホワイトハウスで、バラク・オバマ大統領と会談し、ウクライナ危機の平和的な解決方法について協議したが、ウクライナは来週にEU(欧州連合)加盟に向け連合協定(EU加盟を前提としたEUとの法的枠組みを定めた国際条約)の政治部分に署名する見通しを明らかにした。ノーボスチ通信(電子版)が13日に伝えた。

ヤツェニュク暫定首相は「連合協定の政治部分に署名することで、ウクライナはEU加盟に向けて一歩近づくことになる」と述べている。ウクライナは昨年11月にビクトル・ヤヌコビッチ大統領がEU加盟協議を断念したため、反政府市民抗議デモが激化し、今年2月にはEU加盟支持のウクライナ議会がヤヌコビッチ大統領の罷免決議を採択、5月に新大統領を決める選挙の実施を決めた。しかし、ロシアに亡命したヤヌコビッチ大統領はウクライナの政治危機は反体制派のクーデターだとし、依然、ウクライナの合法的な大統領であることを主張して政治危機が続いている。

一方、ロイター通信(電子版)によると、EU加盟28カ国は12日、ロシアのウクライナへの軍事介入やウクライナ南部クリミア半島のロシア編入を阻止するため、東西冷戦以来となる対ロシア制裁の実施で基本合意し、ロシア制裁で米国と共同歩調を取ることになった。EUの対ロシア制裁はウクライナの領土主権の侵害に関与したロシアの企業や個人のEU域内への渡航禁止や資産凍結が予想されており、ドイツのアンゲラ・メルケル首相は外交上でウクライナ危機解決に向けての進展がなければ、17日から制裁措置が発動されるとしている。

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インドネシア中銀、政策金利を据え置き―市場の予想通り

インドネシア中央銀行(BI)は13日の理事会で、政策金利である翌日物BI金利を現行の7.5%のまま据え置いた。市場の予想通りだった。据え置きは2013年12月から4会合連続。また、過剰流動性を吸収するために翌日物預金ファシリティー金利(FASBIレート)も5.75%、翌日物貸出ファシリティー金利も7.5%に据え置いた。

中銀は理事会後に発表した声明文で、今回の金利据え置き決定について、「中銀の金融政策は、インフレ率を2014年の物価目標4.5%プラスマイナス1%と2015年の物価目標4%プラスマイナス1%にまで低下させ、経済の基盤を強化することによって経常赤字も健全で持続可能な水準に削減するという、金融引き締めの姿勢を反映したものだ。ここ最近、インフレ率は抑制されており、経常赤字も縮小している」と述べている。前回とほぼ同様な文言を使っている。

インフレの見通しについては、中銀は、「2月のインフレ率は前月比0.26%上昇、前年比7.75%上昇と、1月のそれぞれ1.07%上昇、8.22%上昇から劇的に伸びが鈍化しており、過去5年間の平均を下回っていることから、2014年のインフレ率は物価目標4.5%プラスマイナス1%に収まる」としている。

また、景気見通しについては、世界景気の回復が緩やかなため、輸出が伸び悩むほか、政府が1月12日から2009年鉱山法に従って国内の鉱山会社に対し、国内に精錬所を建設しなければ鉱物資源の輸出を禁止する政令を発布した影響で、今年の成長率見通しを前回予想時の5.8-6.2%増から5.5-5.9%増へ下方修正した。

自国通貨ルピア安の進行については、中銀は声明文で、「2月のルピア相場は平均で1ドル=1万1919ルピアとなり、1月平均(1万2160ルピア)に比べ2.02%上昇(ドル安・ルピア高)したが、今後も引き続き、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)に見合った為替相場の安定を維持していく」と述べている。

次回の金融政策決定会合は4月8日に開催される予定。

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ベトナム中堅行サコムバンク、南方銀行と合併へ

ベトナム8位の中堅銀行サコムバンク(STB)のファン・ヒュイ・クアン頭取は、今月25日に開催する株主総会で、南方銀行(フォンナム商業銀行)との合併問題について承認を求めたい考えを明らかにした。地元オンラインメディアのインテルアジアが13日に伝えた。

同頭取は、株主総会で両行の合併が承認された後、ベトナム中央銀行に合併申請を行うとしている。また、合併によって、銀行経営の不透明の原因となっている銀行同士の株式持ち合いが解消され、外国資本の受け入れが有利に進むとしている。

ベトキャピタル証券によると、合併後、サコムバンクの営業拠点数は416店舗から558店舗に急拡大するほか、総資産も46%増加すると指摘している。

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米GE、北米消費者金融部門を今年後半にIPOへ

米複合企業大手ゼネラル・エレクトリック(GE)<GE>は13日、米証券取引委員会(SEC)に対し、同社の北米消費者金融部門であるGEキャピタルリテールファイナンスをニューヨーク証券取引所に新規株式公開(IPO)するための申請を行った。

今回のIPOは、GE本体として消費者金融事業から撤退するために実施されるもので、今年後半の完了を目指している。IPOで株式の売り出し規模や売り出し価格などの詳細は明らかされていない。IPO完了後は、同部門はシンクロニー・ファイナンシャルを名乗り、2015年には会社分割する計画だ。

GEが昨年11月に発表した当初計画では、IPOは1-3月期に発行済み株式の20%を売り出すとしていた。同部門の時価総額は180億-200億ドル(約1兆8000億-2兆円)になると推定されている。また、IPOの引き受け幹事は、ゴールドマン・サックス<GS>やJPモルガン・チェース<JPM>、モルガンスタンレー<MS>、英金融大手バークレイズ、バンクオブアメリカ・メリルリンチ、スイス金融大手クレディ・スイス、ドイツ銀行証券となっている。ちなみに、同部門の2013年の純利益は前年比7%減の19億8000万ドル(約2020億円)となっている。

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米小売り大手ダラー、Q4小幅増益―猛吹雪で売り上げ伸びず

米ディスカウント小売りチェーン大手ダラー・ゼネラル<DG>が13日に発表した2013年11月-2014年1月期(第4四半期)決算は、純利益が前年比1.5%増の3億2200万ドル(約330億円)、1株当たり利益(希薄化後)も同4%増の1.01ドルとなり、アナリスト予想と一致した。小幅増益となったのは冬期の猛吹雪の影響で店舗閉鎖が相次いで売り上げが伸び悩んだためとしている。

また、売上高は同7%増の44億9000万ドル(約4600億円)となったものの、アナリスト予想の46億2000万ドル(約4700億円)を下回った。既存店ベースの売上高は同1.3%増にとどまっている。2-4月期(第1四半期)の業績見通しについては、1株当たり利益は72-74セント、総売上高は前年比7-8%増、既存店売上高は同2-3%増と予想。通期では1株当たり利益は3.45-.3.55ドル、総売上高は同8-9%増、既存店売上高は同3-4%増を見込んでいる。

この四半期決算の結果を受けて、同社の株価は13日2.18%安の58ドルと、値下がりしている。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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