Yahoo!ニュース

主な新興国/米国経済ニュース(2月28日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

ロシア財務省、9月から銀行の流動性供給を増やす金融緩和策導入へ

ロシアのアントン・シルアノフ財務相は26日、金融システムへの流動性供給を潤沢にすることによって、貸出金利の低下を促すため、財務省が市中銀行に預けている国庫金の最低預金残高を9月から従来の6000億ルーブル(約1兆7000億円)から3分の1の2000億ルーブル(約6000億円)に引き下げる方針を明らかにした。ノーボスチ通信(電子版)が伝えた。

同相は、「財務省は国庫金を銀行に預け続けるのではなく、実体経済にこれらの流動性が回るようにしなければならない。それによって銀行の流動性が高まり、貸し出し金利の低下が見込める」と述べている。同省のロマン・アチューヒン連邦国庫庁長官は、「9月に国庫金の最低預金額が変更される」としている。

このところ、ロシアの金融市場では流動性不足のため、1週間物のモスプライム(銀行間取引金利)は6.5%と、中銀が市場変動を抑えるために設定している固定貸し出し金利と一致している状況。中銀は新主要政策金利である資金供給のための1週間物入札レポ金利と資金吸収のための1週間物入札預金金利をいずれも5.5%のまま維持したい考えだが、ウラジーミル・プーチン大統領は景気刺激のため、企業の借り入れ金利の低下を促す措置を求めている。

-

ロシアのUCルスアル、インドネシアにアルミナ精錬所建設へ

ロシアのアルミ地金世界最大手UCルスアルはインドネシアの西カリマンタン州に300万ドル(約3億1000万円)を投じて、アルミナ精錬所とアルミニウムとアルミナの原料であるボーキサイトの採掘プラントを建設する。地元経済紙ビジネス・インドネシア(電子版)が27日に伝えた。

アルミナ精錬所は2017年の完成を目指し、年間120万トンのアルミナを生産する計画。現在、同社はフィージビリティ(実現可能性)調査を行っており、この計画を達成するためには原料となるボーキサイトは年間300万トン、石炭は100万トンが必要となり、また、最低でも2億トンのボーキサイトの埋蔵量が必要になるとしている。

-

ベトナム航空、今週末にも株式上場に向け企業価値の試算結果報告へ

国営ベトナム航空は新規株式公開(IPO)に必要な書類手続きの準備に入っているが、同社のファム・ベト・タイン会長は早ければ週末28日までに運輸省に対し、企業価値の試算結果を報告する見通しを明らかにした。地元金融情報サイト、ストックスプラス(電子版)が27日に伝えた。

同社はすでに昨年4月、IPOに関するコンサルティング契約を米証券大手モルガンスタンレーや米金融大手シティグループ、ベトナム投資開発銀行(BIDV)傘下のBIDV証券、企業価値算定サービス大手ベトナム・バリュエーション・ファイナンス・コンサルタンシーと結んでいる。

同社はIPOの実施時期については明らかにしていないが、今夏までには実施し、2015年1月から上場企業として正式に事業を開始したいとしている。同社はIPOで発行済み株式の20‐30%を戦略的パートナーに売却し、少なくとも2億ドル(約205億円)の資金を調達すると見られている。政府はIPO後も70-75%の株式を保有する。

-

米家電小売り大手ベスト・バイ、Q4決算は黒字転換―予想上回り株価急伸

米家電小売り大手ベスト・バイ<BBY>が27日に発表した2013年11月-2014年1月期(第4四半期)決算は、最終損益が前年同期の4億0900万ドル(約420億円)の赤字から一転して、2億9300万ドル(約300億円)の黒字となった。前年との比較が可能な継続事業ベースの1株当たり損益(希薄化後)も1.36ドルの赤字から88セントの黒字となった。また、調整後の1株当たり利益は前年比16%減の1.24ドルとなったものの、アナリスト予想の1.01ドルを上回った。

一方、売上高は同3%減の144億7000万ドル(約1兆4800億円)となり、アナリスト予想の146億7000万ドル(1兆5000億円)を下回った。また、2014年2-4月期(第1四半期)の業績見通しについては税関連コストの影響で1株当たり利益は3-4セントとなるほか、今年上期の売上高は家電の低迷で、引き続き前年水準をやや下回ると予想している。

この四半期決算の発表後、同社の株価は27日、米東部時間午前8時45分時点で7.44%高の27.74ドルと上昇している。

-

米百貨店チェーン大手JCペニー、Q4決算は黒字転換し株価急騰

経営難に陥っている米百貨店チェーン大手JCペニー<JCP>の株価が27日、20%を超える大幅高となった。これは前日(26日)に発表された2013年11月-2014年1月期(第4四半期)決算で、最終損益が前年同期の5億5200万ドル(約560億円)から一転して、3500万ドル(36億円)の黒字、1株当たり損益(希薄化後)も2.51ドルの赤字から11セントの黒字となったほか、調整後の1株当たり損益は68セントの赤字だったものの、アナリスト予想の81セントの赤字を上回ったこと、さらに、マイロン・ウルマンCEO(最高経営責任者)が今年から業績が改善する見通しを示したことが好感されたためだ。

売上高は前年比2.6%減の37億8000万ドル(約3860億円)となり、アナリスト予想の38億4000万ドル(約3910億円)を下回った。しかし、既存店ベースでは同2%増と、2011年夏以来2年半ぶりの増加となった。また、租利益率は前年同期の23.8%から28.4%へ拡大し、アナリスト予想も上回った。2014年2-4月期(第1四半期)の業績見通しについては、既存店ベースで前年比3-5%増、通期では5%増を予想している。同社の株価は27日、米東部時間9時26分時点で23.15%高の7.34ドルとなっている。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

増谷栄一の最近の記事