Yahoo!ニュース

主な新興国/米国経済ニュース(2月26日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

ウクライナ、財政破たん回避で3.6兆円の金融支援必要―財務相代行

大統領が逃亡して政治空白が生じている旧ソ連ウクライナのユーリ・コボロフ財務相代行は24日、政府資金が底を尽き始めており、国家財政が破たん寸前であることを明らかにした。ロシアのニュースチャンネルRT(電子版)などが伝えた。

同相は財政破たんを回避するためには2014-2015年に350億ドル(約3兆6000億円)の金融支援が必要だとしており、すでにEU(欧州連合)や米国などに金融支援を要請したとしている。ビクトル・ヤヌコビッチ大統領は先週末に政権を離脱し国内逃亡中で、これまでの反政府市民グループと治安部隊との衝突で死亡した82人の殺害容疑で指名手配となっているが、依然消息不明となっている。

また、ロシアのプライム通信(電子版)によると、ウクライナ議会は24日、中央銀行のイゴール・ソルキン総裁を賛成多数で解任し、新総裁にはユリヤ・ティモシェンコ前首相が率いる全ウクライナ連合「祖国」に所属する銀行家のステパン・クビフ氏を指名した。

-

ロシア首相、ロステレコムの政府保有株43%の売却で幹事社を指名

ロシアのドミトリー・メドベージェフ首相は24日、通信最大手ロステレコムの民営化の一環として、政府保有株43.07%を売却するため、引き受け幹事社としてロシア連邦貯蓄銀行(ズベルバンク)傘下のズベルバンクCIBを指名した。ロシアのプライム通信(電子版)が伝えた。

政府は現在、ロシア連邦国家資産管理局を通じて同社の株式を保有しており、他にロシア開発対外経済銀行(VEB)も3.79%を保有している。政府株の売却は昨年閣議で了承された国営企業の3カ年民営化計画(2014-2016年)の一部を成している。

ただ、売却時期については、オルガ・デルグノフ局長は2月初めに、ロステレコムの民営化の詳細は6月に最終決定し、売却で2014年中に1500億ルーブル(約4500億円)の資金を調達するとしたが、ロステレコムの経営陣は、売却は株式価値が上昇してからが望ましく、2015-2016年になると主張している。

-

アサヒグループ、インドネシア清涼飲料水市場で年商450億円目指す

アサヒグループホールディングスは24日、インドネシア財閥サリムグループ傘下の食品最大手インドフードCBP(ICBP)との提携事業を通じて、2017年までにインドネシア清涼飲料水市場で、5兆ルピア(約450億円)の売り上げの達成を目指すことを明らかにした。ジャカルタ・ポスト(電子版)が25日に伝えた。

両社は2012年に、清涼飲料水の生産合弁会社アサヒ・インドフード・ビバレッジ・マクムールと流通・販売の合弁会社インドフード・アサヒ・スクセス・ビバレッジを設立しており、出資比率はいずれもICBPが49%、アサヒが残り51%となっている。また、昨年9月には両社はペプシコーラ・インドビバレッジを3000万シンガポールドル(約24億円)で買収、さらに、10月にはマルチ・バハギアと共同で容器入りミネラルウォーターを製造販売するための合弁会社2社を設立している。

現在も両社は今年下期(7‐12月)の操業開始を目指して、インドネシア国内で18番目となる新工場を建設中だ。インドネシアの清涼飲料水市場は急成長を遂げており、英市場調査会社カナデアンによると、過去数年間で2ケタ成長し、市場規模は80億ドル(約8200億円)超になっているという。

-

米著名投資家アイカーン氏、米イーベイの経営陣は会社を危うくすると批判

米国の著名な投資家カール・アイカーン氏は米ネット競売大手イーベイ<EBAY>の株主に宛てた24日付の書簡で、同社の企業統治に不備があり、経営陣は会社に不利益となる重大な利害相反行為を行っており、将来、経営を危うくすると警告している。米経済専門テレビ局フォックス・ビジネス(電子版)が24日に伝えた。

その上で、アイカーン氏は、イーベイは世界オンライン決済サービス最大手ペイパル事業部門と本来の伝統的なオークションサイト運営事業部門へ会社分割すべきだと、改めて提言している。同氏は、「2つの事業部門を分離独立させることにより、投資家だけでなく従業員に対しても競争力を保てる最大のチャンスを与える」とも述べている。

同氏は最近、持ち株数を278万株(発行済み株式全体の21.5%)まで買い増しており、ジョン・ドナヒューCEO(最高経営責任者)と古参役員のマーク・アンドリーセンとスコット・クックの両氏の退任とアイカーン氏が推薦する役員の就任を求めている。同社の株価は24日、3.13%高の56.3ドルに上昇している。

-

米メーシーズ、第4四半期決算は減収も利益は予想上回り株価急騰

米百貨店チェーン大手メーシーズ<M>が25日に発表した2013年11月-2014年1月期(第4四半期)決算は、純利益が前年比11%増の8億1100万ドル(約830億円)、1株当たり利益(希薄化後)も同18%増の2.16ドルとなった。また、一時的項目を除いた調整後の1株当たり利益は2.31ドルとなり、アナリスト予想の2.17ドルを上回った。

しかし、売上高は年末商戦期だったにもかかわらず、営業日数が前年に比べて1週間少なかったことや1月から2月初めにかけての暴風雪の影響で客足が遠のき、同1.6%減の92億ドル(約9400億円)となり、アナリスト予想の92億7000万ドル(約9500億円)を下回った。ただ、既存店ベースの売上高は前年比2.3%増となっている。

今期の業績見通しについては、1株当たり利益は4.4-4.5ドルと予想しており、予想レンジの中心値4.45ドルはアナリスト予想と一致した。この四半期決算の結果を受けて、同社の株価は米東部時間25日午前10時35分時点で3.11%高の54.71ドルと上昇している。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

増谷栄一の最近の記事