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主な新興国/米国経済ニュース(2月14日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

ロシア、中国と共同で極東地域に800万キロワットの火力発電所建設へ

ロシアと中国の国営電力会社は共同で、近く、世界最大規模の火力発電所(合計出力800万キロワット)の建設に着手する見通しとなった。地元テレビ局ニュースチャンネルRT(電子版)が12日に伝えた。

火力発電所はロシア極東のアムール地方に建設されるもので、プロジェクト名は「エルコベツカヤ(Erkovetskaya)TPP」。建設主体はロシア国営電力大手インテル・ラオ・UES傘下のイースターン・エナジー・カンパニーで、インテルは2013年に中国最大の電力会社、中国国家電網公司(SGCC)との間で、同プロジェクトに関する枠組み協定に調印している。中国側は同プロジェクトの開発権の49%を保有したい考えで、近く中国の国家発展改革委員会が最終判断を示す。

発電された電力は、経済成長が著しい中国に向けに年間400億‐500億キロワット時の電力が供給される計画で、そのために発電所と中国を結ぶ総延長2000キロの送電線網の建設も必要になっている。総工費は明らかにされていないが、アナリストは少なくとも75億ドル(約7700億円)、最大で240億ドル(約2兆5000億円)になると推定している。

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米GM、2017年からポーランド工場でディーゼルエンジン生産開始へ

米自動車最大手ゼネラル・モーターズ<GM>はポーランドのティヒ工場に、新たに2億5000万ユーロ(約350億円)を投じて、ディーゼルエンジンを生産する。ポーランド通信社(電子版)が11日に伝えた。

これはGMヨーロッパのピーター・トーマ副社長が明らかにしたもので、エンジン生産は2017年からの開始を予定している。生産量は最終的には年間20万基を計画しており、従業員数も現在の550人体制を維持するとしている。

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ベトナム不動産ビナグループ、新CEOにホア氏を指名

ベトナム不動産・リゾート開発大手ビナグループは12日、レ・ティー・トゥー・トゥイCEO(最高経営責任者)の退任に伴い、次期CEOにドゥオン・ティー・マイ・ホア氏(45)を指名したことを明らかにした。

ホア氏は2013年12月にビナグループに入社したが、その前はベトナム国際商業銀行やベトナム海運商業銀行の頭取を歴任している。また、トゥイ氏はビナグループの取締役副会長に就任するほか、新設の電子商取引子会社ビンイーコム(VinE-com)の会長兼CEOに就任する。

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米コムキャスト、タイム・ワーナーを買収で合意か―全米最大規模に

米ケーブルテレビ大手コムキャスト<CMCSA>は同業大手の米タイム・ワーナー・ケーブル<TWC>の全株を1株当たり159ドル(約1万6300円)、総額440億ドル(約4兆5100億円)で買収することで合意したもようだ。米経済専門テレビ局CNBCが12日に関係筋の話として伝えた。

両社の合併が実現すれば、視聴者数3300万人の米国最大のケーブルテレビ局となる。これまでタイム・ワーナー・の買収を巡っては、これより先、米ケーブルテレビ大手チャーター・コミュニケーションズ<CHTR>が、1株当たり132.5ドル(約1万3600円)の買収額を提示していたが、タイム・ワーナーは金額が低すぎるとして拒否している。

コムキャストの株価は12日、0.44%高の55.24ドルで引け、その後の時間外取引でも米東部時間午後6時40分時点で0.11%高の55.3ドルとなっている。一方、タイム・ワーナーの株価は12日、0.3%高の135.31ドルで引けている。

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米シスコ、2014年度Q2決算は減収減益―増配も株価急落

米ネットワーク通信機器大手シスコ・システムズ<CSCO>が12日に発表した2014年度第2四半期(2013年11月-2014年1月)決算は、純利益が前年比55%減の14億ドル(約1440億円)、1株当たり利益(希薄化後)も同54%減の27セントとなった。大幅減益となったのは売り上げ減少に加え、半導体メモリの欠陥を修復するためのコスト6億5500万ドル(約670億円)を計上したため。また、一時的要因を除いた調整後の1株当たり利益も同8%減の47セントとなったが、アナリスト予想の46セントを上回った。

一方、売上高も同社の主要製品に対する需要減退で、同7%減の112億ドル(約1兆1500億円)と、減収となったが、アナリスト予想の110億4000万ドル(約1兆1300億円)は上回った。また、同社は四半期配当金を前期より2セント高い1株当たり19セントへ増配する方針を明らかにした。しかし、同社の株価は12日、0.62%高の22.85ドルで引けたあとの時間外取引で、4.16%安の21.9ドルと、急落している。

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インドネシア中銀、政策金利を据え置き―市場の予想通り

インドネシア中央銀行(BI)は13日の理事会で、政策金利である翌日物BI金利を現行の7.5%のまま据え置いた。市場の予想通りだった。据え置きは3会合連続。また、過剰流動性を吸収するために翌日物預金ファシリティー金利(FASBIレート)も5.75%、翌日物貸出ファシリティー金利も7.5%に据え置いた。

エコノミストの多くは最近の自国通貨ルピアやインフレ、貿易収支といった主要経済指標が軒並み改善しているため、政策金利は据え置かれると予想していた。ちなみに、昨年12月の貿易収支は15億ドル(約1530億円)の黒字に転換したほか、ルピアも先月はアジア通貨のなかでは最も堅調となった。中銀のミルザ・アディティヤスワラ副総裁も1月のインフレ率が前月比1.07%上昇となったことについて、「通常レベル」としたことから利上げ再開の可能性は低いことを示唆していた。

中銀は理事会後に発表した声明文で、今回の金利据え置き決定について、「中銀の金融政策は、インフレ率を2014年の物価目標4.5%プラスマイナス1%と2015年の物価目標4%プラスマイナス1%にまで低下させ、経済の基盤を強化することによって経常赤字も健全で持続可能な水準に削減するという、金融引き締めの姿勢を反映している」と述べている。

インフレの見通しについては、中銀は、「1月のインフレ率(前月比1.07%上昇)は2008-2013年の過去のトレンドと合致した動きとなっていることから、2014年のインフレ率は物価目標4.5%プラスマイナス1%に収まる」としている。また、景気見通しについては、「今年の成長率は5.8-6.2%増の予想レンジの下限になる」とし、前回会合時の文言を変えていない。

自国通貨ルピア安の進行については、中銀は声明文で、「引き続き、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)に見合った為替相場の安定を維持していく」と述べている。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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