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主な新興国/米国経済ニュース(2月13日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

カザフスタン中銀、自国通貨テンゲを19%切り下げ―通貨防衛で

エネルギー資源大国で知られる中央アジアのカザフスタンは11日、自国通貨テンゲを19%切り下げたことを明らかにした。モスクワ・タイムズ(電子版)が12日に伝えた。

同国中銀では、ここ数年間、テンゲの対ドル相場の許容変動水準を1ドル=145-155テンゲ(中心値150テンゲ)としていたが、昨年末からFRB(米連邦準備制度理事会)の第3弾量的金融緩和(QE3)の段階的縮小により、新興国からドル資金が流出し、カザフスタンの主要貿易相手国であるロシアの通貨ルーブルが急落、ロシア中銀もルーブル安を容認していることから、カザフスタンのテンゲへの投機売りが強まり、相場が不安定になってきている。このため、為替相場の安定を狙って、テンゲの相場変動の許容水準を一気に19%引き下げて1ドル=185テンゲとすることを決めたもの。

アナリストは、カザフスタンの通貨切り下げ幅がルーブルの年初来5%下落を大幅に上回るものになったことからサプライズとして受け止めている。

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シャープ、インドネシア・カラワンで新家電工場をオープン

シャープは12日、インドネシアの首都ジャカルタ東部のカラワン(西ジャワ州)に12億ルピア(約1020万円)を投じて、2012年初めから建設中だった新家電工場の開所式を行った。地元経済紙ビジネス・インドネシア(電子版)が伝えた。

シャープは2015年までに新工場で1200-1500人を現地採用する予定。新工場は同社の海外工場の中でも最大規模の家電工場となり、インドネシアで需要の多い冷蔵庫や洗濯機を生産する。

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インドネシア、13日の金融政策決定会合で政策金利を現状維持か

インドネシアの金融アナリストの多くは、中銀は13日に開く金融政策決定会合で政策金利を据え置くと予想している。ジャカルタ・ポスト(電子版)が12日に伝えた。

ただ、アナリストはFRB(米連邦準備制度理事会)の第3弾量的金融緩和(QE3)の段階的縮小による悪影響を懸念してタカ派(インフレ重視の強硬派)のバイアス(金融政策に対する姿勢)は崩さないと見ている。

また、一部では米証券大手ゴールドマン・サックスのように通貨防衛や貿易収支、インフレ上昇などの観点から、政策金利である翌日物BI金利を現行の7.5%から10%弱まで引き上げる可能性があると見る向きもある。しかし、大半は最近の自国通貨ルピアやインフレ、貿易収支といった主要経済指標が軒並み改善しているため、政策金利は据え置かれると見ている。

ちなみに、昨年12月の貿易収支は15億ドル(約1530億円)の黒字に転換したほか、ルピアも先月はアジア通貨のなかでは最も堅調となった。中銀のミルザ・アディティヤスワラ副総裁も1月のインフレ率が前月比1.07%上昇となったことについて、「通常レベル」としたことから利上げ再開の可能性は低いことを示唆している。

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米アマゾン、株価下落―投資判断と目標株価の引き下げで

米オンライン小売り大手アマゾン<AMZN>の株価が12日、スイス金融大手UBSのアナリスト、エリック・シェリダン氏による投資判断と目標株価の引き下げを嫌気して下落した。米経済情報専門サイトのマーケットウォッチが伝えた。

同氏はアマゾンの投資判断を「買い」から「中立」へ引き下げたほか、目標株価も450ドルから375ドルへ引き下げた。引き下げの理由について、同氏は、アマゾンの昨年10-12月期四半期決算が利益と売り上げがいずれも予想を下回ったことや、アマゾンのプライム会員の大半が現在、年間79ドル(約8100円)の年会費が今後、アマゾンの計画通りに20-40ドル(約2050-4100円)引き上げられた場合、プライム会員の更新を行わないとの調査結果に基づくものだとしている。同社の株価は米東部時間12日午前9時38分時点で、1.66%安の355.8ドルと、下落している。

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米P&G、2014年度通期利益見通しを下方修正―新興国の通貨切り下げで

米日用品大手プロテクター・アンド・ギャンブル<PG>は11日、2014年度通期(2013年7月-2014年6月)の利益見通しを下方修正した。

利益見通しを引き下げたのは、ベネズエラの通貨ボリバルやアルゼンチンの通貨ペソなど新興国の通貨がドルに対し大幅に切り下げられたことで、過去最高の為替差損を計上する見通しとなったためとしている。ベネズエラでは昨年後半に観光収入の増加を目指して、44%の通貨切り下げが実施され、アルゼンチンもここ数週間で約20%も切り下げられた。その結果、同社は税引き後で2億3000万‐2億8000万ドル(約240億‐290億円)の為替差損を生じる見通しだとしている。同社は2013年2月にベネズエラで実施された通貨切り下げ時にも同様な為替差損を生じている。

また、同社は為替変動や買収の影響を除いた実質の売上高(オーガニックグロース)の見通しについては前年比3-4%増の伸び率を据え置いた。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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