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主な新興国/米国経済ニュース(9月20日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

トヨタ、ロシア工場で2016年から「RAV4」生産開始へ

トヨタ自動車<7203.T>は18日、同社のロシアの生産拠点であるサンクトペテルブルク工場で、新たに約180億円を投じて、ロシア市場向けの人気SUV(スポーツ用多目的車)「RAV4」の生産(組み立て)を2016年から開始する計画を明らかにした。

サンクトペテルブルク工場では、現在、小型セダン車の「カムリ」を年間5万台生産しているが、2016年からはRAV4を完成部品で輸入して現地で組み立てるCKD(コンプリート・ノックダウン生産)方式で、年間最大で5万台生産する予定。

ロシアの自動車市場は、景気低迷で新車販売台数は6カ月連続の減少傾向を示しているが、トヨタのRAV4に関しては、1-8月期の販売台数は前年比43%増の2万7000台と好調を維持している。トヨタは、発表文で、「ロシアでは、SUVの人気が非常に高く、RAV4はトヨタのSUVの主力モデルであり、トヨタのロシアでの最多販売モデルとなっている。今後も高い需要が期待できる」と述べている。

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米上院議員、ロシア3大国営銀行への経済制裁を要請-シリア問題で

米国の4人の上院議員有志が先週、連名でジャック・ルー米財務長官宛てに、ロシア3大国営銀行がシリアに対する米国とEU(欧州連合)、国連による経済制裁決議を守らず、内戦継続に必要な軍事資金の提供に協力しているとして、3大銀行の米国での資産凍結や業務停止、社員の米国渡航禁止などの制裁措置を講じるよう要請していたことが分かった。ノーボスチ通信(電子版)などが19日に伝えた。

これは米国の政治情報サイト「ポリティコ(Politico)」が17日に自社サイトで報じたもの。4人の上院議員はリチャード・ブルメンタール(民主党)とケリー・エイヨット(共和党)、ジョン・コーニン(共和党)、ジーン・シャヒーン(民主党)の4氏で、制裁対象はVTB(対外貿易銀行)とロシア開発対外経済銀行(VEB)、国営天然ガス生産大手ガスプロム傘下のガスプロムバンクとなっている。

4人の上院議員は、「VEBはシリアのS-300ミサイルシステムの軍資金を提供したほか、VTBはシリアのバッシャール・ハーフィズ・アル・アサド大統領の個人資金を管理しているとし、ガスプロムバンクもシリアに対し原油代金を支払っている」とし、「その結果、シリアの現体制が軍事物資の購入や兵士に対する給与の支払いを可能にし、戦費負担を軽減させ、シリア内戦を支えている」と指摘している。

なかでも、ブルメンタール議員は17日、首都ワシントンDCで開かれた政治討論会で、「シリアは、ロシアの銀行による資金提供がなければ、今回の内戦を起こすことはできなかった」と痛烈に批判した。一方、これらロシアの3行は18日に、いずれも上院議員による批判内容を全面否定している。

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インドネシア不動産大手3社、巨大レクリエーション・パーク建設へ

インドネシアのアグン・ポドモロとインティランド・デベロップメント、プンバングナン・ジャヤ・アンチョルの不動産開発大手3社は、52兆5000億ルピア(約4700億円)の巨費を投じて、2014年から北ジャカルタの湾岸エリアに人工島を造成し、その上に一般住宅やリゾートホテルやレストランなどの各種レクリエーション・観光施設、ショッピングセンターなどで構成する大規模レクリエーション・パークを建設する計画を進めている。ジャカルタ・グローブ(電子版)が19日に伝えた。

このレクリエーション・パークは、中東UAE(アラブ首長国連邦)ドバイは沖合に建設した人工島(3島)からなる世界最大のリゾート施設「パーム・アイランド」のインドネシア版を目指すもの。2014年からジャカルタ湾に段階的に1000ヘクタールの埋め立て地からなる17の小さな人工島を造成する。建設費用のうち、アグン・ポドモロは全体の約半分に相当する25兆ルピア(約2250億円)で、インティランドとジャヤ・アンチョルはそれぞれ7兆5000億ルピア(約680億円)と20兆ルピア(約1800億円)を拠出する。

北ジャカルタにはすでに、ジャヤ・アンチョルが建設した巨大テーマパーク「アンチョル・ドリームランド」が1996年から操業を開始しており、同国の人気観光スポットとなっている。

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ベトナム中銀の不良債権回収会社、近く1650億円相当の特別債発行へ

ベトナム中央銀行が7月に設立した国営の銀行不良債権買い取り専門会社(VAMC)は、不良債権買い取り資金として、35兆ドン(約1650億円)相当の特別債(VAMC債)を発行する計画だ。ベトナム通信(電子版)が19日に伝えた。

これはVAMCのレ・クオック・フン副会長が明らかにしたもので、近く、中銀に起債の認可申請を行う。VAMC債は、銀行が保有する不良債権を買い取る際、現金を渡さず、その代わりとして渡すもので、銀行はそれを担保にして公開市場操作(オペ)で必要資金を借り入れることができるというルールになっている。また、銀行は不良債権を現在の簿価で売却しなければならない。

今回のVAMC債は同国南部の複数の銀行の不良債権を買い取るために使われる予定。VAMCでは、VAMC債を担保に公開市場操作(オペ)で中銀から必要資金を借り入れられる割合は最大70%としている。また、VAMC債を受け取る銀行は年間20%相当の引当金を積み立てるだけでよく、このため、VAMCでは今後、多くの銀行から不良債権の買い取りが進むと期待している。

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米オラクル、6-8月期は増収増益―今期見通しは市場予想下回る

米業務用ソフト大手オラクル<ORCL>が18日に発表した2014年度第1四半期(6-8月)決算は、純利益が前年比8%増の21億9000万ドル(約2150億円)、1株当たり利益(希薄化後)も同14%増の47セントとなった。また、調整後1株当たり利益は同12%増の59セントとなり、アナリスト予想の56セントを上回った。しかし、売上高は前年比2%増の83億7000万ドル(約8200億円)の微増にとどまり、アナリスト予想の84億8000万ドル(約8300億円)を下回った。

今期(9-11月)の業績見通しについては、売上高は前年比1%減から同2%増のレンジ、また、調整後1株当たり利益は64-69セントと予想したが、アナリスト予想の売上高の同3%増、調整後利益の69セントをいずれも下回っている。これを受けて、オラクルの株価は、18日は1.83%高で引けたが、その後の時間外取引(米東部時間午後7時59分)では終値比3.01%安の32.85ドルと急反落している。

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米フェデックス、6-8月期純利益は予想上回る7%増に―陸送部門好調で

米宅配・航空貨物輸送大手フェデックス<FDX>が18日に発表した2014年度第1四半期(6-8月)決算は純利益が前年比7%増の4億8900万ドル(約480億円)、1株当たり利益(希薄化後)も同6%増の1.53ドルとなり、アナリスト予想の1.5ドルを上回った。また、売上高は同2%増の110億ドル(約1.1兆円)となり、アナリスト予想と一致した。特に、宅配便やビジネス便といった陸上配送部門の同11%増と好調となったことが寄与している。

通期の業績見通しについては、売上高は従来予想の7-13%増のレンジを据え置いた。ただ、来年1月6日から、米国での国内輸送と輸出入のサービス料金を平均で3.9%値上げする方針。同社の株価は18日、5%高の116.25ドルとなった。

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JPモルガン、910億円の制裁金支払いへ―“ロンドン・ホエール”絡みで

米金融大手JPモルガン・チェース<JPN>は、いわゆる“ロンドン・ホエール”と呼ばれた英国在住のトレーダーによって2012年に引き起こされた違法なクレジットデリバティブ指数(CDX)取引で、最終的に60億ドル(約6000億円)超もの巨額な損失を計上する羽目となった金融スキャンダルに関し、米英両国の金融監督当局から9億2000万ドル(約910億円)の制裁金の支払いを命じられた。米経済情報専門サイトのマーケットウォッチなど複数のメディアが19日に伝えた。

この制裁金は米証券取引委員会(SEC)と米連邦準備制度理事会(FRB)が19日に発表したもので、SECは、JPモルガン・チェースはロンドン・ホエール関連の違法なトレーディングを未然に防ぐための内部監視体制が不十分だったことや、巨額損失について適切な財務報告を怠ったと指摘している。

制裁金のうち、大半を占める3億ドル(約300億円)は米通貨監督庁(OCC)へ、また、各2億ドル(約200億円)がSECとFRBへ、残りの2億2000万ドル(約220億円)が英国の金融行為監督機構(FCA)に支払われる。

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ブラジル中銀総裁、インフレ抑制の観点から当分の間利上げ継続を示唆

ブラジル中央銀行アレシャンドレ・トンビニ総裁は18日の議会公聴会で、今後の金融政策の見通しについて、「中銀は4月からインフレを抑制するため、利上げを続けているが、まだ、インフレ率は居心地の悪い水準にある」とした上で、「当分の間、利上げを継続することになる」と述べ、インフレ抑制に金融政策の重心を置く考えを明らかにした。国営通信アジェンシア・ブラジルが伝えた。

また、同総裁は、「インフレ水準を低下させることが、中銀の市場の信頼性を高めるために果たすべき責務であり、市場の信頼性こそがブラジル経済を強めるために必要な要素だ」と指摘している。さらに、同総裁は「ブラジル経済のファンダメンタルズは依然としてしっかりしている」とし、の見方を改めて強調した。 (了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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