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主な新興国経済ニュース(6月5日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

ポーランドの今年のGDP伸び率、1%増を超える可能性―中央統計局長

ポーランド中央統計局(GUS)のヤヌシュ・ビトコビスキ局長は3日、ポーランド通信社(PAP)のインタビューで、同国の今年の経済成長率の見通しについて、下期(7-12月)から回復ペースが強まり、前年比1%増を上回る可能性があるとの見通しを明らかにした。ワルシャワ・ビジネス・ジャーナル(電子版)が伝えた。

同局長は、「4-6月期GDP(国内総生産)伸び率は、4月の経済データが堅調で、消費者信頼感指数の期待指数(5-6月時点の見通し)も改善していることから、前期(1-3月)の前年比0.5%増を下回らないか、あるいはやや上回る可能性がある」とし、下期から景気は回復を強めるとしている。

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ロシア長距離電話ロステレコムとテレ2ロシアの合併観測、一段と強まる

ロシア国営長距離電話最大手ロステレコムのアレクサンドル・プロボトロフ前社長が先週、スウェーデン携帯電話大手テレ2グループのロシア法人、テレ2ロシアの新CEO(最高経営責任者)に就任したことで、両社の合併観測が一段と強まってきた。モスクワ・タイムズ(電子版)が4日に外国通信社の報道を引用して伝えた。

オーストリア金融大手ライファイゼン・インターナショナル(RBI)のアナリスト、セルゲイ・リビン氏は、「プロボトロフ前社長がテレ2ロシアのCEOに就任したことで両社の合併の可能性がかなり高くなった」と指摘する。

両社の合併説を補強しているのは、プロボトロフ氏がロステレコムを退社した3月27日に、ロシア2位の国営金融大手VTB(対外貿易銀行)はテレ2ロシアをスウェーデンの親会社テレ2から35億5000万ドル(約3500億円)で買収したと発表したことだ。市場ではもともとVTBはテレ2ロシアをロステレコムと合併させるという憶測があったからだ。

ロステレコムは国内携帯電話4位のテレ2ロシアと合併することで、テレ2ロシアの高速大容量通信の第3世代(3G)のほか、第4世代(4G)の通信方式であるLTE(Long-Term Evolution)ワイヤレス通信技術を利用することが可能になる。

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ベトナム5月製造業PMI、48.8に低下―3カ月ぶり50割れ

英金融大手HSBCのベトナム法人であるHSBCベトナムが3日に発表した同国の5月の製造業PMI(購買部景気指数)は前月(4月)の51から48.8へ低下し、好不況の分かれ目となる50を2月以来3カ月ぶりに下回った。

同指数はHSBCが世界30カ国のPMI指数を発表している金融情報サービス大手のマークイットの協力を得て、ベトナムで初めてとなるPMI指数で、同指数が50を超えると景況感が「拡大」、反対に、50を下回ると「縮小」の判断となる。

5月の製造業PMIのサブ指数の新規受注指数とアウトプット指数(生産・産出指数)、雇用指数はいずれも3カ月ぶりに50を下回ったが、新規輸出受注指数は中国と米国向けの輸出需要に支えられて依然50を上回っている。

HSBCでは、5月のデータの結果について、「依然として、製造業とサプライヤー(部品・資材供給業者)の設備稼働に余裕がある状況だ。製造業者の受注残は急速に縮小している。雇用については、企業は依然新規雇用に慎重でコスト削減のため従業員を削減している。ただ、インフレ圧力は製造業では依然として緩やかになっている」としている。

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インドネシア生保大手パニンライフ、株価急騰―第一生命の40%出資で

第一生命<8750>が4日、インドネシアの同業大手パニンライフの株式40%を3兆3000億ルピア(約330億円)で取得することで正式に合意したと発表したのを受けて、同日のインドネシア証券取引所では、パニンライフの株価が一時、前日比9.26%高にまで急騰した。ジャカルタ・グローブ(電子版)が伝えた。結局、パニンの株価は7.41%高の290ルピアで引けている。

発表文によると、第一生命はパニンライフの新株5億3370万株を取得して、出資比率を5%とした上で、次に、パニンライフの持ち株会社であるパニンインターナショナルの新株7530万株を取得することでパニンインターナショナルへの出資比率を36.842%とする。このパニンインターナショナルへの出資比率は、パニンライフの株式35%に相当するため、直接出資の5%と合わせると40%の出資比率となる。

パニンライフは、地元大手銀行のパニンバンクを傘下に持つ金融大手パニングループの1社となっている。第一生命はすでに進出しているベトナムやタイ、インド、オーストラリアに続く海外生命保険事業の取り組みの一環だとしている。

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インドネシア政府、17日までに燃料価格引き上げへ―経済担当調整相

インドネシアのハッタ・ラジャサ経済担当調整相は4日、懸案となっている燃料補助金の削減に伴うガソリンなどの燃料価格の値上げ問題について、2013年度政府予算の修正が終わったあと、遅くとも6月17日までに燃料価格の値上げを実施するとの見通しを明らかにした。ジャカルタ・グローブ(電子版)が外国通信社の報道を引用して伝えた。

同相は、「もはや、燃料価格を値上げするかしないかという問題ではない。我々はそうしなければならないということは分かっている」とした上で、「予算修正が終わり次第、燃料価格を引き上げる」と述べている。

政府は燃料補助金の削減によって、投資家によるルピア売り、株売り、さらには債券の買い控えなどを引き起こしている貿易赤字と経常赤字が縮小することを期待しているが、ギタ・ウィルヤワン貿易相は、燃料補助金の削減で燃料価格が引き上げられなければ、今年の同国の貿易赤字は30億ドル(約3000億円)に達する可能性があると指摘している。

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ブラジル政府、再生可能エネルギー研究の拡大に約3千億円投入へ

ブラジル政府は再生可能エネルギーを使った発電技術やバイオ燃料技術に関する研究を拡大するため、61億レアル(約2870億円)の資金を投入する計画だ。中南米専門の通信社メルコプレス(電子版)が4日に伝えた。

これは同国最大のイノベーション研究の資金提供機関として知られるブラジル調査・研究事業融資機構(FINEP)のアレクサンドラ・タナカ氏が明らかにしたもの。具体的にはサトウキビから高付加価値の化学品の製造やエタノールの増産に関する技術を開発している国営石油大手ペトロブラスとオランダ穀物メジャーのブンゲなど企業向け支援額を3倍に増やす計画だとしている。

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ブラジル携帯電話大手オイ、CEOが交代

ブラジル携帯電話サービス大手オイ(Oi)は4日の取締役会で、ジョゼ・マウロ・メットロー・カルネイロ・ダ・クンニャCEO(最高経営責任者)の退任と、その後任としてザイナル・アベディン・モハメド・バーヴァ取締役(46)を新CEOに選出した。

ジョゼ・マウロ・メットロー氏はオイの会長職に就く。ハーヴァ氏は1999年にポルトガル・テレコムに入社。2008年4月にポルトガル・テレコムのCEOに就任したが、今月4日付で辞任した。 (了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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