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主な新興国経済ニュース(5月2日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

ロシア東部電力系統社、極東の電源開発で双日、川重と合意

ロシア極東地域の電気事業統括会社である東部電力系統社(RAO ES Vostoka)は双日<2768.T>と川崎重工業<7012.T>の2社との間で、極東シベリアの電源開発プロジェクトの共同事業パートナー契約を結んだ。ロシアのプライム通信(電子版)が4月30日にノーボスチ通信の報道を引用して伝えた。

先週、東部電力系統社はハバロフスク地方と日本を結ぶ電力系統の建設プロジェクトに参加する意向を明らかにしていた。同プロジェクトは、数段階に分けて実施され、第1期工事でサハリン島から北海道の間に電力を送る海底ケーブルを敷設する。その後、サハリンに石炭火力発電所を建設し、長期的には最大400万キロワットの電力を日本に供給する。総投資額は推定56億ルーブル(約180億円)。

東部電力系統社のセルゲイ・トルストグーゾフCEO(最高経営責任者)は、今後、第1期工事分として10件のパイロット・プロジェクトを決めた上で、必要な資金を双日と川崎重工業の2社や日本の銀行から調達するとしている。

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インドネシア経済担当調整相、今年の成長率6.5%増と予想

インドネシアのハッタ・ラジャサ経済担当調整相兼財務相代理は4月30日、今年の同国の経済成長率の見通しについて、世界経済の後退にもかかわらず、昨年の6.23%増を上回る6.5%増になるとの認識を示した。ジャカルタ・グローブ(電子版)が外国通信社の報道を引用して伝えた。

また、来年の見通しについては、総選挙と大統領選挙の効果で経済活動が活発化するため、6.4-6.9%増になると予想。為替の見通しについては、来年は現在と同じ1ドル=9600-9800ルピアになると予想している。

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インドネシアのマタハリ百貨店、1‐3月期最終利益は83%増

インドネシア百貨店チェーン大手マタハリ・デパートメントストアが4月30日に発表した1‐3月期決算は、最終利益が好調な売り上げを反映して前年比82.8%増の822億ルピア(約8億円)となった。

売上高は今年初め、インドネシアを襲った大洪水の影響にもかかわらず、前年比18.3%増の2兆3720億ルピア(約240億円)。

現在、マタハリ・デパートメントストアの株式は欧州プライベートエクイティ(PE)ファンド最大手CVCキャピタル・パートナーズとインドネシアの華人財閥リッポー・グループが合弁会社を通じて全体の98%を保有している。マタハリは1958年創業で国内57都市に118店舗を構える。同社は今後3年間に年間平均で15店舗を新設する計画だ。

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ベトナムの昨年のデジタルコンテンツ、前年比12%増

ベトナム情報通信省は昨年の同国のデジタルコンテンツの総売上高が前年比12%増の13億ドル(約1260億円)と、大幅に増加したことを明らかにした。地元オンラインメディアのベトナムネットが4月30日に伝えた。

これは同省幹部のファム・ズイ・イェン氏が先週、ホーチミン市青年商工会議所(YBA)主催の電子商取引に関するセミナーで明らかにしたもの。なかでも、オンライン・ゲームの昨年の売上高は前年比20%増の2億5000万ドル(約240億円)となっている。

同国のデジタルコンテンツの大幅増の背景には、電子商取引や関連ソフトの需要に対応可能なIT(情報技術)インフラの普及がある。これは同国最大のソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)のジング(Zing)は1500万人のユーザーを誇っていることからも明らか。また、ベトナム企業3400社を対象とした産業貿易省の最新調査では、全体の60%がB2Bビジネス(企業間取引)を採用し、全体の95%がオンラインで受注を行っている。全体の3分の1は電子商取引の売り上げが売り上げ全体の15%以上を占めており、電子商取引は同国のGDP(国内総生産)全体の2.5%になっている。

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ブラジルのエンブラエル、米ユナイテッド航空から)「E-175」70機受注

世界3位のブラジル航空機大手エンブラエルは、米航空大手ユナイテッド航空から30機(確定分)とオプション40機の計70機のリージョナルジェット(国内線や近距離地域を結ぶ小型ジェット旅客機)「E-175」(定員50人)を29億ドル(約2810億円)で受注した。ブラジル経済紙バロール・エコノミコ(電子版)が4月30日に伝えた。

これらのE-175は傘下の国内線専門のユナイテッド・エキスプレスが使用する。納期は来年1‐3月期。同社が4月30日に発表した1‐3月期決算では、旅客機の納入機数が前年同期に比べ5機少ない29機にとどまったことから、最終利益は前年比67%減の6170万レアル(約30億円)となった。ただ、売上高は軍需関連が好調となったため、同5.6%増の21億6000万レアル(約1050億円)となっている。

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ロシア副首相、日本企業にサハリン大橋建設への参加を要請

ロシアのイゴール・シュワロフ第1副首相は4月30日に開かれた露日経済協議会で、日本企業に対し、極東シベリアのサハリン島とロシア本土を結ぶ全長10キロに及ぶ大橋の建設プロジェクトに参加するよう要請した。モスクワ・タイムズ(電子版)が伝えた。

同副首相によると、すでにサハリン州のアレクサンドル・ホロシャビン知事はサハリン大橋の建設に向けてロビー活動を積極的に進めてきており、ロシア政府も大橋建設に向けて日本側と作業部会を設置する用意があるとしている。ホロシャビン知事は、サハリン島とロシア本土だけでなく、北海道とも結ぶ大橋建設に日本企業が参加するよう提案している。 (了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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