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主な新興国経済ニュース(4月25日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

ロシア中銀総裁:銀行システムに最大6兆円の流動性供給の用意ある

ロシア中央銀行のセルゲイ・イグナチェフ総裁は22日の政府閣僚会議に出席した際、国内の銀行システムで流動性不足の問題が発生した場合には銀行を支援するため、1兆5000億‐2兆ルーブル(約4.7兆‐6兆円)の流動性供給オペを行う用意があることを明らかにした。ロシアのニュースチャンネルRTが23日に伝えた。

ただ、同総裁は現在の銀行システムは安定していると指摘している。昨年のロシアの銀行貸し出しは前年比20%増と、正常な水準といわれる15-20%増を維持しており、流動性は正常な水準にあるとしている

ロシア中銀は2008-2009年の世界的な金融危機時に、銀行に対し2兆ルーブルの貸し出しを行ったが、2010年に危機を克服できたとして緊急の流動性供給は中断された。同年秋の時点で、銀行はそれらの融資を完済している。

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ロシア国営ロスネフチ、2020年までに年間1千億立方メートルの天然ガス生産目指す

ロシア国営石油・天然ガス開発大手ロスネフチのイーゴリ・セーチン社長は23日、同社の2020年以降の天然ガス生産量を年間ベースで1000億立方メートルに拡大する計画を明らかにした。プライム通信(電子版)などが伝えた。

同社は英石油大手BPのロシア合弁石油大手TNK-BPの買収により、今年の天然ガスの年間生産量は400億立方メートルになる見通しだが、2016年までに600億立方メートル、さらに2020年には1000億立方メートルに引き上げたいとしている。この1000億立方メートルの半分以上は新規に開発するガス田で生産する計画。また、ロシア国内の天然ガス販売市場でのシェアも現在の9%から2020年までに2倍以上の19-20%とし、国営天然ガス大手ガスプロムの市場シェア70%を脅かす存在になるとしている。

ロスネフチは今後、イラクでの天然ガス開発を進めるため、米石油大手エクソンモービルなどと提携を模索していくとしている。

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ホンダ、インドネシアで約8千台リコールへ―エアバッグの不具合で

ホンダ<7267.T>のインドネシアでの販売合弁会社ピー・ティ・ホンダプロスペクトモーターは23日、ホンダは来月からインドネシアで、同社製の小型車「シビック」とSUV(スポーツ用多目的車)「CR-V」の計約8000台をリコール(無償回収・修理)することを明らかにした。

リコールの対象は2001年から2003年に製造された3180台のシビックと2002年に製造された4802台のCR-Vで、いずれも助手席のエアバッグに不具合が見つかったためとしている。リコールは全世界で実施されるもので、インドネシアでは5月10日から6カ月間実施される。

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ベトナム政府、2兆ドン規模の中小企業向け基金設立へ

ベトナム計画投資省は、中小企業の国際競争力の強化と雇用創出を目指して、中小企業に投資資金を融資する基金を創設する計画だ。ベトナム通信(電子版)が24日に伝えた。

基金の規模は2兆ドン(約100億円)になる予定で、1件当たりのプロジェクトに対する融資の上限額は300億ドン(約1億4000万円)で、融資期間は7年。この基金は2011-2015年の中小企業振興計画の一環となるもので、同計画では2015年までの期間中に3万5000社を起業させ、合計で6万社に増やすとしている。

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ベトナム航空、「ボーイング787」追加購入で輸銀から100億円融資受ける

国営ベトナム航空は22日、米航空・宇宙大手ボーイングの次世代中型旅客機「ボーイング787ドリームライナー」8機を追加購入するため、ベトナム輸出入銀行から1億ドル(約100億円)の融資を受ける契約を結んだことを明らかにした。ベトナム通信(電子版)が23日に伝えた。

初号機は2015年4-6月期に納入される予定。すでに同航空会社は19機のボーイング787を保有している。今回の追加購入は10年以上使用している欧州航空最大手エアバスの近・中距離向け旅客機「A320」を徐々に新型機に入れ替えるためのもの。同社は全体の機材数を2015年までに115機、2020年までに170機に拡大する計画だ。

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ブラジル政府、石化・エタノール両業界の投資拡大狙い1千億円減税へ

ブラジルのギド・マンテガ財務相は23日、今年、国内の石油化学業界とエタノール業界の投資拡大を狙って総額20億レアル(約980億円)の減税を実施することを明らかにした。これは両業界が負担しているPIS/COFINS(社会統合基金と社会保険融資負担金)の支払いを免除するもので、政府はこの減税で浮いた資金を使って、各企業が投資を拡大することを期待している。ブラジル経済紙バロール・エコノミコ(電子版)などが24日に伝えた。

エタノールはさとうきびを原料にして生産され、ブラジル国内ではガソリン混合燃料として使われている。また、現在、PIS/COFINSの負担金は1リットル当たり0.12レアル(約6円)となっている。また、政府は5月1日から混合燃料のエタノールの含有比率を現在の20%から25%に引き上げる。これらの措置によってガソリン価格も低下するほか、ガソリンの輸入量も抑えられ、全体としてインフレ抑制につながると見ている。 (了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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