環境省が東電による除染土利用・処分について新たな動き

出典:環境省除染チーム「除去土壌の埋立処分に係る 実証事業について(案)」4頁

 環境省は、東京電力福島第一原発事故で拡散した放射性物質で汚染された土壌を取り除いた、いわゆる「除染土」について、福島県内外で新たな動きを見せている。環境省の環境再生・資源循環局の中間貯蔵チームによれば、福島県内で汚染土の再利用の実証事業を飯舘村と二本松市で始める。また、同省の除染チーム県外での最終処分のやり方を検討する会合を開始した。

飯舘村では帰還困難区域に帰還を促す実証事業

 飯舘村では、1)中間貯蔵施設が未だできないために仮置きしている村内の8000ベクレル以下の除染土を使い、2)「帰還困難区域」である長泥地区に造成地をつくり、3)覆土した上で農地に転用して花を栽培する実証事業を行う。

 何故、被ばくを伴う実証事業を「帰還困難区域」でわざわざ行うのか。驚いて尋ねると、中間貯蔵チームは、これは、福島復興再生特別措置法に基づいて、県の申出により国(復興庁)が決定する「特定復興再生拠点区域復興再生計画」の一環だという。住民の帰還を目指すために、「特定復興再生拠点区域復興再生計画」を作って申請し、内閣総理大臣が認可する。認可が出たら、5年以内に活動を開始するのだという。

 中間貯蔵チームによれば、具体的な場所や時期は今後の協議次第だが、事業着手に関する確認書をすでに環境副大臣と飯舘村村長と行政区の区長で交わしたという。

「無主物」判決で有名になった二本松市では

 二本松市は、市内のゴルフ場が除染費の賠償を東電に求めた裁判で、「原発から出た放射性物質は無主物」だとして敗訴したことで知られた地域だ(*)。

 この二本松市の原セ地区の除染土を、地区内の市道に使う実証事業を行うと、環境省が発表した。同省中間貯蔵チームによれば、1)大型土のう500袋分の除染土からゴミ、有機物、金属などを除去、高濃度土壌は除外して、2)それを未舗装の市道(約200m)を掘削して入れて、上部をアスファルト舗装する。

環境省中間貯蔵チームによる2017年12月5日環境省記者クラブでの貼りだし資料
環境省中間貯蔵チームによる2017年12月5日環境省記者クラブでの貼りだし資料

 中間貯蔵チームによれば、環境省が一部を調査した限りでは、除染土の濃度は約100ベクレル/kg。ゴミなどを取り除くのは、「手作業ではさせないが、どのように行うかの提案も含めて施行者を公募する」と述べる。

 国は、汚染土を中間貯蔵施設に運んだ後、30年以内に県外で最終処分することを法律で定めている。環境省は、再利用などにより、その量を減らす「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略」(2016年4月)を立て、そのための「再生資材化した除去土壌の安全な利用に係る基本的考え方について」を2016年6月に発表し、再利用の「実証事業」を進めている。だが、これらには何ら法的な根拠はない。また、汚染土の安全性については放射線審議会でも未だ議論はされていない。

県外での最終処分の検討も開始

 福島県外での取り組みも始まっている。

 環境省の除染チームは、2017年9月4日に「除染土壌の処分に関する検討チーム会合」を設置し、第2回会合(12月19日)で、福島県外で保管されている除染土について、(1)既存の処分場に埋め立てるケース、(2)新たに埋立の処分場所を確保するケースでの、最終処分の仕方を決めるための実証事業を始めるとして議論を開始した(冒頭図は実証事業(案)の4頁目)。

 検討のもととなる考え方は、2011年6月に旧原子力安全委員会が急ごしらえした「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の影響を受けた廃棄物の処理処分等に関する安全確保の当面の考え方について」だという。

 東電の原発事故から6年9カ月。時間の経過と共に、目に見えない汚染土の管理と処理をどうに実現、持続させていくかは、地域住民のみならず、全国に暮らす人々にとって大きな課題となる(弊著『あなたの隣の放射能汚染ゴミ』(集英社新書)を参照のこと)。

(*)二本松市のように避難指示が出ず、放射性物質汚染対処特措法に基づいて「除染実施区域」に指定された地域は、市町村が住宅、農地、道路、公共施設などを除染し、国が費用を東電に求償できるが、ゴルフ場などは対象外となる歪な法制度である。