米政府監査院が「滑走路が短い」と指摘する辺野古「着工」パフォーマンスの背景

日本政府が日本国民の民意に耳を傾けるのはいつになるのか?(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

稲田朋美防衛大臣は、辺野古の海に石材投入を始めさせたが、米国の政府監査院(GAO)は、辺野古新基地(普天間代替施設)のV字型滑走路は短いので、県内に別の施設を探すよう米議会などに4月5日に勧告を行ったばかりだ。

辺野古基地建設は、米兵による少女レイプ事件を機に、日米政府の「沖縄に関する特別行動委員会」(SACO)が1996年にまとめた最終報告に基づいて、沖縄県の民意に反して進められている。

それから20年、米国防総省は、沖縄に約2万人いる海兵隊の一部を再配置し、グアムに4100人、ハワイへ2700人、米国本土へ800人、オーストラリアへ(季節に応じて変動)1300人を移す計画を抱えているが、普天間飛行場の返還は達成されていない。

米国議会はGAOに対し、2016年度包括予算法でアジア太平洋地域の再編政策についての評価を指示。GAOはその評価報告書を4月5日に公表し、辺野古の滑走路が短いので、例えば他の施設を沖縄県内で見つけるよう勧告した。

出典:GAO-17-415 図2(Figure 2: Planned Redistribution of Marine Corps Forces in the Asia-Pacific Region)より抜粋
出典:GAO-17-415 図2(Figure 2: Planned Redistribution of Marine Corps Forces in the Asia-Pacific Region)より抜粋

報告書によれば、GAOは、再配置に伴って生じる能力(軍事力)不足の解消など4項目について、国防総省がどこまで達成したかという視点で評価を行った。その能力不足の一つが、普天間代替施設(=辺野古新基地)の滑走路の短さだと指摘。この問題を解消すべきだというのがGAOの勧告だ。

米政府は2014年に日本政府に「辺野古代替」について書簡

普天間代替施設(辺野古)の滑走路が短い問題を解消せよとの勧告に至るプロセスで、国防総省が最初のステップとして、2014年4月に緊急運用を可能にするために2国間で代替地を調査することに承認を得る書簡を日本政府に送ったことが明らかにされている(報告書23頁)。

しかし、GAOは問題解消に至っていないとの考え(報告書51~59頁)で、概略、次のようなことを述べている。

・再配置という文脈から考えると、固定翼の飛行機の緊急着陸や、国連が滑走路を使用することができないという意味で、能力不足である。

・米軍と日本の事務官によれば、代替滑走路が短い問題が解消しなかったとしても、日本が普天間代替施設に多額の投資をすることを考えた場合、日本政府は普天間飛行場の返還を強く求めるだろう。

・代替滑走路なしに返還が起きた場合、国防総省の軍事力には支障が出る。この能力不足が解消されい限りは、軍事力の維持は不可能か、維持により高いコストが必要となる可能性がある。

要するに、米軍のコストを抑えたまま軍事力を維持するために、たとえば辺野古とは別の施設を見つけてはどうか、と述べているのである。

日本政府は2014年に普天間返還2019年を閣議決定

日本政府は、沖縄選出の照屋寛徳衆議院議員に質問主意書で普天間飛行場の運用停止期限を問われ、2019年2月をめどとする答弁書を2014年10月に閣議決定した。

一方、今回のGAOの報告書(17頁)には海兵隊の再建スケジュール(下図)が示され、日本政府資金による辺野古埋立は2017年に開始、2022年に終了、そして、飛行場建設は2026年までとされている。

出典:GAO-17-415 図5 Figure 5: Milestones Reflected in the Marine Corps Synchronization Matrix for the Asia-Pacific Relocation up to 2030
出典:GAO-17-415 図5 Figure 5: Milestones Reflected in the Marine Corps Synchronization Matrix for the Asia-Pacific Relocation up to 2030

米国の動向に無反応な2017年4月の防衛大臣

米国が沖縄県内の他の施設を求めてくる動向が赤旗などで報道される中で、無反応なまま、辺野古に石材を投入したことは、米国のスケジュール通りに進んでいることを示すパフォーマンスのようにも見える。

稲田防衛大臣は、4月11日25日の閣議後の会見で、「日米両政府による1996年4月の返還合意から明日12日で21年」についてや、辺野古の工事について尋ねられたが、「普天間飛行場の危険性除去」を繰り返すのみだった。

沖縄の女性たちへの暴行や殺人が繰り返されていることから火が付き、20年間にわたって沖縄の負担軽減が訴え続けられているにもかかわらず、稲田防衛大臣の会見での回答は、「辺野古移転の問題の原点は、普天間飛行場の危険性を除去するということ」と矮小化されたもので、この間の歴史に無関心であることが明らかだ。

このような防衛大臣を置く安倍内閣では、普天間飛行場の返還が先延ばしされるだけでなく、辺野古新基地を作った上で、さらに別の施設を沖縄県に探せという本末転倒な話になりかねない。

関連報道

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