安倍内閣が原子炉等規制法等の改正案を閣議決定

原子炉等規制法改正案が2月1日の原子力規制委員会で承認され、2月7日、安倍内閣によって閣議決定された。

これは、東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて整えた新規制基準が、国際的な基準を満たしているかどうかを、国際原子力機関(IAEA)が昨年1月に評価、4月に「総合規制評価」として公表したことを契機に行われたものだ。(*)

IAEAの勧告・提言は多岐にわたっていたが、今回、安倍内閣が決定した中身は、それらをすべて満たしたものとはなっていない。

改正案の柱は、(1)原子炉等規制法に基づく、原子力事業者等に対する検査制度の見直し、(2)放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律、(3)放射線障害防止の技術的基準に関する法律などだ。

自主検査へ規制体制の緩和

(1)については、廃炉の時に、稼働停止から円滑に廃止措置が進むように、早い段階から廃止措置実施方針を作成・公表するなどの改善もある。

一方で、「原子力規制検査に基づく監督」については、これまで、原子力規制委員会が行ってきた「使用前検査」が「使用前事業者検査等」、「定期安全管理検査」が「定期事業者検査」と、いわば、自主検査となった。

つまり、現在は、「原子力規制委員会が行う審査を受けなければならない」となっているものが削除され、事業者が自ら検査をした後で原子力規制委員会に連絡をし、原子力規制委員会はそれを確認するだけでよい。そして、原子力規制委員会が「総合的な評定をする」という案だ。

2月1日の委員会審議(議事録)では、石渡委員が、この最後の点のみについて、「検査制度の改革で基本的に事業者が検査をするということが重要になってくると。ただ、最終的には原子力規制委員会が137ページにある(略)総合的な評定をする。それを事業者に「通知するとともに、公表するものとする」とありますが、この総合的な評定というのは」なんなのかと尋ねている。

これに対し、金子長官官房制度改正審議室統括調整官が、「今、検討チームの方でも御議論いただいておりますけれども、(略)かなり細かなことをしっかり見て、単にマル・バツをつけるという 評定ではなくて、どの程度できていないのかとか、どの程度いいことが入っているのかと いうことを全部見た上で、大きなカテゴリーとしてどのぐらいの程度のところにあるのか というのをしっかり評定していくということになってございます(略)」と回答している。

「今」「議論」しているというだけあって、具体的なことは、法案が通ったあとで、規則などで定めるという「有識者・官僚丸投げ」の意味に近い。

わずかな質疑の後、田中委員長は、「従来から安全確保は事業者が第一義的責任を持つと言われながらも、やや我が国においては形式的であったと。ようやくこの法律改正によって、そこのところが実質的に事業者に意識と責任が行くということが法的にも明確になってきた」とコメントを発し、この法律案が了承された。

規制者として規制強化に乗り出す代わりに、「事業者に責任が行く」方向を目指していることを明言した形だ。

なお、昨年4月に「IAEAが原子力規制委に安全基準満たしていないと13の勧告~緊急時計画区域内の公衆への情報提供も」で既報したように、IAEAは、「原子力施設周辺の緊急時計画区域内」という表現を用いて、「公衆に対する情報の提供に許認可取得者が準備段階で参加していることを検証する手続き」についても勧告を行ったが、これに対応する改正は見当たらない。

IAEAの勧告・提案に、日本政府は何が対応できていないのか、国内外における慎重な検証が必要である。

(*)「IAEAが原子力規制委に安全基準満たしていないと13の勧告~緊急時計画区域内の公衆への情報提供も

他関係資料

検査制度の見直しに関する検討チーム

放射性同位元素使用施設等の規制に関する検討チーム

原子炉安全専門審査会核燃料安全専門審査会における合同審査など