勇気を振り絞って「311甲状腺がん家族の会」が発足

設立趣旨を説明した牛山元美医師、河合弘之弁護士、千葉親子元会津坂下町議(左から)

3月12日、「311甲状腺がん家族の会」が発足した。「社会的に孤立している甲状腺がん患者家族同士の親睦を深めるとともに、患者の治療および生活の質を高めることができるように情報交換を行い、関係機関に働きかけること」が目的だ。昨年から懇談を始め、今日を迎えたと言う。

「誰にも言えなかった」、「家族以外に相談することもできなかった」と、「勇気を振り絞って」、10代の男子1名、女子1名の父親2人が生の声で、子どもの甲状腺がんを宣告された時の話を含めて語ってくれた。

Skypeで会見に参加した甲状腺がん家族(3月12日筆者撮影)
Skypeで会見に参加した甲状腺がん家族(3月12日筆者撮影)

子どもの甲状腺がんは、チェルノブイリ原発事故で唯一、内部被ばくとの因果関係が認められた病である。だからこそ、東京電力福島第一原発事故後に福島県で行われた検査である。その検査で見つかり、親も本人も心細くないわけがない。

しかし、福島県立医大で受けた子どもの甲状腺がんの宣告は、がんの状態を含めてわずか10分だったという。

女子の父親は「私も妻もショック。それ以上に本人は大泣きしました」、男子の父親は「ダイレクトに『がんです』と告げられ、息子は顔面蒼白で、椅子に座って居られない状態でした。数日間はふさぎ込みました」「10代の思春期の子どもにあの言い方はきつかったのではないか」と明かした。セカンドオピニオンを求めるかどうかの話もなかった。

がんの患者会は数も質も多様なはずだが、その紹介が医師からあったかどうかを尋ねると、女子の父親は「あとで案内が送られてきて、妻が行ってみたが、『患者会』というより、先生の説明会という感じで、子どもの甲状腺がんの親らしき人も見受けられなかった」のだと言う。また男子の父親は「案内は送られてこなかった。今回のことで(親同士、話をする中で)そういう話を聞いてビックリした」と述べた。がん宣告を受けた子どもや親への心のケアは、通常の医療環境で考えられる最低限のレベルでさえ、徹底されていなかったのだ。

まして原発事故との因果関係が認知されている子どもの甲状腺がんである。聞きたいことはたくさんあって当然だ。しかし5、6分の診療時間の中で、女子の親が原発事故との因果関係を医師に尋ねると「考えられない」、男子の親は「原発事故の影響だと思い尋ねたら、はっきり『ない』と言われた」と語る。

「311甲状腺がん家族の会」の設立について、「子どものいつもの様子や誰にも言えなかったことを、同じ境遇の親御さんと話すことができて本当に良かった」(女子の父親)、「気持ちの分かり合える家族に会えて良かった」(男子の父親)と語り、「患者の親同士で会うこと」だけでも、不安が軽減されたことが、福島からSkypeで顔を伏せて参加し、モザイクをかけた声のトーンからさえも伝わってきた。

今後、定期的に集まり、情報交換や意見交換をしていきたいと言う。「悩んでいる方は勇気を振り絞って、連絡をしてきて欲しい」と、「311甲状腺がん家族の会」への連絡を待っている。

「311甲状腺がん家族の会」入会および相談方法

事務局広報:070-3122-2011 

入会申込:070-3132-9155

メール:311tcfg★gmail.com (★は@に)

ホームページ:311kazoku.jimdo.com

現在の正会員は5家族7人。中通りの4家族と浜通の1家族で、男子家族が3、女子家族が2だと言う。

会見には、代表世話人の河合弘之・弁護士と千葉親子・元会津坂下町議、それに世話人の牛山元美・医師が出席した。河合弁護士は、「こういうことをやると必ずバッシングが来る。私は弾よけだ」と宣言。他に野宗義博教授(島根大学医学部)や木村真三教授(獨協大学)などが甲状腺専門アドバイザーとして、支援を行っていく。