福島からの避難指示区域被災者が自主避難者への支援続行を求めてハンスト

ハンスト8日目には他の避難者と共に神奈川県庁に出向いた(6月11日筆者撮影)

東電福島第一原発事故の被災地から神奈川県への避難者がハンストを始めている。その8日目に神奈川県庁前で話を聞くことができた。「避難・支援ネットかながわ」代表の坂本建さんだ。

避難・支援ネットかながわの坂本建代表(2015年6月11日、筆者撮影)
避難・支援ネットかながわの坂本建代表(2015年6月11日、筆者撮影)

坂本さん自身は、国から避難指示を受けている福島県富岡町からの避難者だが、今回、求めているのは、自主避難者や福島県に残って避難していない人々も含めた「被災者」の声を、福島県知事がナマで聞く公開公聴会の開催などだ。なかでも強く求めているのは、国が検討中の自主避難者への借上げ住宅支援の2016年度末の打ち切り撤回を県が国に対して要請することだった。

坂本建さんへのインタビュー

―なぜハンストなのか

震災直後から、私が活動を始める前から、たくさんの要請活動や請願活動がありました。それに対する回答や反映する政策が出ていません。子ども・被災者支援法ができましたが、棚上げされた状態です。

私たちも署名を集めて4月に国会請願を、先月26日には内閣府に、28日には福島に要求書を出しました。陳情書も内堀知事にもお渡しした。担当窓口の方達は、借上げ住宅の支援の打ち切りについて「県として国に撤回を求めてください」と言っても「協議中です」と繰り返すだけ、公聴会を実施する気は無いとの回答です。(参考:陳情書質問状

真っ当な手続きを踏んで声を届けている、それでも事が動かない。実際に打ち切りになった時には生活困窮者が出ることは明らか。県側も「分かっています」と答えていました。大げさですけど、大げさではない、命の問題になってくると思うんです。だからハンガー・ストライキという方法を今回取りました。

―誰に何を求めているのか

内堀福島県知事に、避難者、福島に残っている人たちも含めた公聴会を開いていただくこと。期日と会場をきちっと決めて開催することを明言して欲しいことが一つ。住宅支援の打ち切りを撤回して、延長を国に協議書で要請して欲しい。明日(6月12日)、内堀知事は都心に来る予定だと聞いています。反映されるのか、無視されるのか・・・。

―「自分は無関係だ」と思っている人に今、何を知って欲しいか

震災直後には皆さん、この国はおかしいと気づいたと思う。我が身よりも困っている人を助けようという気持ちになったと思う。今現在もボランティアの人たちが一生懸命やってくださっているが、当事者でなければ風化はやむを得ない。

私自身も震災前から積極的に行政にお願いにいくこともやったことはなかったし、原発問題も反対だったけど表だって反対の意思を示したりして来ませんでした。

今の状況を見ていると、やはり国民1人1人が自分の意見をはっきり伝える、地元に対してもそうですし、人と話す時もそうだし、発信するということをしないと、誤った国政であっても県政でも、「みんな納得しているんだ、認知した、了承した」という判断のもとに進められてしまう。言わないでいると、そうなってしまうので、ぜひ、やはり、政治というものにかかわって欲しいなと思います。

-被災者の状態に限らず?

限らずです。(自分の地域で起きていることに?)そうです。(自分の地域の政治に対して?)そうです。または自分で立候補するのもいいでしょうし、積極的にかかわらないと。

私自身がそうでしたけど、やっぱり娯楽の方に流れてしまうんですよね、普段の生活の中で。生活を営む上では収入がなければダメだから仕事は軸になってきますし、休日は家族とか余暇とかレジャーとか、それはやむを得ないし、それができることは幸せなことだと思うけど。その中の一部の時間を政治であったり行政であったりというところに関心を持って関わることが重要なんじゃないかということが、震災前は全然分かっていなかったと、私は今、思っています。

避難先行政にも思いを届けに

この日、坂本さんは、神奈川県内の他の被災者と誘い合わせて、神奈川県庁にも被災者の思いを届けに出向いた。「東日本大震災 支援・情報ステーション」を設けている神奈川県災害対策課の計らいで、福島県避難者支援課の神奈川県担当者(神奈川県庁駐在)、副担当者(東京都庁駐在)も同席し、被災者たちの思いを聞き取った。

神奈川県庁の一室(筆者撮影)
神奈川県庁の一室(筆者撮影)

福島市から自主避難中の40代の女性は、居住地域は福島市内でも線量が高いことに4月になってから気づいたと語った。「子どもに悪いことをしてしまったと思った。9月までは(県外に)出ることができず、夏でも子どもには長袖にマスクをさせ、外では遊べない、異様な時間を過ごさせてしまった。出てきた立場なので色々言えないと思って、こうした場があっても参加できなかった。離婚もしました。子どもが小さく長時間は働けません。家賃が(住宅支援で)要らないからやっていける。延長していただきたいと思って参加しました」と、切羽詰まった思いを打ち明けた。

福島第一発電所から20キロ圏内である南相馬市の小高区から避難している年配夫婦(妻79歳、夫84歳)、浪江町の避難指示解除準備区域から避難中の40代男性、そして福島原発かながわ訴訟原告団の村田弘団長や岩淵馨事務局長など約10名が思いを共有した。

福島県企画調整課によれば、「内堀知事は、今日(6月12日)国に対して平成28年度予算の要請活動をするが、自主避難者の借上げ住宅への延長を要望するという話は、特段、予定はしていない」と述べている。