東電廣瀬社長に代わって燃料費増加の原因を探る(下)

電力料金の値上げの原因を探って、電力使用最小の日の燃料内訳が入手できなかったので、為替や燃料費の変化を調べるしかなくなった。東電廣瀬社長に代わって燃料費増加の原因を探る(上)の続きである。

発電に使う燃料の単価や消費量はどこを見ればよいか。東電広報に聞くと、決算資料だと言う。確かに、年度ごとに丹念に追うと以下のグラフができる。

第一に、燃料ごとの年間の合計消費量を見る。福島第一原発事故後は液体化天然ガス(LNG)を中心に上がっている。

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第二に、燃料ごとの消費単価を見る。石炭以外は、事故前からの増加傾向が続く。

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第三に、消費量に消費単価をかけた燃料費を棒グラフにすると、2009年から2010年にかけた増加傾向が、2011年からさらに加速していることが分かる。

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以上、東京電力「決算短信」各年度の「燃料関係比較表」より作成

下図で見るように円安も進んでいる。1円安くなるごとに2011年で280億円、2012年で320億円の影響(差)が出るとの換算を東電は行っている。

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財務省貿易統計から作成

「原発が稼働しないから電気料金が上がる」は真実か?

結論から言えば、電気料金が高くなる原因は、燃料消費量の増加、燃料単価の増加、円安の3つだと分かる。ここまでを整理すると次のようになる。

1.首都圏では電力使用最大日に原発なしで乗り切れる。

2.電力使用最小日の燃料内訳、つまり原発の構成比は不明。

で立てた仮説1に対して)

3.燃料費の増加は、消費量、燃料単価の増加、円安の3つが原因である。

で立てた仮説2に対して)

つまり、電力使用最大の日以外は、燃料内訳が明らかにされないために、原発が稼働できないことによる増加分の程度は全くハッキリしない。しかし、財界が大合唱する「原発が稼働しないから電気料金が上がる」や廣瀬社長の「原発が動いていたらもっと安く済んだ」は、燃料単価の増加と円高分を引いたところで真実だと言える。それでは安く済ませるために原発を動かすのか。

合理性と倫理

ここまでは足し算引き算の問題で、ここからが合理性と倫理の問題だ。今後、シェールガス革命の恩恵をうければLNG価格は下がると言われている。また、東電が「安い電気」の参入に警戒心を燃やし、24時間の燃料内訳すら公表しないように、2016年には電力市場競争も始まる。「電力料金」だけで語る原発の必要性はいつまでもつのか。

廣瀬社長は4月30日の決算会見の中で、最大電力使用量について、「5500万、6000万(kW)というふうにどんどん積み増していくということは昔の高度成長の時代ほどの予想がされるということは少なくなってきていると思っています」との時代認識を示していた。

これについても、東電資料を使ってグラフを作成し、傾向を見ると、確かにその認識が裏付けられる。青い棒グラフが東電の年間販売電力量だ。高度経済成長期に急増するが2000年代半ばでほぼ頭打ちとなった。ピンクの原子力についてはその傾向がもっと早く現れて2000年代前半にすでに減少傾向にあった。

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平成25年度 数字でみる東京電力P.35 より作成

ここまで見てくると、原発が稼働できないことによる電力料金の増加分をハッキリさせないまま、「今」「いつまで」「どの程度」の「カネ」と引き替えで再稼働が必要だというのかと聞きたくなる。昨年の2013年7月5日に、新潟県の泉田裕彦知事が東電社長に尋ねていた言葉を改めて問いたくなる。

「おカネと安全はどちらが重要ですか」OPTV23分~)。