東電廣瀬社長に代わって燃料費増加の原因を探る(上)

千葉商科大学政策情報学部公開講座で講演中のマイケル・シュナイダー氏(筆者撮影)

「東電は原発再稼働なしで、関電・九電に売るほどの電力がある」(上)(下)で書いたように、福島第一原発事故以降は、電気使用が年間で最大の日でも、原発分を火力で焚き増ししたわけではなく「節電」で賄っていた。それでも財界は「原発が稼働しないから電気料金が上がる」と宣伝することを忘れない。原発のせいではないとした場合、何が原因か?

2013年度決算会見(2014年4月30日)で東京電力の廣瀬直己代表執行役社長に、「為替や燃料費の値上げ」が原因ではないかとも尋ねたがハッキリとした返答はない。そこで、二つの仮説を立てて調べてみた。

仮説1:電力使用最小の日は原発分が節電できず火力を余分に焚き増している。

仮説2:為替や燃料費の高騰が原因である。

シュナイダー氏(2014年3月7日筆者撮影)
シュナイダー氏(2014年3月7日筆者撮影)

調べ始めたきっかけは、『世界原子力産業ステータスレポート』の主要著者で、現在、韓国の首都ソウル市の脱原発政策のアドバイザーも務めているマイケル・シュナイダー氏との出会いにあった。同氏は今年3月に、千葉商科大学政策情報学部による「持続可能な環境エネルギー政策を考える」公開講座に招かれ講演を行った。その際、小規模な意見交換の場も欲しいと要望され、東電取材者として呼ばれることになった。お土産(Souvenir)と称して、「東電は原発再稼働なしで、関電・九電に売るほどの電力がある」(上)でも紹介した資料に簡単な英訳をつけ、「少なくとも事故後の電力最大使用日には原発分を節電で賄っている」と口頭で説明して渡しておいた。

この資料は5月に米国へ渡ったようで、6月に米国の研究者から「それは本当か?」と問い合わせるメールが来た。「イエス。少なくとも、年間で最も電力を消費する日で言えば、その通り」と答えて、最小の日のデータも確かめたいから何か分かったら連絡すると付け加えた。

電力使用最小の日の内訳は企業秘密

調べると首都圏では毎年5月のGWあたりに電力消費が少なくなる。2010年は5月3日の夜7時台~8時台の3170万kW、2013年は5月5日夜7時台~8時台で2866万kWである。そして、グラフにしてみると、事故後、首都圏の人々は最小の日でも24時間を通じてしっかりと節電をしていることも分かった。日本人は真面目である。

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2010年2013年東電資料より筆者作成 

では燃料別の内訳はどうなのか。両日の資料を東電から入手しようと試みたが、6月11日に折り返された東電広報の返事は、「内訳は経営情報なのでお出しできない」というものだった。そんな馬鹿な!「最大使用の日は節電で賄えたが、最小の日は違うだろうから、原発の必要性が証明できるはずで、東電にとって都合のいい情報ではないですか?」と食い下がってみた。

しかし、その答えはあまりに率直で意外だった。「そうでもないみたいです。(消費が)一番低い日は点検をやったりして・・・」と言いかけて「それは原子力に限らず火力もですね」と付け加えた。微妙である。「内訳のどこが経営情報なのか」とさらに食い下がると、2016年からは電力自由化が進むので、内訳も重要な経営情報となるのだという。

一つ目の仮説「電力使用最小の日は原発分が節電できず火力を余分に焚き増している」はこの方法では証明できなくなった。

それではと、為替や燃料費の値上げが原因なのかどうかを確かめることにした。

東電廣瀬社長に代わって燃料費増加の原因を探る(下)へ続く