暑い夏がやってきた!だが、東電は原発再稼働なしで、関電・九電に売るほどの電力がある(下)

定例記者会見を行う茂木敏充経済産業大臣(筆者撮影)

財界は「原発が稼働しないから電気料金が上がる」と宣伝する。しかし、夏の原発分は節電で補っているので、電力料金の値上がりは原発が再稼働しないせいだとは言えないことを東電のデータが示している。いっそ原発を使わない決断ができないのか。決断しない理由を東京電力の廣瀬社長にストレートに尋ねることにした。「上」からの続きである。

広瀬社長は「全国的に節電のおかげで需給バランスがある程度保てるというのは間違いないと思います。本当に有り難く思っているところでございます」と、ついに節電の効用を認めた上で、原発の必要性として「老朽化した火力発電」を理由に、次のように説明し始めた。

「この夏、去年の夏も一昨年の夏もなんとかやってきたわけですけれども、火力発電所もいずれ寿命が来ます。(略)原子力以上にかなり古くなってきております。それらをリプレース(建て替え)していかなければいけないと思っています。そうしますと、リプレースするときに、(略)作ってから壊せば、なんとかいけるんですけれども、東京関東地方で新しいものを作る場所を確保して作っている間、今動いているやつを動かしっぱなしで、というのもなかなか難しくなってきているのも事実です。環境規制もあります。」

「5000万kWを5500万、6000万というふうにどんどん積み増していくということは、昔の高度成長の時代ほどの予想されるということは少なくなってきていると思っていますので、スクラップ&ビルドでいいと思っているんですが、それにしてもスクラップできないんですね」

「したがって一夏のこと二夏のことだけでなくて、やはり電気事業としては火力発電所を作るにも7年ぐらいかかりますので、7年後のこと10年後のことを考えていかなければならないと思っています。」

・・・しかし、広瀬社長のこの答えも良心的に言っても「勘違い」である。

空き地に緊急に設置済み

下表は、福島第一原発事故直後、緊急に建てた火力発電所だ。東電が電力不足を理由に、経済産業省と環境省に泣きついて、時間のかかる環境アセス(環境への影響を回避、低減するための法手続)を免除してもらい、東電敷地の空き地に設置することを条件に建てたものだ。2011年夏までにその多くを運転開始した。

東京電力による東日本大震災後の緊急設置電源の一覧

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東電資料「東日本大震災における発電設備に関する復旧計画」より筆者作成

「上」で示した2013年8月9日のグラフでピンクで示された「緊急設置電源」というものがそれにあたる。

驚いたことに、すでに停止や廃止をしているものがある。老朽化した火力発電所を建て直したいなら、停止や廃止をせず、これらを動かしながら建てればよい。そうしないのは、節電で事足りているからだ。今やそれどころの話ではない。

関西電力や九州電力に売る準備がある

東電が公表した今年の夏の夏期の電力需給見通しを見てみると、東電の安定供給力ぶりは大したもので、いまや、関西電力や九州電力から要請があれば、50万kW以上の電力を融通できるキャパシティを有している。それを差し引いてなお、需要に対し8%を超える供給力の余裕がある。たとえ猛暑が来ても大丈夫だという数値も以下の表が表している。

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出典:東京電力

発電量だけのことで言えば、日本は東電に限らず、いつでも脱原発が可能である。日本はそれでも原発をベースロード電源として考えるべきなのか。経済産業大臣にも問いたくなる。