暑い夏がやってきた!だが、東電は原発再稼働なしで、関電・九電に売るほどの電力がある(上)

東電会見(筆者撮影)

日本各地に痛ましい被害を残した台風8号が過ぎて、暑い夏がやってきた。

福島原発事故後4度目の夏だが、7月8日に宮城を訪れた経団連の榊原定征会長は、「夏の電力供給」を「綱渡りの状態」(2014年7月8日日本経済新聞)だといって、相変わらず原発推進を謳う。経団連、日本商工会議所、経済同友会の経済3団体は、5月には「エネルギー問題に関する緊急提言」で「低廉・安定的な電力供給」を求め、6月にはトップが揃い踏みで、安倍首相に原発の再稼働プロセスの加速を要請した。

しかし、実際は今年の夏の電力供給も極めて安定的に行われるのである。

原発分1000kWは国民の節電意識でクリア

今回は東電の事情を直視しよう。消費者側の節電意識はガッシリと根付き、電力が足りないという理屈は通用しなくなった。事故後に東電が公表してきた最大電力とその内訳を見れば明らかだ。事故前は6000万kWに達していたが、事故後は5000万kWに減った(下図)。

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出典:今夏の電力需給の概要について(2013年9月26日東京電力株式会社)(6頁)

下図(上図をもとに筆者作成)のようにグラフを少しずらせばなお分かりやすいが、原発分の発電量1000kWは節電で賄えていたのだ。これは、昨年だけでなく2012年でも同様だ。

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「原発があれば原発を動かした」?

ところが、財界は「原発が稼働しないから電気料金が上がる」との宣伝をし続けてきた。そこで、今年4月30日、2013年度決算の発表に現れた東京電力の廣瀬直己代表執行役社長に、それは「誤解」ではないかと尋ねてみた。

すると、広瀬社長は直ちに財界の見解を肯定し、根拠を2つ挙げた。

1.原子力のキャパシティは1700万kWである。

2.原発があれば原発を動かしたので、その分は安く済んだ。

記者会見は取材者が反論する場ではないと目されているが、「誤解」を解こうとして尋ね、「誤解」のままで終わってはマズイと思い、原発の発電量については「1000万kWだったんです。2010年7月23日のデータです」と反論をした。

すると社長は、次のように答えを返してきた。

「いえ、ちょっと何月何日の数字を使っていらっしゃるのか分かりませんけれども、定期検査が入るとまた止めたり、定期検査が終わると動きを始めたりしまして、一夏といってもずっと2カ月3カ月が同じ状況ではないので、その数字についてはちょっと確認させていただきます。1000万だったときももちろんご指摘のようにあったんだと思います。」

1000万kWを認めてくれたのである。定期検査で止まっていなければ1700万kWあるということなのだろう。

驚愕!東電は原発を新設しようとしいる

しかし、そう思って、今さらながら、この記事を書くにあたって広瀬社長の言った「1700万kW」を確認しようとすると、計算が合わないではないか。福島第一原発(約180万kW)と第2原発(約440万kW)と柏崎刈羽原発(約820万kW)を全部足しても、1450万kW弱である(下図)。

あと約300万kWはどこかと探していると、東電が福島第一原発事故前から青森県に東通原発(約340万kW)を新設予定で、今も粛々と手続を進めていることに気づき驚愕した。しかし、いくらなんでも広瀬社長のいう「1700万kW」の計算に入れていはいないだろう?!もしそうなら厚顔無恥過ぎる。何かの勘違いであると思うことにする。(と書いたら、総出力を足すと1450万kWだが、右の出力を足せば1730万kWだというご指摘をいただいた。勘違いではなく東電の資料の書き間違えであった。そこで取消部分につき取り消して広瀬社長には謹んでお詫びする。しかし、2つの点は改めて指摘させていただきたい。(1)東通原発の新設について。事故以前から進めていた計画であり、ここは進めるのではなく断念するのが社会的な責任の取り方ではないか。(2)事故前の夏2010年に原発の発電量は1000万kWであり、事故後にそれが節電で賄われている事実は厳然として動かない。さらにもう一つ加筆させていただくが、以下でリンクを張った東電資料は「平成26年2月現在」となっており、総出力の欄にある1884万(188万の誤記)kWであろうと本来の合計値である4696万(470万の誤記)kWであろうと、欄外に記載されているようにすでにどちらも「廃止」されている以上、「東電の原子力発電所一覧表」として公開するなら福島第一についてはすべて「0」と記載すべきではないでしょうか。以上、加筆/訂正・お詫び/指摘させていただきました。ご指摘くださいました読者には御礼申し上げます。2014年7月14日)

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出典:東京電力

2014年夏も原発なしで安泰

ちなみに今年5月に東電が発表した「平成26年度夏期の電力需給見通しについて」を見ても、供給力(5386万kW)は需要見込みを余裕で超え、2014年夏も原発なしで安泰である。

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出典:東電資料「平成26年度夏期の電力需給見通しについて」2014年5月16日

一方、広瀬社長が主張した第2の点である「原発があれば原発を動かしていたので、その分は安く済んだ」は、避難生活を強いられている方ならムッとする空想の世界である。思わず、「実際は事故が起きたから消費者は節電した、東電経営者として原発を使わない決断をなぜしないのか」と尋ねてみた。

東電は原発再稼働なしでも、関電、九電に売るほどある(下)に続く