集団的自衛権の解釈改憲の翌日から中高生宅にDM、CMにはAKB48起用で自衛官募集?!

2014年6月30日解釈改憲前夜の官邸前(筆者撮影)

集団的自衛権の行使容認が閣議決定された翌日、ツイッター上では「中高生に自衛隊募集のはがき・封筒が届いた」と騒然となり、「タイムリー過ぎるだろ」「赤紙が来た感じですごく不快」「将来きっと徴兵という形でこういう手紙が届く」などなど諸々のつぶやきがあった。前日には、官邸前に1万とも3万とも言われる人々が押し寄せ(写真)、抗議の意思表示を行った。このタイミングでこれはありか?思わず、防衛省広報課報道室に電話した。

-騒ぎになっていますが、事実でしょうか。

「そういった事実はあります。」

「ありません」というのかと思ったら、「あります」というので、二度聞きした。

-え?あります?

「はい」

-え~っとぉ、それはいったい、なぜ?

「文科省から解禁になってそういう『文書』が届いているからです」

思いがけない言葉に、「かいきん?」と聞き返すと、

「文部科学省の初等中等教育局長と厚生労働省の職業安定局長との連名で、『文書』が任用業務を担当する国の機関の長に通知されていて、通知に基づいて募集案内を行っています」

というではないか。正確な『文書』名は次の通り。

「平成27年3月新規中学校・高等学校卒業者の就職に係る推薦及び選考開始期日等並びに文書募集開始時期等について(通知)」(平成26年3月27日)

つまり、次の年に卒業する中高生に、毎年この時期に自衛官の募集をかけるのだと言う。各都道府県に自衛隊の地方協力本部があり、そこから自衛隊が発送する。

-すると、送り先は文科省から受け取っているんですか?

「違います」

-ではどこから?

「通知に基づいて、募集に必要な最低限の情報を市区町村から得ています。」

-市区町村から・・・?何か根拠法はありますか?

「自衛隊法と住民基本台帳法です」

ベネッセも内心ビックリだろう

というわけで、条文を聞くと主に以下の通りである。

■自衛隊法第97条(都道府県等が処理する事務)

■自衛隊法施行令第119条(広報宣伝)120条(報告又は資料の提出)

■住民基本台帳法第11条(国又は地方公共団体の機関の請求による住民基本台帳の一部の写しの閲覧)

つまり、自衛隊は、都道府県知事と市町村長がもつ住民基本台帳から、合法的に中高生の居所を突き止めて、47ある自衛隊地方協力本部から、いとも簡単に案内を発送できる。ベネッセからの「個人情報流出」どころの話ではない。

国会にも国民にも聴かずに2つの密室で議論か

そして、こうして7月2日、ツイッター上で「自衛官募集」が騒ぎになっている頃、官邸では、加藤勝信内閣官房副長官が記者会見を行い、次のようなことを明らかにした。

国家安全保障局の次長(兼原信克、高見沢将林・両官房副長官補)をトップに、約30名の法案作成チームを作る。このチームは2班に分かれる。武力攻撃事態への対処に関する法改正を検討する「事態対処法制班」と、関係省庁との連絡調整を行う「企画班」だ。

このまま、国会と国民の意見を問う憲法改正の手続を経ずに、行政内部の密室作業と、年末までに米国との間で密室協議される予定の「日米防衛協力のための指針」の見直しで進む。そこで集団的自衛権の具体化を既成事実化し、来年の通常国会で、後追いで自衛隊法を含む大量の法改正を一気呵成にしてしまおうという作戦だろう。

7月6日になると今後は、「自衛隊CMにAKB48登場!集団的自衛権と関係あるの?」とのツイートのまとめが登場した。ここでは「兵隊不足を補うためには、「自衛隊員限定握手会」を行えばいいのか」と笑えないジョークが飛び交っている。

7月1日の閣議決定の正式名称を「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」という。お友達内閣で付けた3要件「我が国と密接な関係にある他国」「他に適当な手段がない」「必要最小限度の実力を行使」などはわずか半ページに押し込まれ、その他計8ページで国民を違憲な世界へと誘っている。

AKB48の「握手会」の日程はそこには書かれていないが、そのかわり、現内閣がとてもわかりにくい日本語で国民を煙に巻こうとしているかはハッキリ分かるので、イヤでも一読することをオススメしたい。