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今年のインフルエンザワクチン 不足してる?2回接種は必要?医師に聞きました

市川衛医療の「翻訳家」
(写真:アフロ)

 そろそろインフルエンザのシーズンです。東京都感染症情報センターによれば、ここ数年、インフルエンザの流行は12月から1月に始まっているようです。

東京都感染症情報センター 定点医療機関当たり患者報告数 ※年明けを第1週とした週数表示 2017年は11月5日(第44週)まで
東京都感染症情報センター 定点医療機関当たり患者報告数 ※年明けを第1週とした週数表示 2017年は11月5日(第44週)まで

 予防のために気になるのがインフルエンザワクチン。ところが今年は、ワクチンの供給が遅れていることが話題になっています。

インフルエンザワクチン、医師6割「不足」 供給遅れる 

(朝日新聞デジタル 2017年11月7日)

「ワクチン足りない」インフルエンザの予防予約が… 

(テレ朝News 2017年11月8日)

ワクチンは例年、厚生労働省などが種類を決めているが、今年は使用する「株」が製造過程で変更となり、各メーカーの製造開始が遅れていた。東京保険医協会の最新の調査では、65%の医師がインフルエンザワクチンが足りないと回答している。

出典:テレ朝News 11月8日「「ワクチン足りない」インフルエンザの予防予約が…」より

 本当に不足しているのであれば、いつごろ解消されるのか?気になります。

 またツイッターなどSNSでは「今年のワクチンは、接種すると体調不良を起こしやすい」というウワサや、「接種は1回で良いの?2回が良いの?」という素朴な疑問の声も見かけます。

 というわけで、気になるインフルエンザワクチンの疑問、実際に接種を行っている医師に聞いてみました。

インフルエンザワクチンのウワサ、実際どうなの?

 質問に答えてくれたのは、小児科専門医の森戸やすみさん(さくらが丘小児科クリニック)です。

Q いま、インフルエンザワクチンが不足しているとニュースになっています。実際に臨床の現場では影響を感じていますか?

 確かに不足気味なので、困っています。実際に来院した患者さんにワクチンがないのでお断りしたり、電話の問い合わせに「ホームページに入荷したら掲載します」と言ってお断りしたり、ご迷惑をかけている状態です。

 ただメディアには、いたずらに不足感を強調しないでほしいと思います。各ワクチン製造会社によると、12月になれば受けたい人がすぐに受けられる状態になるそうです。

 予防接種を考えている方には「今年は製造会社のワクチン準備開始が遅れたため、予約がとりにくい医療機関も多いようです。ただ例年、インフルエンザの大流行は年末から年明けです。12月になったらワクチン不足が解消されると言われていますから、年内には接種できると思います。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」とお伝えしたいです。

※筆者注 厚生労働省のインフルエンザQ&Aによれば、「ワクチン接種による効果が出現するまでに2週間程度を要することから、毎年12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましい」 とされています

Q インフルエンザワクチンには、1回接種と2回接種の場合があります。それぞれ、対象の人は違うのでしょうか?また、大人でも2回接種をしたほうが効果は高いのでしょうか?

 インフルエンザワクチンは、「不活化ワクチン」といって、病原体となるウイルスの感染する能力を失わせたものを原材料として作られます。そのため子どもでは1回接種しただけでは十分な効果が出ないことがあり、13歳未満は2回打つことになっています。

 13歳以上でも2回接種したほうが効果は上がるかもしれませんが、今年のように十分なワクチンが供給されていない状況では、特に必要がない場合には2回接種を控えるよう、厚生労働省が通知※を出しています。

Q ツイッターなどでは「今年はインフルエンザワクチンの型が違うから、体調不良が多い」というつぶやきもあるようです。年によってワクチンの副反応の出方が違うということがあるのでしょうか?

 インフルエンザのワクチンの型の違いで、副反応の頻度や強弱が変わるとは考えにくいです。

 毎年型が変わるといっても大きなものではありませんし、抗原(不活化したウイルス)の量や、その他の添加物の成分や量も例年ほとんど変わらないからです。実際、インフルエンザワクチンの副反応の報告が年によって変わることを大規模なデータで示した例を目にしたことがありません。

 ただわたし自身、毎年接種を受けていますが「今年は痛みが少ないな」と感じることはあります。受ける際の体調が毎年同じとは限らないので、たまたま体調が悪い時に受けると、強めの反応が出てしまうこともあるのではないでしょうか。また、加齢していくとアレルギー反応がより強く出ることもあると考えられます。

まとめると

 お話の内容を以下にまとめました。これからインフルエンザのシーズン、ワクチンの接種を考えるうえで、参考にしてみてください。

・現状、ワクチンは確かに不足気味。12月に入れば改善との情報も

・13歳未満は2回接種 13歳以上は、特に必要な人以外は1回接種

・年によって副反応が変わることは考えにくい。接種するときの体調などで変わる可能性はある

※)厚生労働省2017年9月15日通知

「13 歳以上の者が接種を受ける場合には医師が特に必要と認める場合を除き「1回注射」であることを周知徹底すること」

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【取材協力】

森戸さん似顔絵
森戸さん似顔絵

森戸やすみさん

小児科専門医・さくらが丘小児科クリニック(世田谷区)

医療の「翻訳家」

(いちかわ・まもる)医療の「翻訳家」/READYFOR(株)基金開発・公共政策責任者/(社)メディカルジャーナリズム勉強会代表/広島大学医学部客員准教授。00年東京大学医学部卒業後、NHK入局。医療・福祉・健康分野をメインに世界各地で取材を行う。16年スタンフォード大学客員研究員。19年Yahoo!ニュース個人オーサーアワード特別賞。21年よりREADYFOR(株)で新型コロナ対策・社会貢献活動の支援などに関わる。主な作品としてNHKスペシャル「睡眠負債が危ない」「医療ビッグデータ」(テレビ番組)、「教養としての健康情報」(書籍)など。

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