給特法の「改正」ではなく「廃止」ではないのか

(写真:アフロ)

「学校の働き方を考える教育学者の会」は12月4日に記者会見を開き、給特法改正を求める署名が2月28日から11月30日までに3万2550筆に達し、文部科学省(文科省)と厚生労働省(厚労省)に提出したことを発表した。給特法が問題視されていることを再認識したが、同時に違和感も感じた。なぜ、「改正」なのだろうか?

 給特法は1971年に制定された「公立の義務教育諸学校の教員職員の給与等に関する特別措置法」のことで、教職員の残業代を認めない代わりに基本給の4%を「教職調整額」として一律に支給することを決めた法律だ。4%は制定当時の教職員の平均残業時間が月間8時間であり、それに見合う額として算出された。

 当時としては妥当な額であり、それほど残業も多くない時代だったため、「残業しなくても残業代がもらえる制度」でもあった。教職員に対する優遇策であり、当然ながら当時の教職員には歓迎された。

 ただし給特法が導入されたのは、当時の自民党が勢いを強めつつあった日本教職員組合(日教組)を分裂させる意図からだった。カネをばらまいて教職員を大人しくさせようとしたわけだ。それは成功した。

 いま給特法が問題にされているのは、調整額の4%が優遇になっていないだけでなく、実態にそぐわないものになってしまっているからである。現在、厚労省が定める過労死ラインである月80時間を超える残業をしている教員は小学校で約3割,中学校では約6割を超えている。にもかかわらず月8時間の残業を前提にして4%の数字は変わらないままで、「定額働かせ放題」の状態になっている。

 だからこそ、「改正」が求められているのだ。しかし改正というと、「4%を40%にしろ」といった類の議論になりかねない懸念がある。それでは、なかなか決着を見ないだろう。

 給特法の最大の問題は、「残業代を認めていない」ということだ。残業について適切な残業代が支払われるのは基本である。そうなれば、4%とか40%とかの不毛な議論も無用になる。

「改正」を求める動きには、「できるところから一歩ずつ」という考えがあるのかもしれない。しかし遠回りで、余計な議論に費やすだけになる可能性も否定できない。

 ここは「改正」ではなく、「廃止」ではないのだろうか。給特法を廃止すれば、「定額働かせ放題」の根拠はなくなる。残業時間に見合う残業代の支払いの要求には、世論も味方するにちがいない。残業代の支払額の大きさに痛みを感じれば、教職員の働き方改革を国や自治体も本気で考えるようになるのかもしれない。