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喜ばしいことなのか?女性就業率が初の7割超

前屋毅フリージャーナリスト
(写真:アフロ)

 9月28日付『日本経済新聞 電子版』が、「15~64歳の女性のうち、就業率の比率は前月比0.1ポイント上昇の70.0%と、初めて7割台に達した」と報じている。総務省の発表によるものだが、これを同省がどのように受けとめているのかコメントはない。

 ただし記事は、これを「問題だ」と指摘してはいない。総務省としても、問題視しているわけではなさそうだ。

 なぜ女性の就業率が上昇しているのか、同記事は「人口減少を背景に人手不足が続いている」と説明している。人手不足を女性が補っている、というニュアンスに受けとれる。

 もちろん、働きたい女性が希望する仕事に就けているのなら、それは喜ばしいことである。しかし記事は、「働く時間を選びやすいパートなどが増えている」としている。パートが低賃金労働であることは、改めていうまでもない。働きがいを感じて働いている人も多いとおもうが、当初から希望している働き方ではないのではないのだろうか。どうせ働くなら、高い賃金でもっと働きがいのある働き方を選びたいと、多くの女性がおもっているのではないだろうか。

 生活のために希望しない働き方をするしかない女性が人手不足を補っている、というのが実態なのではないのだろうか。

 政府は2020年度末までに子育て世代の女性(25~44歳)の就業率を80%まで高める目標を掲げている。賃金も含めた働き方の質をもっと高めていかなければ、子育て世代の女性が人手不足を補うために低賃金で駆り出される構造がエスカレートするだけのことである。ただ数値目標を掲げるだけでなく、働き方の質を向上させる施策を政府には実行してもらいたいものだ。

フリージャーナリスト

1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。2021年5月24日発売『教師をやめる』(学事出版)。ほかに『疑問だらけの幼保無償化』(扶桑社新書)、『学校の面白いを歩いてみた。』(エッセンシャル出版社)、『教育現場の7大問題』(kkベストセラーズ)、『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『全証言 東芝クレーマー事件』『日本の小さな大企業』などがある。  ■連絡取次先:03-3263-0419(インサイドライン)

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