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日本の教育は教員を必要としていないらしい

前屋毅フリージャーナリスト
(写真:アフロ)

 奈良女子大学と奈良教育大学は2022年度に統合を目指すと、7月27日に発表した。このニュースに、「奈良女子による奈良教育の吸収か」という声も聞かれる。

 言うまでもなく奈良教育大学は教員養成で実績があるが、一方の奈良女子大学は理系研究者の輩出で実績がある。

 2020年度から実施される新学習指導要領でプログラミング教育が小学校で必修化されることに代表されるように、理系重視の傾向が急激に強まってきている。「理系人材供給」の要求に、教育が応えているのだ。

 大学においても、文系学部を縮小して理系学部を重視する傾向に拍車がかかっている。そうした流れから奈良女子大と奈良教育大の統合をみれば、理系の奈良女子大が優遇される可能性が高い。

 さらに、この統合では奈良先端科学技術大学院大学や奈良工業高等専門学校などとの連携も視野にいれているという。理系重視は明らかで、間違いなく、奈良教育大の肩身は狭くなっていきそうである。

 2017年度の公立学校教員採用試験の受験者数は16万6068人で、前年度より4387人(2.6%)の減少となっている。昨年が特別だったわけではなく、ここ数年は受験者数の減少傾向が続いている。教員の人気が落ちているわけだ。

 教員人気が落ちていけば、教員養成系の人気も先細りになっていく。大学経営という観点からは、教員養成系を縮小して、志望者が増えてきそうな理系に傾注したほうが合理的ともいえる。統合のなかで、奈良教育大の存在感が薄れていく可能性は高い。

 教員養成を軽んじる日本の教育は、どこへ向かっているのだろうか?

フリージャーナリスト

1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。2021年5月24日発売『教師をやめる』(学事出版)。ほかに『疑問だらけの幼保無償化』(扶桑社新書)、『学校の面白いを歩いてみた。』(エッセンシャル出版社)、『教育現場の7大問題』(kkベストセラーズ)、『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『全証言 東芝クレーマー事件』『日本の小さな大企業』などがある。  ■連絡取次先:03-3263-0419(インサイドライン)

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