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これくらいの本気しか文科省にはないという現実の残念さ

前屋毅フリージャーナリスト
(ペイレスイメージズ/アフロ)

 教員の過重労働が問題になっているなか、部活動が悪者にされる傾向が強まっている。たしかに、部活動と教員の関係には改善すべきところが多いのは事実である。

 ただし、部活動だけで過重労働問題が解消するわけではない。必要性に乏しいとおもわれる書類作成を強制されるな、教員を過重労働に追い込んでいる根源的な問題は野放し状態だ。にもかかわらず、部活動だけに原因があるかのような誘導が行われている。文部科学省(文科省)も、その一端を担っている。

 今年の1月6日にも文科省とスポーツ庁は、中学校や高校の部活動について休養日を適切に設けるよう全国の教育委員会などに通知している。部活動にかける時間が長すぎるのなら休みなさい、というわけだ。それで部活問題に取り組み、過重労働問題に取り組んでいるつもりらしい。

 安易である。国語や算数・数学などの授業時間も増えつづけ、学校現場は悲鳴をあげている。それでも文科省は、「休みなさい」とは言わない。それどころか小学校で英語が必修化になるについては、夏休みや休み時間を活用して授業時間を確保しなさい、とまで言っているのだ。

 文科省は部活を軽くしかみていない。「休め」と言うことで、過重労働の原因が部活にあると煽っている文科省が、来年度の概算要求において、外部指導員の採用に必要な費用の一部を補助するための予算として15億円あまりをもりこむことを今月24日に決めたという。

 外部指導員に部活を任せれば、教員の負担は確実に減る。いよいよ、文科省も部活の問題に本腰でのりだしたのか、とおもいたいところだが、そうはいかない。

 そのために文科省が見積もった予算は15億円にすぎないのだ。文科省は今年度(2017年度)、オリンピック・パラリンピック選手の育成やスポーツ施設の推進する「スポーツ立国の実現」予算を333億円も計上している。これに比べてみても15億円は少なすぎで、とても本気になっているとはおもえない。

 15億円とはいえ、それで大半の部活動を指導する外部人材を確保できるのなら問題はない。もちろん、それは無理というものだ。

 文科省は外部人材の活用を唱えてはいるが、それはボランティアを前提にしている。無料でやってくれるボランティアに部活動をまかせれば、教員の負担も減るし、カネもかからない、というわけだ。それが簡単にいけば苦労はないわけで、とても現実的ではない。

 文科省が教員の過重労働が部活に原因があり、解決しなければならないと本気で考えているならば、15億円といわず、もっと思い切った予算を考えるべきである。そうでなければ、外部指導者に部活を任せるという策は実現できない。

 15億円という概算要求額は、文科省の「やる気のなさ」を示しているにすぎない。

フリージャーナリスト

1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。2021年5月24日発売『教師をやめる』(学事出版)。ほかに『疑問だらけの幼保無償化』(扶桑社新書)、『学校の面白いを歩いてみた。』(エッセンシャル出版社)、『教育現場の7大問題』(kkベストセラーズ)、『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『全証言 東芝クレーマー事件』『日本の小さな大企業』などがある。  ■連絡取次先:03-3263-0419(インサイドライン)

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