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感動のマスク、大手にふりまわされない"てつがく"

前屋毅フリージャーナリスト
立体構造で空間ができきるマスク「Su:5」

あっ、すごいぃ!

このマスクを着けたときの、嘘偽りのない、正直な感想だった。

立体的なマスクが出回ってはいるものの、それでさえ着けると唇に触れたり、妙に鼻にまとわりついてきたりする。そのため、長時間の使用は不快だったりするものだ。

ところが国際特許を取得している独特の立体構造をもつ「YAYA(ヤヤ)」の「Su:5(スー)」は、マスクと唇や鼻の穴の間に完全な空間が生まれる。「箱をかぶせたような」とでも表現すればいい状態なので、唇にも触れない。だんぜん呼吸もしやすいし、口紅がマスクに付いてしまうといったこともないだろう。

それでいて、顔にフィットする、かなりの密着度なので隙間から花粉などが侵入してくるリスクも低いはずだ。マスクとしてのフィルター機能も高く、普通なら3~4層だが、これは5層にもなっており、超微粒子(0.1μm)を99%までカットできる。

「私自身は、マスクが苦手だったんですよね。普通のマスクだと、着けていると息苦しくって」と言って、YAYAの代表を務める山田恭子さんは笑った。もともと「Su:5」は、貿易商を営んでいた山田さんの父親がてがけていたものだった。しかし苦手意識が先に立って、父親に勧められても、山田さんは手にしようとしなかった。

レギュラー、3枚入り460円(税抜き)
レギュラー、3枚入り460円(税抜き)

その山田さんが父親のマスクを愛用することになったのは、父親の入院がきっかけだった。病室ではマスクが義務づけられていたため、仕方なく父親が扱っていたマスクを使ったのだ。

「着けてみたら、びっくりですよ。ほどよい空間ができて息はしやすいし、話も普通にできる。私が知っているマスクじゃなかった」と、山田さん。

残念ながら父親は亡くなってしまったが、以来、山田さんは父親のマスクが手放せなくなった。花粉の季節になると、夜に寝るときも愛用しているという。

そして、自分が愛用するだけではもったいないとおもった山田さんは、「もっと多くの人に使ってもらいたい」と考えるようになった。昨年3月に「YAYA」を立ち上げ、商品名も「Su:5」とオシャレなものにかえて、パッケージも洗練されたデザインを採用した。

もうひとつ、こだわったのが商品を置く店舗である。あえてドラッグストアや量販店など大量に売れそうなところを避け、セレクトショップなどこだわりのある商品を置くような店舗を選んだ。

大手と呼ばれるメーカーが様々なタイプのマスクを販売している。それに対抗するには、量が売れる店舗に置くことを優先すべきではないだろうか。その質問を山田さんにぶつけると、にこにこしながら彼女は答えた。

「大手とは勝負しません」

その理由を、彼女は次のように続ける。「大手と勝負するために量販店などに置くとなると、値段を変えさせられたりします。そうすると同じ商品なのに、店によって値段が違うという事態が起きます。それは、購入する方にしてみれば、混乱を招くし、愉快なことじゃありませんよね」

活性炭、3枚入り490円(税抜き)
活性炭、3枚入り490円(税抜き)

大量に売るために値引き競争する大手の論理にまきこまれると、「ブランドも守れなくなります」とも山田さんは言う。売り手が品物の品質を保証し、それを信じて消費者が購入する、それがブランドだ。

行き過ぎた値引き競争にまきこまれると、品質を下げることにもなりかねない。それが消費者を裏切ることであることは言うまでもない。

消費者のためにこそ、ブランドを確立し、ブランドを守る意味はある。だからこそ、山田さんは大手にふりまわされない道を選択し、さらなるブランド確立を目指している。それは、「Su:5」の商品力についての自信の表れでもある。

販売店一覧は以下参照。

http://yayaproducts.com/su-5/index.html

フリージャーナリスト

1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。2021年5月24日発売『教師をやめる』(学事出版)。ほかに『疑問だらけの幼保無償化』(扶桑社新書)、『学校の面白いを歩いてみた。』(エッセンシャル出版社)、『教育現場の7大問題』(kkベストセラーズ)、『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『全証言 東芝クレーマー事件』『日本の小さな大企業』などがある。  ■連絡取次先:03-3263-0419(インサイドライン)

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