非正規雇用の待遇が改善されているわけじゃありませんよ

 本日付の『日本経済新聞』朝刊の1面トップの記事が、「パート賃上げ 正社員超え」というのものだった。まず頭に浮かんだのは、「この見出しに誤魔化されてはいけない」というフレーズだった。

 同記事によれば、人手不足を背景にパートなど非正規労働者の賃上げの動きが広まっており、流通業などの労働組合で構成するUAゼンセンでは今春のパートの賃上げ率が初めて正社員を上まわった、という。UAゼンセンが組合員ベースで今年6月上旬に中間集計した結果によると、正社員月給上昇率は2.02%だったが、パートの賃上げ率は2.20%だった。

「上まわった」という言葉をつきつけられると、「正社員の待遇がパートより悪くなった」と受けとられやすい。その点で、この記事はミスリードになる可能性が高い。

 前提にしなければならないのは、パートなど非正規雇用労働者の賃金は、正規雇用労働者の6割でしかないという現実である。そして2.20%上昇したといっても、時給ベースでは20.1円でしかないのだ。

 これだけの上昇では、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の格差は依然として縮小しない。「上まわった」という上昇率にしても、わずか0.18%の差でしかないのだ。

 自民、公明両党は今年4月に、非正規雇用者の賃金を欧州並みの正規雇用労働者の8割程度に引き上げる提言を行っている。それほど、日本における非正規雇用労働者と正規雇用労働者の格差はひどいものなのだ。

「正社員超え」の記事を1面トップにもってきた意図はわからないが、「パートの待遇は改善されているじゃないか」と早合点してはいけない。